【地下鉄サリン23年】LSD、暴行、通電… オウムに潜入した筆者が「イニシエーション」修行を解説、なぜカルトに洗脳されるのか?
TOCANA / 2018年3月21日 7時30分

今月20日で地下鉄サリン事件から23年になる。麻原彰晃が率いた狂信的カルト宗教である「オウム真理教」が起こしたこの同時多発テロ事件では、13人が死亡し、約6300人が負傷した。17日には被害者の会が都内で集会を開き、「今も被害は続いている」と訴えた。世界を震撼させた凶悪犯罪に走った信者たちは、なぜこのような危険極まりないカルト宗教に洗脳されてしまったのだろうか? 実は、かつて筆者はオウムのアジトに潜入するという稀有な体験をしている。今回は、当時を回顧しつつ謎に迫ってみたい。
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■地下鉄サリン事件概要とサリン誕生の経緯
1995年3月20日午前8時ごろ、当時の営団地下鉄・丸ノ内線、日比谷線、千代田線の計5両の車内で、化学兵器として用いられる神経ガス“サリン”が散布された。月曜日の朝、通勤ラッシュのピークを迎えて混雑していた車内はパニック状態になった。
サリンは20世紀初頭にドイツ帝国で生まれ、後にナチス・ドイツがその毒性に注目し量産したが、第二次世界大戦中に使用される機会はなかった。ヒトラー自身が第一次世界大戦で毒ガスによって神経系に一過性の障害を負ったことから、使用に消極的だったともいわれている。
しかし、それから50年後の日本に現れた麻原彰晃という男は、まったく躊躇することなくサリンの使用を命じたようだ。そして、命じられた残虐な殺人行為を逆らうことなく実行した信者たち――彼らは徹底的にオウムに洗脳されていた。
■鬼畜すぎるオウムの修行「イニシエーション」の実態
オウムでは、信者の洗脳のために、さまざまな方法が実践されたが、その1つに「キリストのイニシエーション」と呼ばれる修行法があった。これは、信者にLSDを混ぜた液体を飲ませ、LSDの覚醒作用によって安直な“神秘体験”をさせるものだ。警察の依頼によりオウム信者たちの洗脳を解いたことでも知られる認知科学者の苫米地英人氏によれば、LSDは「究極の洗脳薬」であり、トランス状態に陥れば誰しもが指示に100%従うようになるという。
また、「バルドーの悟りのイニシエーション」または「ナルコ」と呼ばれた洗脳手法は、信者を麻酔剤や鎮痛剤で半覚醒状態にさせ、催眠状態で死の恐怖を煽るとともに麻原の教えを刷り込むことで、犯罪さえ肯定する人間に変えてしまった。さらに、それを推し進めた「ニューナルコ」と呼ばれた修行法に至っては、電気ショックを与えて記憶を消失させるものだった。麻原が側近たちに命じて、ある弟子から教団にとって不都合な記憶を消す方法を考えさせた結果として生まれたものだったという。
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