21年間“封印”された激ヤバ映画! 覗きで性的興奮を得る快楽殺人鬼を描いた傑作「ピーピング・トム」

tocana / 2018年6月3日 7時0分

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――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

『血を吸うカメラ』
1960年・イギリス(1961年、日本公開)
監督/マイケル・パウエル
脚本/レオ・マークス
出演/カール・ハインツ・ベーム、アンナ・マッセイ、モイラ・シアラーほか

 サイコスリラーの古典と言えばアルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』(60年)。同時期にイギリスを代表する名監督マイケル・パウエルが撮った『血を吸うカメラ』は、現在「もう一つの『サイコ』」として高い評価を得ている。だが公開当時はマスコミや映画評論家から「映画界の恥」と酷評され、規制の厳しいフィンランドでは1981年の解禁まで21年間にわたり上映が禁止された(同国は『悪魔のいけにえ』も23年間封印)。興行的にも失敗したこの作品で、パウエルが築き上げてきた威信はガタ落ち。その後の彼はろくに作品を撮ることなく業界を去った。

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 マイケル・パウエル監督は、20代にヒッチコック監督の助手をして下積みを経験。戦後は名脚本家エメリック・プレスバーガーとコンビを組み、アカデミー賞最優秀作品賞にノミネートされたバレリーナ映画の傑作『赤い靴』(48年)、『ホフマン物語』(51年)などを次々とヒットさせ、それらは今もイギリス映画の古典名作として語り継がれている。

 そんな巨匠のパウエルが主題に選んだのが「ピーピング・トム(のぞき魔)」だった。原題もずばり『PEEPING TOM』。11世紀のイングランドで、圧政領主の夫人ゴダイヴァ(チョコレート「ゴディバ」商品名の元)が、全裸で馬に乗り町中を練り歩く辱めを受けた。民衆は情け深い夫人を気遣い、誰もがその姿を見ることを自重したが、ただ一人、トムという男だけが覗き見した。この伝承が「ピーピング・トム」の語源だ。だが映画の方は覗くだけではすまなかった……。ネタバレは避け、簡単にストーリーを紹介しよう。


【血を吸うカメラの驚愕ストーリー】

 ロンドンで娼婦の変死体が発見される。その顔は、職歴30年のベテラン刑事が過去に見たこともないほど恐怖に歪んでいた。殺人現場でアパートから運び出される死体や、検証する警察官、野次馬などをハンディカメラで動画撮影している男がいる。そいつが犯人のマーク・ルイス(カールハインツ・ベーム)だ。マークの職業は映画カメラマン助手で、ヌード写真撮影の副業もこなしている。マークには密かな趣味があった。女性を撮影しながら殺害し、苦悶する表情や死の瞬間を記録し、それを1人部屋にこもり映写機で鑑賞するのだ。

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