世界初のバーチャルプレデター「サイバースラッグ」爆誕! 自己を認識、空腹を感じ貪欲… 次はサイバー人間か!?

TOCANA / 2018年10月9日 7時30分

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 バーチャルリアリティの世界に人間を再現する――その夢をかなえる最初の一歩となるかもしれない。米国の研究者がコンピュータ上でウミウシの神経システムを再現し、本物と同じような行動をさせることに成功したというのだ。

 世界初となるヴァーチャル生物「サイバースラッグ」を開発したのは、米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の生物学者ラーナー・ジレット氏らのチームだ。サイバースラッグは餌や同種の仲間に対し、モデルとなったウミウシ(Pleurobranchaea californica)と同じように振舞い、しかも単純ながら自己認識もしているとのことだから驚きだ。

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 ジレット氏はイリノイ大学のニュースサイトで自らの研究を解説している。この研究で再現されたのは、ジレット氏曰く「動機付けと記憶を外界に対する認識に紐付け、それをどう感じるかを元に情報に反応する」というシステムだ。ジレット氏は以前の研究で得たウミウシの神経システムを元に、その脳を再現したシミュレーションを作り上げた。

 そうして作られたのがサイバースラッグだ。ジレット氏によれば、本物と同じように“空腹”を感じ、そしてどんな餌がおいしいか、良くないかを学んでいるという。例えば、サイバースラッグが別の物体と接触したとき、行動の選択肢は「食べる」「仲良くする」「逃げる」の3つある。そこで、自分の状態(お腹は空いているか?)や相手の情報(どんなにおいがするか?)と過去の学習・経験を合わせて、適切な行動を決めるのである。

「デフォルトの反応は“避ける”です。しかし、空腹状態や感覚、学習が一体となって“貪欲な状態”が形成され、それが十分に高くなると、サイバースラッグは攻撃を加えるでしょう」(ジレット氏)

 サイバースラッグのプログラムはインターネット上に公開されており(http://mikhailvoloshin.com/cyberslug/)、ブラウザからプレイできる。画面上にはサイバースラッグと餌となる三色の光点が表示されている。サイバースラッグは餌の合間を動き回るのだが、お腹が減る(画面右下のHungryというインジケーターが赤くなる)と捕まえて食べる。

 緑(Hermi)はおいしくて嫌なにおいはなく安全な餌、赤(Flabe)は栄養価が高いが嫌なにおいを発している上、食べると痛い餌、青(Faux)は赤の模倣者で同じように嫌なにおいを発するが痛みはないという餌だ。当然サイバースラッグが好むのは緑の餌だ。いずれも周囲に淡い光を放っているが、これはにおいを表し、濃いほど強い。光点の数は右上で変更することができ、一旦停止して再生することで設定を反映できる。

 餌の比率や数を変えつつシミュレーションを眺めるほか、サイバースラッグを“つまんで”餌の近くに運ぶこともできる。お腹が減っていないときは赤や青の餌から顔を背けるが、空腹時には逆に食べようとする様子が分かる。

 ジレット氏によれば、サイバースラッグが再現しているのは、非常に原始的な目標の競合と意思決定のシステムだ。今後は社会性や認知機能を高めるため、さらに回路を追加していくとのことである。論文は今年2月に専門誌「eNeuro」に掲載された。

 今回のシミュレーションは非常に単純で原始的なものだが、いつかは我々の複雑な脳も、サイバースラッグのようにシミュレーションできる日が来るのだろうか?

(編集部)


※イメージ画像は、「pixabay」より

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