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出動中の救急車が炎上した事故 運転の隊員は『ほぼ仮眠なしで20時間勤務し往復100km』背景に“地域の医師不足”の声

東海テレビ / 2024年12月13日 21時4分

ニュースONE

 岐阜県下呂市の国道41号で12月10日早朝、救急車がガードパイプに衝突して炎上し、乗っていた救急隊員など男女3人がケガをしました。運転していた29歳の隊員はほぼ仮眠なしで20時間連続の勤務をしていて、背景に「医師不足」を指摘する声があがっています。

■救急車が黒コゲに…早朝の国道で救急車が事故を起こし炎上




 12月10日午前5時前、下呂市萩原町上呂の国道41号で、市の中消防署の救急車がガードパイプに衝突し、激しい炎を上げて燃えました。


現場のガードパイプには今でもはっきりと焼け焦げた跡が残っています。
 
患者は乗っていませんでしたが、救急隊員ら6人のうち、助手席にいた救急隊長で34歳の男性、31歳の男性医師、51歳の女性看護師の3人が、足や肩を打撲するケガをしました。


目撃した人:
「火はだいぶ高く上がっていたと思います。2~3mぐらいですかね。ケガをされたお医師さんたちが震えていたので、家から温かいコーヒーを持ってきて飲んでもらって」

■運転していた隊員は「ほぼ仮眠なし」で「約100キロの運転」




 警察が過失運転致傷などの疑いを視野に捜査していますが、事故から3日が経ち、経緯もわかってきました。

下呂市消防本部によると、救急車を運転していたのは29歳の男性隊員でした。前日の午前8時半から24時間の勤務に入り、深夜の0時半から朝7時までは仮眠をとる予定でした。


しかし、仮眠時間に入った直後の午前0時50分に出動要請が入り、心疾患の男性患者(57)の自宅へ急行。

一旦、市内の下呂温泉病院へ搬送したものの、症状が重くて対応できず、およそ50キロ離れた高山赤十字病院まで転院させることになりました。


事故が起きたのは、そこから下呂市内へ戻ってきたところ。ほぼ仮眠なし、20時間連続勤務の隊員による運転でした。

下呂市消防本部の遠藤丙午消防長:
「こういった夜間における長距離の救急搬送は数年前からずっとありまして、それを知りながらほかっておいたわれわれ管理職の責任は大きいと思っております。仮眠も取れずに休憩もできずに、そのまま業務にあたった。救急隊員が3人乗っていたわけですけども、3人についてはみんな同じで、みんな寝ていない」

■市議が議会で指摘した「地域の医師不足」の声




 13日に開かれた下呂市議会で、市議が事故について発言しました。


鷲見昌己市議:
「今回の事故は、医師不足により下呂温泉病院の機能が十分発揮されず、市外への転院搬送が増え、隊員の負担が増していることも一因のようです」

事故の背景に、地域の医師不足があると指摘の声が上がりました。

下呂市消防本部の遠藤消防長:
「重症度が高いものは、市外の3次救急医療機関である高山赤十字病院や中濃厚生病院。現場到着から病院収容までに要する平均時間は約34.4分となっております」

下呂市では深夜の連続出動を抑える対策や、転院先の病院から戻るなど今回の事故と同様のケースがあった場合には30分おきの休憩を義務化するなど、再発防止策を早急に検討するとしています。


市民の命を守る救急医療の体制をどう守るのか。

70代の下呂市民:
「救急車が事故を起こすのは、ちょっと信じられなかったですね。誰か人がいなかったのかなと思いますね」

別の70代の下呂市民:
「救急車のお世話に家族がなっているので。やっぱり就業体制というんですかね、帰りの事故だったみたいなので、もっと彼らが安全に働けるような、そういうのが必要かなと思っています」

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