【パリ五輪】「ハードルの女神」を誹謗中傷した男逮捕 中国公安部はSNSの取り締まり強化へ

誹謗中傷の被害を受けた中国の呉艶妮（ロイター）

パリ五輪で活躍したアスリートに対し、ＳＮＳで誹謗中傷が書き込まれる被害が世界中で問題となっている。そんな中、中国で「ハードルの女神」と呼ばれる呉艶妮（ウー・イエンニー）に悪質な誹謗中傷を繰り返したとして、広西チワン族自治区警察が２５日までに男を逮捕した。複数の中国メディアが報じている。

中国本土出身の梁蒙蒙（リャン・モウモウ）容疑者（４７）は、中国のニュース通信アプリ「今日頭条」で、呉に対する悪意のある誹謗中傷の書き込みをした。

呉はＳＮＳ「微博」に「私たちアスリートにとって、国の支援があることは最高の安心感と幸せです。わが国の公安に感謝します。社会正義は永遠に続きます」と記した。

呉はパリ五輪の女子１００メートルハードル予選で、日本の福部真子とのアジア対決に敗れ、準決勝進出はならなかった。それでも１３秒を何度も切り、アジアのハードル界をけん引してきた。また、大会には派手なメークで臨むことも多く、その美貌でも知られている。

しかし、香港紙「星島日報」によると、そのきらびやかなメークに対し、梁容疑者は「国際的な笑いものだ。それより優勝しろ」「人気を集めて、ＣＭの仕事が欲しいだけだろ」などと攻撃してきた。

警察は「容疑者が悪意を持って情報を捏造し、他人をあからさまに誹謗中傷し、社会に悪影響を与えたとして、その行為がインターネットの秩序を乱し、他人をあからさまに侮辱・中傷した疑いがある」と指摘した。梁容疑者は容疑を認めている。

一部のネットユーザーは「多くの人が彼女を批判しているのに、梁容疑者だけが捕まったのは、梁容疑者がどれほど厳しく彼女をたたいたのかを示している」とコメントし、別のユーザーは「インターネットは違法な場所ではないことをもっと多くの人に知らせてください」と警告した。

中国事情通は「中国では、アスリートに対するＳＮＳでの誹謗中傷が大きな問題になっており、公安部は８月１５日にスポーツ選手のファンコミュニティーの混乱を指摘し、『法律に基づいて関連分野の犯罪や違反行為を取り締まる』と宣言を出していました。アスリートが中傷やデマを気にして力を出せなくなるのを危惧しているようで、メディアに『若いアスリートは（化粧やタトゥーなど）派手なことをやるが、若い人の特徴なのだから、批判してはいけない』と書かせています」と解説した。