【ソフトバンク】モイネロがメジャーに行かない理由 母・アデラさんが証言「ウチの子は裏切らない」
東スポWEB / 2024年9月24日 6時3分
ソフトバンクが4年ぶりにパ・リーグの覇権を奪い返した。シーズンを通して首位を快走してのぶっちぎりV。堅調な戦いを支えたのは投手陣の奮闘に他ならなかった。
V奪回を目指すチームのカギを握った「先発再建」。昨季ホークスで規定投球回に達した投手は一人もいなかった。不名誉にもリーグで唯一の「規定不在」。球団は新シーズンに向けた組閣で、長期的な視野で米国へコーチ留学中だった倉野チーフ投手コーチを三顧の礼で呼び戻すなど「先発不安」払拭に心血を注いだ。
名伯楽の再招聘とともに進められた特命プロジェクトがあった。昨年9月8日、1年後に覇権奪回の立役者となる男は、腹を決めて搭乗機に乗り込んでいた。今季から先発に転向し、規定投球回と2桁勝利を達成したリバン・モイネロ投手(28)。昨年7月に左ヒジにメスを入れた左腕は、翌シーズンに備えて母国キューバへ一足先に戻った。入団以来、306試合すべてに中継ぎ登板してきたセットアッパーの配置転換。フロント、現場指導者の勝算は間違っていなかった。
変わらない「鷹への忠誠心」が、先発転向成功を後押しした。2021年11月、モイネロは「メジャー移籍」を事実上、完全封印した。米国とキューバの政治的対立が要因に挙げられることが多いが、一番の理由は恩人の存在があったからだ。モイネロが母国での話を披露する際、必ずエピソードに登場する人物がいる。ソフトバンクで中南米スカウトを担当する萩原健太氏(44)。「キューバの至宝」と呼ばれる左腕を最初に発掘した人物だ。
17年5月にホークスと育成契約を結ぶ際も「ケンタのチームだから」と、メジャー球団を蹴った。母・アデラさんは21年11月、メジャー流出の可能性を心配するチーム関係者にこう伝えたという。「ケンタは誰も見向きもしない時から、ウチの子を気にかけてくれた。家庭訪問を何度もしてくれた。人と人とのつながりを大事にしてくれた。だから、ウチの子は絶対にケンタとケンタのチームを裏切らない。それは私が保証します」。
おちゃめで陽気なキャラクターだが、真面目で筋の通ったモイネロ。靴底をすり減らして足で稼ぐスカウトへの信頼が、生涯ホークスを決意させた。チームの戦略的な要望にも「ケンタのチームが言うなら」と二つ返事で返してきた。今春、28年までの4年契約にサインしたモイネロ。先発転向に大成功したキューバの怪腕はこう言って拳を握った。「ケンタのために、もっと頑張る」――。
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