退職準備金、30歳で年収1年分を目指すのは現実的?
LIMO / 2019年3月17日 9時15分
退職準備金、30歳で年収1年分を目指すのは現実的?
年収250万円で16%分の資産形成なら
2月3日公開の記事『老後に備えるには、30歳で年収の1倍の退職準備を(https://limo.media/articles/-/9474)』では、フィデリティの「退職準備の指標」のひとつとして「年収倍率」を紹介し、退職準備の道しるべとなる年代別の目標値として、30歳で年収の1倍を、40歳なら2倍をいう数値を示しています。
この数字の持つ意味を具体的に考えてみましょう。たとえば、現在25歳で年収は250万円の人を想定します。ただ、残念ながらこの人はまだ資産形成を始めていません。
「退職準備の指標」のなかでは、67歳の退職時点での「年収倍率」を7倍に設定し、そのゴールを達成するために、毎年年収の16%を資産形成にまわすことを薦めています。年収250万円の人なら年間40万円、月額にすると3万3333円の資産形成を行うことになります。
まずは確定拠出年金を活用する
これは決して少なくない金額です。ただ、既に行っている資産形成または自動的にやり始めている資産形成も含めてみると、決して不可能な水準ではありません。
最近は企業型確定拠出年金(DC)に加入している人が増えています。ただよく理解し、十分に活用していない人も意外に多いようです。
会社が導入する年金制度ですから、入社時に説明されているはずですが、この掛け金は会社が従業員に代わって拠出しますので、なんとなく知らないうちに積み立てられているといった感じでしょう。でもこれもこの拠出額に含めて良い金額なのです。
法律上の所得控除の対象となるDCへの拠出上限額は月額5万5000円、または確定給付型年金(DB)を併用する企業では2万7500円ですから、もしこの金額に近い水準の拠出があれば、それだけでかなり目標に近いものになります。
しかし多くの企業では、給与水準に連動させていますので、これよりはかなり少ない金額になっていると思います。まずはその金額を調べてみることが大切です。
会社によっては、会社拠出に加えて、従業員にも拠出を認めているところもあります。マッチング拠出という制度ですが、自分の追加拠出は所得控除の対象となって所得税が還付されます。この分が運用収益に上乗せされると考えると意外に大きなメリットを感じるはずです。
こうした企業型の確定拠出年金が利用できない人には、個人型確定拠出年金(iDeCo)も同様に所得控除が使える税制上有利な制度です。
所得税の控除はありませんが、投資の利益に対する課税を免除する少額投資非課税制度(NISA)も活用できます。特に若い人に対しては非課税期間が20年間となる“つみたてNISA”の使い勝手が良いと思います。この非課税上限額は年間40万円ですから、ちょうど使い切ると年収250万円の16%に相当します。
毎月の積立が大切
こうした非課税制度の利用は税制面での優遇のほかに、①給与からの天引きや口座振替など、自動的に資産形成に資金を回すことで自分の行動をコントロールできること、また②資産運用におけるリスク軽減策としてよく知られる積立投資を自動的に行うことなどのメリットがあり、若い人にとっての資産形成手段としては使い勝手の良いものといえます。
ちなみに25歳の人が年収250万円の16%を資産形成にまわすと30歳までに積み立てた資産は200万円、もし年率3%で運用できていればその資産は216万円に増えることになります。30歳で年収が250万円のままだとすれば、年収倍率は0.86倍。目標に向けてかなり良いところまで来ています。
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