男児3人ママがちょっとヘコむ、”女の子がいるといい”の声
LIMO / 2019年5月19日 19時45分
男児3人ママがちょっとヘコむ、”女の子がいるといい”の声
日本では「一姫二太郎」という言葉が広い場面で使われています。諸説ありますが、男の子の誕生が望まれた時代に最初に女の子が生まれた人への慰めの言葉として使われていたとも言われています。時代は変わり、「最初に子どもを産むなら育てやすい女の子がよい」という言葉に変化しつつあります。
「国立社会保障・人口問題研究所」の調査によれば、1980年代から90年代を通して女児を多く望む夫婦の割合が増えており、現在にいたるまでその傾向が定着しています。調査の中の「理想の子ども数別にみた、理想の男女児組み合わせ」の項目を見ると、明らかに女の子が好まれる傾向があります。3人の子を望む夫婦の中で、「3人とも男の子がいい」と回答しているのはわずか0.9%です。
男の子ママにジワジワとダメージを加える6つの言葉
0.9%にしか望まれていないのか……と驚きをこえてちょっとした感慨すら覚えたのが、男の子3人を育てている筆者です。最初の出産から11年目。少年団、子ども会、PTA活動を通じて地域に顔見知りがずいぶん増えましたが、公園や道を歩いていると、いろんな人たちから、いろんなことを言われます。しばしば子育て経験者からかけられるのが以下のような言葉です。
(1)「女の子がいると本当にいいよ」
子育ての先輩世代からよく言われているのが、この言葉。とくに推定70歳以上の高齢女性からは「年をとると話し相手になる」「友達のように出かけられる」「いろいろ手伝ってもらえる」という言葉がよく聞かれます。
(2)「(女の子ができるまで)もう1人がんばってみたら?」
妊娠して産んで育てるのって大変なんです……。多くの場合、軽いジョークのようなので、笑い飛ばしていますが。
(3)「(3人目の性別について)がっかりしたんじゃない?」
抱っこひもの中の子どもを見て「かわいいねー」と打ち解けたあとで、「女の子が欲しくて3人目つくったんでしょ。がっかりしたんじゃない?」と、こちらの心情を勝手に推し量られることも。
(4)「男の子がかわいいのは今だけよ」
その後、「いずれ生意気になるんだから」「お嫁さんにとられちゃう」という言葉が続きましたが、思春期とか、性の目覚めとか筆者もちょっと怖いんですよ。今はそれなりに楽しくやっているからもう少し夢を見させて……と思ってしまいます。
(5)「全員同じ性別だと3人目はラクラクだよね」
いいえ、どの子もそれぞれ大変です。「こんなものだろう」とあらかじめわかっている部分もありますが、それでも熱は出すし、かんしゃくは起こすし、夜泣きもします。それに勝るかわいさはありますが。
(6)「やせたね、大変なんだね」
いいえ、年をとるとヒップやバストがしぼむ家系なのです。グラマラス体型、憧れます……という言葉は飲み込みます。
根底にあるのは「男の子より女の子がいい」という経験の押し付け?
日ごろからこのような言葉のシャワーを浴びていると、少しずつ「育てるなら女の子がいいな」と心が傾く女性もいるのではないかと思うほどです。これらの言葉に共通するものとしては
「男の子より女の子がいい」という経験の押し付けがある
こちらの気持ちや境遇を決めつけている節がある
という2点です。
とはいえ、それぞれの人には決して悪意はないはずなので、最近は「いろんな考え方がある」と受け止め、全くといっていいほど意に介さなくなりました。
一方で、「これから本当に楽しみね!」と目をキラキラさせて言ってくれる人、会うたびに「かわいいかわいい」と言ってあやしてくれる人、わんぱくな次男の泥にまみれたクツの裏を洗ってくれて「子どもは元気じゃなきゃ!」と笑う近所のおじさんもいます。
こちらの心に寄り添った言葉は、時々涙が出るほどうれしく、心の中に深く染み入ります。
筆者には男の子を育てた経験しかありませんが、3人とも性格が異なり、それぞれに愛おしく、毎日目がまわるような忙しさではありますが、「女の子がいなくてかわいそう」というニュアンスを含んだ言葉は少々心外でもあります。
厳しくなる「落ち着きのない子」「わんぱくな子」への眼差し
男女格差が叫ばれている日本において、「女児が1人はいることが望ましい」という考えを持つ不思議な風潮は確かに存在します。その理由のひとつとしては、「女の子のほうが育てやすい」というものがあるのではないでしょうか。
一昔前に比べ「わんぱくな子」「元気の良い子」「落ち着きのない子」への眼差しが厳しくなっています。同時に「落ち着いた子」「手のかからない子」「育てやすい子」がより好まれる傾向が強まっているようにも思います。
男女平等とはいっても、子どものころから性別ごとに言動や嗜好の傾向があり、大人の考える「育てやすさ」の物差しでは、女の子のほうが当てはまる部分が大きいのかもしれません。また、母親が多くの家事・育児を担う現場においては、同性である女の子のほうがより行動を予想しやすく負担が少ないという側面もあると推測できます。
余談ですが、女の子の内孫が3人いる顔見知りの中国人女性は、「ウラヤマシイヨ! 男がイイヨ! 男がスキダヨ!」と、折に触れて威勢のいい片言の日本語であいさつ代わりに言ってきます。国によっても人によっても理想の性別に対しての考え方はそれぞれ。男の子を育てている相手に対して、「女の子のほうがいい」と言うのは、そろそろやめにしませんか?
【参考】「第14回出生動向基本調査 結婚と出産に関する全国調査(http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou14/doukou14.pdf)」(国立社会保障・人口問題研究所)
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