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残業代激減で住宅ローンが破綻! 収入減と返済迫る金融機関のはさみ打ちに…

LIMO / 2019年5月31日 21時15分

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残業代激減で住宅ローンが破綻! 収入減と返済迫る金融機関のはさみ打ちに…

急増する住宅ローン破綻

今も昔もサラリーマンを始めとする多くの庶民にとって、一生涯で最大の買い物は「家」。そして、大多数が住宅ローンを組んで購入します。この構図はこれからも変わりないでしょう。

ところで昨今、この住宅ローンが支払えなくなった人が急増しているようです。いわゆる“住宅ローン破綻”に陥ったことで、一家の生活水準が大きく低下するのはまだ良い方で、自己破産に追い込まれるケースも少なくないのが現実です。

子供の学費が払えずに退学を余儀なくされる、配偶者(主に妻)がパートで働き始めるなどということが珍しくなくなりつつあると言えましょう。

なぜ、住宅ローン破綻が急増しているのでしょうか? そもそも、住宅ローンを組む時点で金融機関から厳格な審査を受けているはずです。

しかも、街に失業者が溢れ出ているような状況ならともかく、現在の有効求人倍率(直近は1.63倍)は約45年ぶりの高水準、完全失業率(同2.5%弱)もバブル期並みの低水準を続けるなど、少なくとも雇用環境は好調のように見えます。

また、歴史的な低金利が続いており、金利負担が月々の返済額を増加させていることも考え難い状況です。

NHKが取り上げた事例では収入急減が引き金に

先日、5月14日にNHK「クローズアップ現代+(プラス)」で放送された『密着!住宅ローン破綻 サラリーマン危機最前線』において、住宅ローン破綻に至る背景が解説されていました。

放送後に大きな反響もあったようなので、番組をご覧になった方も多いと思われます。少しセンセーショナルに報じられている部分は否めませんが、実態を捉えていることは確かだと言えましょう。

放送では住宅ローン破綻に陥った4人の経緯が報じられました。内訳は、収入が急減して返済不能となった人が2人、転職したら収入が減って返済不能になった人が1人、不動産投資(マンション投資)で空室が埋まらずに返済不能となった人が1人でした。

このうち、最後に挙げた不動産投資が上手くいかないケースは投資案件の失敗であり、自らが居住する住宅のローン返済問題とは異なりますので、実質的には3人の住宅ローン破綻の経緯が報じられたことになります。

各々のケースの詳細は省略しますが、これら3件に共通しているのが“収入の急減”であり、その主要因が残業代の減少によるという点です。そうです、いわゆる“働き方改革”による収入減です。

そのうち、妻と子供2人(高校生、中学生)の4人で生活する40歳代後半の会社員(金融機関に勤務)は、残業代が減ったことで月収が40~50万円も減少したといいます。

この人のケースでは、今から4年前、毎月70~80時間の残業代を前提に住宅ローンを組んだところ、働き方改革の導入で残業時間が毎月1~2時間しかなくなったということです。これでは月々の返済ができなくなっても当然でしょう。

働き方改革による大幅な収入減は普通に起こり得る

“少しオーバーな例ではないか?”と思う人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。民間シンクタンクの試算によれば、働き方改革による残業時間削減により、日本全体で▲5.6兆円の収入減が見込まれており、単純試算では1人当たり毎月▲7万円減となります。

前述した人の場合、金融機関勤務で相応の高額所得者であるため残業単価が高いことを考慮すると、月々の残業時間が80時間減れば年収で▲400~500万円減は普通に起こり得ます。

一昨年から働き方改革が広く導入されてきましたが、次第にその影響(残業代減少)が出てきていると考えられます。確かに、この人が住宅ローンを組んだ4年前には、そのような前兆は全くありませんでした。

働き方改革を否定するつもりはありませんが、それによる収入急減に遭っている人が多いのは事実です。これで10月に消費増税を実施した場合、今後の個人消費低迷を懸念しない方がおかしいと言えましょう。

債権回収に舵を切った金融機関は情け容赦なく迫ってくる

今回の番組で放送された内容でもう一つ特筆すべき点は、住宅ローンが返済できなくなった時の、金融機関(主に銀行)の対応です。住宅ローン破綻に陥った人に対して、金融機関は情け容赦ない厳しい態度で臨みます。

昨年から明らかになった個人向け過剰融資問題が示す通り、長引く低金利を背景に銀行の収益環境が悪化する中、個人向けローンは数少ない高収益事業です。そのため、住宅ローン設定時の金融機関は、“お客様は神様です”のような手厚い対応を取ります。

しかし、金融機関にとって焦げ付きは絶対に避けなければならないのは今も昔も同じです。実際、住宅ローン返済が困難になった場合、残額の一括返済、しかも高額な遅延損害金を付加して請求してきます。

この一括返済請求の基準は、債務者の収入や金融機関により異なりますが、概ね1~2カ月滞納でイエローカード、3~4カ月滞納でレッドカードというところでしょうか。しかしながら、現実的には、月々の返済ができずに窮地に陥っている人が残額の一括返済などできるはずがありません。

その場合、居住している住宅を売却して返済資金を捻出することになりますが、一部の例外(高級物件など)を除くとローン残高が売却金額を上回るケースがほとんどです。つまり完済できないまま、その後に住宅から退去することになるのです。

では、その売却手続きが上手くいかない時はどうなるのでしょうか? その場合、金融機関から不動産競売に掛けられます。そして、裁判所による手続きを経た後、住宅から強制退去させられます。

金融機関は融資金額が焦げ付く懸念が高まると、債権回収のためにありとあらゆる手段を講じてきます。“昔のサラ金じゃあるまいし、いくら何でも金融機関がそこまではしないだろう”という考えは甘過ぎると言わざるを得ません。

改めて聞きたい、「その住宅ローン、本当に返済できますか?」

住宅ローン破綻に陥らないためのキーワードは「借りられる額」と「返済できる額」は違うということでしょう。特に、低金利の現在は、融資額そのものが膨張する傾向にあります。10月に予定されている消費増税前には、新規住宅ローンの駆け込みが見込まれます。十分過ぎるほどの注意が必要でしょう。

さて、この記事を最後まで読んでいただいた方で、既に住宅ローンを抱えている人、そして、これから新たに住宅ローンを組もうとしている人へ、金融機関の勤務経験がある筆者から真剣にお尋ねしたいと思います。「その住宅ローン、本当に返済できますか?」。

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