アーリーリタイアには貯金がいくら必要?アーリーリタイアをするメリット・デメリット
LIMO / 2019年6月5日 21時0分
アーリーリタイアには貯金がいくら必要?アーリーリタイアをするメリット・デメリット
早期の退職を意味する「アーリーリタイア」。働き方改革も手伝って、「自分の時間を大切にしたい」という中高年の注目を集めています。しかし実際に仕事を早期退職するには、その後の生活では一体どのくらいの貯金があったら可能なのでしょうか?
アーリーリタイアとはどんなもの?
定年前に退職し資産を切り崩しながら生活するスタイル
アーリーリタイアとは、定年退職などを待たずして仕事を辞めて、現在ある貯金などの資産を切り崩しながら生活していくことを指します。人生100年時代となり「70歳まで働きたい」という人がいる一方で、自分の趣味や家族との時間を大切にしたいという人が、40代や50代でアーリーリタイアをしているようです。
アーリーリタイアとセミリタイアの違い
似たような言葉に「セミリタイア」というものがあります。セミリタイアとは、定年が来る前に早期退職することはアーリーリタイアと同じです。しかし、退職後の過ごし方に違いがあります。
アーリーリタイアは退職後、今ある貯金を切り崩しながら生計を立てます。一方、セミリタイアは貯金をはじめとした資産を切り崩すこともあるかもしれませんが、パートやアルバイトなどの職を持って最低限の収入を得ながら、自分の生活を楽しむスタイルを指します。
アーリーリタイアが完全に仕事を辞めてしまうのに対し、セミリタイアはわずかでも収入があるので、生活資金などの蓄えをすることがアーリーリタイアよりは楽かもしれません。
アーリーリタイアするには貯金がいくらあればいい?
では実際にアーリーリタイアするにはどのくらいの貯金がなければならないのでしょうか?アーリーリタイアするには、その後に必要な資金の準備ができていなければなりません。どのくらい貯金が必要なのか解説します。
独身のアーリーリタイア
総務省統計局が出している「家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/index.html)」によると、35~59歳の単身世帯の平均消費支出額は月当たりで182,207円でした。個人差はあるものの、年金が支給されるまで月々の生活費約20万円が必要ということになります。
年金支給開始が65歳だとして、単純に50歳から15年間生活していくには20万円×12ヵ月×15年分が必要なので、最低でも3,600万円の貯金は必要となります。ただあくまで平均額での計算ということと、生活費以外に突発的な出費もあることを考えると、これ以上の額の貯金がなければ現実的に難しいかもしれません。
同様に、30代や40代でアーリーリタイアする場合も20万円×12ヵ月×(年金支給が開始されるまでの年数)年分は生活費が必要になります。
家族がいる場合のアーリーリタイア
同様に「家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要―」で2人以上の世帯の平均消費支出額は月当たりで287,315円となりました。家族の人数などで上下することはありますが、約30万円が生活費としてかかっている計算になります。
仮に50歳から年金支給が始まる65歳まで家族で生活するとしたら、30万円×12ヵ月×15年分で5,400万円が必要な計算になります。ですが、これはあくまで生活費の話です。子供が大学などに進学することになれば、当然学費も捻出しなければなりません。
家族がいる場合のアーリーリタイアは暮らしぶりや家族の人数によっては、1億円近い資産や貯金がなければ、生活をしていくのが難しそうです。
アーリーリタイアのメリット・デメリットとは?
アーリーリタイアにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
アーリーリタイアするメリット
早期退職制度を利用できる
40〜50代でアーリーリタイアするメリットは、会社の「早期退職制度」を利用できる可能性があることです。早期退職制度とは、希望退職制度の1つの方法で、通常の定年退職より退職金などを優遇する代わりに、定年前に退職を促す会社の人事制度です。
会社によって制度があるところとないところ、また、定期的に退職者を募っている会社や突発的に早期退職者を募集する会社など様々ですが、40〜50代なら少し多めに退職金をもらって会社を辞めることができるかもしれません。
やりたいことを実現する体力がある
定年である60代を待つよりも、40や50代でアーリーリタイアをすれば、その分若くて体力のあるうちに自分がやってみたかったことに打ち込む体力がある状態のまま、時間を使うことができます。
世界一周旅行に出かけたり、あるいは思い切って地方に移住してみたり、大きく変化が伴うようなアクションは意外と体力を使います。早めに自由な時間を手に入れることができれば、体力のある若いうちに様々なことにチャレンジできます。
アーリーリタイアするデメリット
50代のアーリーリタイアは再就職が難しい
きちんと貯金をした上で早期退職し、アーリーリタイアしたとしても、「自分が思い描いていた生活と違う」「予想外の出費で貯金が足りない」という事態に陥ることもあります。アーリーリタイアの生活から抜け出し、再就職しようと思っても50代だと他の年代と比較して再就職が難しい傾向にあります。
再就職が難しいかもというリスクをとってでもアーリーリタイアするか、もしくは不測の事態に備えてより多く貯金を行っておく必要があります。
まとめ
アーリーリタイアをするには多額の資産を蓄える必要があります。一方、自分のやりたいことや家族との時間を大切にしたい人なら、目指してもいい生き方とも言えます。人生100年時代となり、仕事、家庭、趣味など時間をどのように有意義に使って生きていくかを1人1人が考え、実現できるようになるといいですね。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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