受験までに「ベンツ1台分」のお金がとぶ!?経験者に聞く、「小学校受験」のリアル
LIMO / 2019年7月29日 20時30分
受験までに「ベンツ1台分」のお金がとぶ!?経験者に聞く、「小学校受験」のリアル
少子化が社会問題になりながらも、1人の子どもの教育費があがっている現代。小学校受験を考えているご家庭も増えています。
すでに私立小学校の説明会などが行われており、秋からは出願が始まります。今回は私立小学校に子どもが受験・合格したお父さん(Cさん)にインタビューを行い、その実態に迫りました。
私立小学校と公立の学費
文部科学省の『平成28年度(2016年度)子供の学習費調査』によると、公立小学校の学習費総額(年額)は32万2310円、対して私立小学校は152万8237円と公立小学校の約4.7倍となっています。
学習総額費とは、学校教育費、学校給食費、学校外活動費の総額をいいますが、このうち学校教育費の内訳をみてみましょう(「小学校の学校教育費の支出構成」表を参照)。
やはり大きな違いは授業料が発生していることです。学校納付金等も私立小学校では大きな出費となっています。また私立小学校の通学関係費も9万円となっており、電車やバス利用が多いことがうかがえます。
しかしもっとも出費が多いのは、小学校受験前のようなのです。
今回インタビューしたCさんの長女は、某有名私立小学校に合格・進学しています。出願校は私立が4校、国立が2校。実際に受験したのは私立3校だったようです。
Cさん自身は小学校から高校まで公立学校出身です。大きな不満などはなかったようですが、なぜ長女には学習費が多くかかる私立小学校に入学させたのか。教育方針や私立小学校を受験した理由、対策や自身が思う合格の決め手などについてうかがいました。
近所の先輩パパの言葉で…
Cさんは、小学校から高校まで公立学校を卒業し、大学は一流国立大学に進学。現在は会社経営者です。
自身が私立小学校に通っていたわけではないのに、なぜ長女の私立小学校受験を決めたのでしょうか。
「『子どもは公立でいいよ』と豪語していた先輩が、実際に最初のお子さんを公立に入れてみて改心し、『私立か国立がいい』と言い始めたのが1番最初のきっかけです」
「おおらかで豪快な先輩が『たまたまうちの子が行った学校がそうだっただけかもしれないけど、先生の質がまじでやばいぞ』と。その先輩とは家が近所だったので自分事になりました」
近所の公立小学校への不安感が、小学校受験を考えるきっかけになったようです。その後調べていくうちに小学校受験を決意するに至ったそうです。
「中学校・高校受験まで調べ、女の子は人気校が中学に集中していると感じました。また中学受験は算数ができるかどうかで結果が変わるので、小学校でワンチャンス挑戦しておくのもいいかなと」
教育方針は「挑戦し続ける人間に育てる」「大学は好きなところに行けば良い(日本である必要もない)」との考えのようで、小学校受験も挑戦の1つと捉えたようです。
もっともお金がかかるのは受験前!「エアベンツ案件」
Cさんは、長女が年中になる前から少しずつ「お受験教室」に通わせ、対策してきたといいます。
「小学校受験は、子どもの特性を深く理解するきっかけになったのがすごく良かった」「最初の教室はあまり合わず、途中で他の教室に移ってから一気に伸びました」
小学校受験をする最大のメリットは、「子どものことを深く理解できる」機会を得られることのようです。そのうえで、子どもに合っている教室を探すことが、合格への近道だと感じます。
しかしいわゆる「お受験教室」の料金は、「思考応用」「実技」「言語」など試験項目ごとに追加料金があるなど、高額になってしまう傾向があります。月謝は10万円前後が相場となっており、その他にテキスト代や夏期・冬期講習費、模試代、受験時の服装、受験料なども別料金です。また入学金があるところも多く、教室を変更すると入学金を2回支払うことも。
Cさんも「小学校入学までにベンツ1台分くらい飛んだので、「エアベンツ案件」と呼んでいます」と言っており、受験対策費が高額になるのは一般的なのかもしれません。
情報はあふれているけれど…こんな出どころには要注意!
小学校受験の情報はあふれており、Cさんはすべてに振り回されるのはキケンだと指摘します。
「情報収集は、学校のイベントに参加したり、すでに通わせているご家庭の話を聞いたりしました。しかし塾のママ友経由の情報はシャットアウトするように、妻に言っていました。尾ひれがついた不正確な情報が多く、混乱の原因になります。本当におぞましい世界です…」
塾のママ友の会話には、不安をあおる情報が多いようです。話す相手のための情報発信ではなく、「相手を不安にさせる」ための話も存在するよう。
受験前は誰もが不安になりがちです。そのような状態の人からの情報は、想像もつかないような尾ひれがついていることがあります。
また「受験ブローカー的な人も近づいてきましたが、それには一切触らず」と、情報の取捨選択はしっかり行ったようです。
受験校の決め方、通学時間は早めの確認を
Cさんが思う合格の決め手は、「自分が思う合格の決め手は、子どもの特性と志望校の出題内容を早期に確認して、対策をしたこと」とのこと。
子どものことをよく理解し、受験する学校の出題問題との相性を確認することが重要なようです。「親が入学させたい学校」を受験校にするのもアリだと思いますが、それ以上に「小学校が求めている人物像と、教育方針や子どもとの相性」を知ることが大切なのかもしれません。
また通学時間も、受験校の選択には大きく影響します。国立小学校などでは、「通学時間〇分以内」などの規定があるところもあり、確認が必要でしょう。
Cさんが受験校を決めた理由も「小学生の長時間通学は大変なので、家から無理なく通えるかは重要。どこに進学しても、大学は自分で受験させると決めていたので、ちゃんと勉強する環境があるかは気にしました」と、通学時間の重要性がうかがえます。
また子どもの将来について考え、そこから逆算して小学校を選択していく長期的な計画性も必要なのかもしれません。
小学校受験を良い経験にするために
Cさんが家庭内で気を付けていたことは、「たくさん会話をすること。受験に失敗しても子どもの心の傷にならないよう、最大限気を付けた」とのことです。
「小学校受験は、子どもの人生の数あるチャンスの1つに過ぎず、『子どもの特性を深く理解する機会』と考えて頂くと良いかもしれません」
小学校受験が子どものコンプレックスとならないように、配慮する必要があります。これから小学校受験をお考えのみなさんにとって、「挑戦してよかった」と親も子どもも思える経験になることを願います。
【参考】
『平成28年度子供の学習費調査(http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/1399308.htm)』文部科学省
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