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DV被害者が警察や保護施設から受けた仕打ち。なぜこうして放置されるのか?

LIMO / 2019年8月15日 20時15分

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DV被害者が警察や保護施設から受けた仕打ち。なぜこうして放置されるのか?

もしも恋人や夫に暴力を振るわれたとしたら、警察や女性相談センターに連絡をして、一時保護施設に保護してもらおうと考えるのが一般的でしょう。しかし、実際に夫に暴力を振るわれた被害者である筆者は、警察も女性センターも、まったく頼りにできないことがあるという事実を身をもって体験しました。

今回は、筆者が体験した警察や女性相談センターの対応などを振り返り、「泣き寝入りするしかないかも?」と孤独に感じたときに試してほしいことをご紹介します。

「明日の昼間に電話してください」

元夫は、機嫌を損ねると、物にあたったり暴力をふるったり、気が狂ったように笑ったり、筆者や子供のことをバカにしたり、倒れたフリをして困らせたりするDV夫でした。しかし、会社では「おとなしい」「真面目」「やさしい」と高評価。さらに、筆者の友人やママ友にも、穏やかな笑みを浮かべるジャニーズ系の夫だと好評でした。

その日も、いつものようにささいなことで夫が機嫌を損ね、拳を大きく振り上げる真似や足蹴りが始まりました。さらに、仕事で使うパソコンを壊すと笑いながら脅してきたのです。

「パソコンを壊されれば仕事ができなくなる!」と、筆者が慌てて反論していると、隣の部屋にいた小学生の息子が筆者を庇うために間に入ってきました。そんな息子を、夫は怒鳴りつけ、怯える姿を見て「ひゃっはっはっは!」とバカにしたように笑い始めました。

暴れながら狂ったようにバカ笑いする夫を尻目に、このままここにいたら危険だと、3人の子供を連れて車に飛び乗り、とにかく車を走らせたのです。そして、気持ちが落ち着いたところで、夫の暴力や離婚について相談済みだった女性相談センターに電話をしてみました。

「24時間対応しているので、何かあったらいつでもお電話ください」と言ってくれたため夜中でも勇気を出して電話をしたのですが、「ケガがないのなら緊急性も低いし、夜中なのでね。いっぱいなんですよ、どこも」「相談に来たって言っても、まだ1回しか来られてないしね。なので、明日の昼間に電話してください」と、迷惑そうに言われ、とてもショックを受けました。

さらには、「ご両親のところなんかはどうですか? 友達とか。1日ぐらいなら泊めてもらえないかしら?」というニュアンスのことを言われ、愕然とするしかなかったのです。

両親のところには弟家族も同居していましたし、友人のところにだって、子供3人を引き連れて急にお邪魔するわけにもいかない。だからこそ、悩みに悩んだ末に女性相談センターに相談したしたというのに…。

筆者は「もういいです」と声を絞り出して伝え、泣きそうになりながら電話を切りました。

「パソコンが壊れたら、もう一度来て」

女性相談センターに電話をしたあと、震える子供たちを見ていると「やっぱり帰ってはいけない」と思い、今度は交番へ駈け込んでみることにしました。けれど、駆け込んだ交番でも、信じられないような対応を受けたのです。

こちらの話を最後まで聞いてもくれず、「パソコンが壊れたら、もう一度来てくれる?」「旦那さんも、そこまではしないでしょう」と言われたのです。子供の頬を殴って数日間も紫色に腫れあがって学校を休ませたことや、殴られて頭が腫れ、2週間ほどたんこぶが引かなかったことも話したのに、です。

いやいや、子供が殴られたり、パソコンが壊されたりしてからでは遅いでしょう? 子供たちが破片を踏むかもしれないし、子供たちにも直接的な暴力を加えることだって考えられる。

それなのに、「交番はホテルじゃないから」「女性相談センターに電話しても無理って言われたんでしょ? だったら、無理だよ。とりあえず、うちに帰って。ね」と、タメ口でそう諭されました。

DV被害者は、子供や自らの身の危険を感じて交番に飛び込んでいるのに、このような対応をされたら、もう二度と交番に頼るのは難しいと考えてしまいます。女性相談センターに断られ、交番でも帰るよう諭されれば、よほどの傷を負っていない限り保護されないと考え、助けを求めることにも消極的になってしまいます。

「泣き寝入りしかない」と孤独に感じたら試してほしいこと

警察などの公務員をはじめ、国や県、市区町村などにあるさまざまな機関に相談をしても相手にされなければ、「自分の我慢が足りないのかも?」などと、おかしな方向に考えてしまいがちです。しかし、そんなふうに考える前に、まずは下記で挙げているすべての機関に相談してみてください(筆者が実際に頼りになると感じた順番に記載しています)。

■弁護士
お金が無くても、法律扶助という援助制度が受けられる可能性もあり、無料で相談できる場合があります。

■病院
提出してもしなくても、暴力を受けたときには病院へ行き、「夫に暴力を振るわれた」と伝えて診断書をもらっておきましょう。もらった診断書は、暴力をふるう夫や恋人との仲がうまくいっているときにも、絶対に見せないよう気をつけてください。

■警察
まずは交番。交番がダメなら管轄の警察署へ行きましょう。一番効果があるのは医師の診断書の提出です。

■女性相談センター
電話や面談を重ねる必要がありますが、記録を残してくれる場合には、離婚がスムーズにいくのに寄与する場合があります。記録を残してくれるかどうか最初に確認しましょう。また、相談をしていると状況が把握しやすいため、シェルターや保護施設に入りやすくなる可能性が高まるようです。

場所や人が変われば、対応も変わる

筆者の場合は最終的に弁護士の先生にお願いをしました。そのときに、警察や女性相談センターでの出来事を話したところ、「それは辛かったですね。○○さん(筆者の名前)の家は市内だから、県北の女性相談センターで力になれるかどうかはわからないけれど」と言い、県北にある女性相談センターを紹介してくれたのです。

県北の女性相談センターでは、24時間いつでも連絡を受け付けており、さらに身の危険を感じたときには、すぐに身を隠すことができると説明がありました。

「でも24時間とは言っても、実際には電話してはいけないんですよね? 保護してくれるシェルターも、いっぱいだったら断られるんですよね?」そう無意識に尋ねた筆者に、県北の女性相談センターのスタッフの方は、「辛い思いをされましたね。絶対にそんなことはありません」と声をかけてくれたのです。

そして、もしも保護施設がいっぱいだった場合でも、民間と提携している保護施設やホテルなどに身を隠すことができると説明してくれました。

また、県北の女性相談センターのスタッフの方が、暴力にあった事実などを時系列にして丁寧に細かくまとめてくれたお蔭で、離婚もスムーズに進めることができました。同じ県内にある女性相談センターでも、ここまで対応が違うのかと驚いたものです。

おわりに

日常的な身体的暴力や、死を選択してしまうほど精神的に追い詰めるDVは、放置すればするほど酷くなるというケースも少なくありません。相談した警察や機関に、たとえ「大げさ」「もう少し様子を見てみたら?」と言われたとしても、あなたが「しんどい」「苦しい」と思うのなら、その気持ちを大切にすることをおすすめします。

こうして記事にしたことで、筆者のようなDV被害者の声が、DV被害者を保護する立場の人たちにも届くことを祈っています。そして、DVを受けている人が正常に判断のできる被害の小さいうちに保護し、傷が浅いうちに精神的なケアなどを行って社会復帰ができるような仕組みになれば嬉しく思います。

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