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「高収入女子」の未婚率が高い3つのワケ~結婚後の仕事継続と「上昇婚」の難しさ~

LIMO / 2019年8月21日 19時15分

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「高収入女子」の未婚率が高い3つのワケ~結婚後の仕事継続と「上昇婚」の難しさ~

人気ファッション誌『S Cawaii!』が2018年11月号で特集した「20代のうちに結婚する方法」は大きな話題になりました。

厚生労働省の「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の結果」によると、夫妻の平均初婚年齢は夫が31.1歳で妻が29.4歳です。日本では晩婚化が進んでいますが、「20代で結婚したい」と思っている女性は少なくないようですね。

一方、高収入女子の未婚率は上がっています。その背景には一体何があるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

年収と結婚の関係は男女で違う!

はじめに、年齢階級別・個人年収別の有配偶率を男女別にご紹介します。有配偶率とは、配偶者がいる人の割合です。

下記のグラフは、独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)が2014年に公表した「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状② ― 平成24年版「就業構造基本調査」より―」をもとに、編集部がまとめたものです。個人年収別50万円未満の階級には「収入なし」を含みます。(表「男性の年齢階級と個人年収別 有配偶率」を参照)

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男性の年齢階級と個人年収別 有配偶率(JILPの資料をもとに編集部作成)

男性の有配偶率は、おおむね個人年収が上がるにつれてアップしていく傾向にあります。個人年収が600万円以上になると有配偶率は減少傾向に転じますが、個人年収900万円以上の階級では有配偶率が最も高くなります。

一方、女性の有配偶率と個人年収の関係は複雑です。(表「女性の年齢階級と個人年収別 有配偶率」を参照)

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女性の年齢階級と個人年収別 有配偶率(JILPの資料をもとに編集部作成)

女性で有配偶率が高いのは、年収149万円以下の階級です。個人年収300万~599万円の階級でも有配偶率の高まりが見られます。個人年収600万円前後で有配偶率は減少傾向に転じ、個人年収900万円以上になると再び上がっています。

働き方の調整を迫られる女性たち

本調査の結果には、妻の所得調整が大きく影響していると考えられます。配偶者控除・配偶者特別控除制度は2017年に改正され、2018年からは新制度がスタートしています。しかし、この調査が公表された2014年時点では、いわゆる「夫の扶養範囲内で働く」ことを目指す妻は年間給与を103万円に抑える必要がありました。

低収入女子が結婚しやすいのではなく、結婚したから低収入になったという可能性があるのです。逆に、高収入女子だから結婚しにくいのではなく、結婚していないから高収入だというケースもあるでしょう。

女性が出産後に継続して働き続けるためには、会社と家庭の協力や環境づくりが不可欠です。いったん正社員を辞めてしまうと正社員として復帰するのは容易ではありません。

内閣府男女共同参画局が2018年に公表した『「第1子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について』によると、第1子出産後に退社した女性の割合は3分の1を超えています。子どもが生まれた後に働き方を調整しやすい非正規雇用を選ぶ女性は決して少なくありません。(表「第1子出産前後の就業状況」を参照)

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第1子出産前後の就業状況(内閣府男女共同参画局の資料をもとに編集部作成)

しかし、国税庁の「平成29年分民間給与実態統計調査結果」からは、正規雇用と非正規雇用では年間平均給与に大きな格差がある実態が見えてきます。非正規雇用の年間平均給与は正規雇用の4割程度にとどまっているのです。(表「女性の年間平均給与 雇用形態別」を参照)

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女性の年間平均給与 雇用形態別(国税庁の資料をもとに編集部作成)

高収入女子の未婚率が上がる3つのワケ

高収入女子の未婚率が高い背景には、さまざまな要因があるようです。

結婚しなくても生活していける

SMBCコンシューマーファイナンス(株)が2019年3月に30~49歳の男女1000人を対象に実施した「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019」の結果からは、収入に関係なく結婚や出産・子育てをしたいと思わない人が一定数存在することがわかります。(表「結婚・出産・子育てをしたいと思える世帯年収」を参照)

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結婚・出産・子育てをしたいと思える世帯年収(SMBCコンシューマーファイナンスの資料をもとに編集部作成)

結婚したり子どもが生まれたりすると自由気ままな生活がしにくくなるので、「お金に不自由しなければ結婚しなくてもいい」と考える人もいるかもしれませんね。

結婚相手のターゲットが狭い

一般的に、結婚する男女は教育レベルが同程度になるといわれています。政府統計の総合窓口「e-Stat」の「平成29年就業構造基本調査 全国編 世帯単位で見た統計表」によると、妻の最終学歴が「大卒・大学院」だという場合、配偶者の最終学歴はほとんどが「大卒・大学院」です。(表「妻と夫の最終学歴」を参照)

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妻と夫の最終学歴(e-Statのデータをもとに編集部作成)

一方、夫の最終学歴が「大卒・大学院」だという場合では、配偶者の最終学歴は「大卒・大学院」と「専門学校・短大・高専」で拮抗している状態です。

日本女性には、教育レベルが同程度以上の男性のみを結婚のターゲットにする「上昇婚」志向の人が多いといわれています。高収入女子は教育レベルも高いのが一般的なので、自分よりも高学歴の男性だけを結婚のターゲットにしていると必然的にお相手が限られてきます。「高学歴・高収入男性と結婚したい」と考える女性は多いため、競争率が高くなりがちです。

彼氏の収入が自分より低いと葛藤が生まれやすい

「結婚相手に求めるもの」と「彼氏に求めるもの」とは違うのが一般的です。子育てには高額な費用がかかるため、子どもが欲しい人にとって収入の高さは無視できないファクターといえるでしょう。「お金がなくても自分のことなら我慢できる」という人でも、「子どもには我慢させたくない」と考えるケースは珍しくありません。

また、「男性が働いて家族を養う」「お金を稼ぐ人のほうが価値がある」という旧態依然とした常識は、共働きが当たり前になった現代でも日本人の心に深く染み付いている様子です。常識にとらわれ過ぎていると、収入の多寡が夫婦に上下関係をもたらす可能性もあります。

また、男性自身が収入の差を気にしている場合は、彼女のちょっとした言動でプライドが傷ついてしまいます。女性にとって仕事の功績を認められて昇給するのはうれしいことでしょうが、「彼氏には伝えにくい」と感じる人もいるようです。このような彼氏と結婚するとケンカが増えそうで、結婚をためらってしまう人も出てくるでしょう。

まとめ

高収入女子の有配偶率やその理由について見てきました。

共働き世帯が主流になり、働き方改革の影響などから高収入女子は増加傾向にあるといえます。「子どもがいるから、非正規雇用に切り替えた」「夫にはしっかり稼いでもらわないと」といった旧態依然の考え方は、変わっていくかもしれません。そして、結婚相手の条件なども同じように変化していくのではないでしょうか。

結婚するかしないか、事実婚にするのか、多様な選択ができる時代になりました。そして結婚するとしても、相手の給料や就職先だけではなく、本質を見極めて結婚することもできます。視野を広げて様々な選択を考え、自分がもっとも幸福になれる選択をしていきたいですね。

【参考】
「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の結果(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/index.html)」厚生労働省
『「第1子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について』内閣府男女共同参画局
「平成29年分民間給与実態統計調査結果」国税庁
「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019」SMBCコンシューマーファイナンス
「平成29年就業構造基本調査 全国編 世帯単位で見た統計表」e-Stat

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