ESG投資のその先へ! 歴史に学ぶ「社会インパクト投資」の可能性
LIMO / 2019年9月21日 20時45分

ESG投資のその先へ! 歴史に学ぶ「社会インパクト投資」の可能性
今から1年3ヵ月前、2018年6月にクラウドクレジット(以下、当社)は「社会インパクト投資宣言」を出しました。
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従来の投資から「社会インパクト投資」へ
社会インパクト投資とは、貧困支援や教育問題など社会的課題の解決に取り組む企業や領域に投資し、経済的なリターンと社会的なリターンの両立の実現を目指す、昨今世界中で注目を集めている投資手法です。
従来のリスクとリターンの2軸に基づいた経済的な指標の加え、3軸目となる社会インパクト(社会に改善をもたらす前向きな変化)も計測していくもので、その計測方法については世界中で積極的な議論が交わされています。
従来の投資の考え方から「社会インパクト投資」へ
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出所:クラウドクレジット作成
この「社会インパクト投資」という言葉が世界で初めて公に登場したのは、2007年に開催されたロックフェラー財団の会議だと言われており、これ以降、社会インパクト投資は国内外において大きな成長を遂げています。
国内外の社会インパクト投資の市場規模推移
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出所:Global Social Impact Investment Steering Group(GSG)国内諮問委員会(2018)「日本における社会的インパクト投資の現状2017」を基にクラウドクレジット作成
注:2020年の世界の市場規模は予測値
日本の市場規模は世界全体で見るとまだまだ小さいですが、2016年以降に国内大手運用会社が一般の投資家向けに社会インパクト投資をテーマとしたファンドをつくり、国内の銀行や証券会社が販売を開始するなど、今後市場規模の拡大が期待されています。
歴史を辿って見えてくる「社会インパクト投資」の可能性
さて、ここからはこの社会インパクト投資がどのような歴史を辿って誕生したのかについて、簡単にご紹介していきます。
皆様は「社会的責任投資(Socially Responsible Investment、以下「SRI」)」をご存知でしょうか?
言葉だけは聞いたことがあるという方も少なくないかと思いますが、SRIの歴史は意外に古く、そのルーツは米国にて禁酒法を背景とする1920年代とも、ベトナム反戦運動の残り香ある1960年代ともいわれています。
SRIの投資手法は「ネガティブ・スクリーニング」です。ネガティブ・スクリーニングとは、あらかじめ決められた特定の社会的あるいは環境に対する基準を満たさない企業を排除することを指します。たとえば、投資を検討する際に、アルコールやタバコ、ギャンブル、ポルノなどといった社会的に好ましくないとされることに関わる企業をあらかじめ投資対象から外すといったようにします。
このネガティブ・スクリーニングを投資手法とするSRIは、その時々の社会における道徳観や倫理観、また時代に応じた宗教的価値観や社会的価値観の影響を受けながら、その後脈々と続いていくことになります。
1970年代の欧州では、環境や社会に貢献する金融機関が必要だとの議論が始まり、1980年にはオランダに「倫理的銀行(Ethical Bank)」と呼ばれるトリオドス銀行が誕生しました。この銀行は、与信審査にあたってネガティブ・スクリーニングを行っており、SRIの要素を持った金融機関といえます。
このSRIの流れに変化をもたらしたのが、2006年に国連が主導して発足した「責任投資原則(Principles for Responsible Investment)」です。この原則は6つの項目から成り立っていますが、要約すると、世界の環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)の課題を従来の投資分析と意思決定のプロセスに組み込んで、持続可能な金融システムを構築しましょう、ということになります。
この原則に基づいて環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)それぞれの英単語の頭文字をとったものが、近年世界的に注目を浴びている「ESG投資」です。ESG投資とは文字通り環境や社会問題への対応を意識した投資です。日経新聞によると、2018年4月時点でESG投資の運用資産は23兆ドル。これは世界の運用資産全体の約4分の1を占めていることになります
2018年6月時点で、責任投資原則に賛同・署名した世界の金融機関は2,000社超に及びます。日本では、年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年にこの原則に署名したことをきっかけに賛同者が増え、署名金融機関の数は60社超となっています。もちろん、世界の中ではまだまだ少ないですが、国内におけるESG投資の認知、導入は徐々に進んでいるといえます。
ESG投資のように環境や社会問題に着目するとなると、一般的に「リターン水準の低下」が気になるところです。しかしながら、GPIFなどはESG投資を採用するにあたって、それが持つとされる長期的なリスク調整後リターンの改善効果も考慮した上でのことであるのが注目に値します。
ESG投資は、リターン向上の観点からも持続的な金融システム構築の可能性を高める投資手法であり、そうであるが故に昨今の投資家の顕著な流入増に繋がっていると考えられます。
社会インパクト投資の潮流
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出所:クラウドクレジット作成
このようなESG投資の広がりをさらに促進する重大なイベントが2008年に起こりました。まだ記憶に新しいリーマン・ショックです。リーマン・ショックは、世界経済や金融に多大な影響を与えたことはもちろん、世界の人々の考え方にも少なからぬ影響を与えました。「このまま資本主義を徹底的に追求することがはたして前向きな経済成長を導くのか?」、「健全な社会を形成するためには一体どのような投資が必要なのか?」等といった疑問が生まれました。
各国の首脳陣、経済界を中心として、新しい投資の考え方が議論、検討されていった結果、誕生したのが、経済的リターンとともに社会的リターンも追求していく「社会インパクト投資」なのです。
以上、貸付型クラウドファンディングを通じて投資家の皆様の資産形成と世界の成長をつなぐクラウドクレジット(https://crowdcredit.jp/)でした。
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