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あなたの怒りは「赤の炎」?「青の炎」?躾と虐待の違いとは

LIMO / 2019年9月23日 21時15分

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あなたの怒りは「赤の炎」?「青の炎」?躾と虐待の違いとは

「もうおねがい ゆるして」

2018年3月に東京都目黒区で、当時5歳の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが両親からの虐待によって死亡した事件は、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。

両親から精神的・身体的な虐待を受け続けていた結愛ちゃんは、遊ぶことを禁じられひたすらひらがななどの勉強を虐げられていました。

厚生労働省の調べによると、2018年度の児童虐待件数は、児童相談所が把握しているだけで15万9,850件(速報値)です。

2013年度は7万3,802件であるのに対し、わずか5年の間で倍以上の虐待数になっています。

(なお、増加原因の1つに全体の55.3%を占める「心理的虐待」の増加が挙げられる。これは「配偶者間のDVを子どもが目撃したこと」を「心理的虐待」とみなしており、警察からの通告が増加していることが影響している。「身体的虐待」は4万256件と全体の25.2%となっているが、こちらも増加傾向にある)

私たちはどこかで「児童虐待は自分には関係のない話」と一線を置いてしまいがちですが、実際の数字を見てみると、とても他人事には思えないのではないでしょうか?

「躾」と「虐待」の境界線とは?

昭和生まれの私としては、多少の体罰は当たり前の環境で育ちました。

そう思えたのは、叩かれるという負の行動の裏には、ほとんどの場合「叩いた人の愛」が込められていたからです。

躾というのは親や大人の指示を聞くことができる子どもを育てるのではなく、社会に出てから善悪のわかる、人の気持ちがわかる立派な大人に育てていくためのプロセス。
私はここに、躾と虐待の境界線が存在していると思えてなりません。

子どもに生意気をいわれたり、時には理不尽な暴行を受けたりすることもあるでしょう。
大人も人間ですので、そういった子どもの態度についついイラっとして怒鳴り声をあげたりゲンコツやお尻を「パチン」としたりしてしまうことはあるのではないでしょうか。

手をあげたからといって全て虐待になるとは思いませんが、手をあげる瞬間に「イライラを爆発させる」状態であれば、虐待につながっていく恐れが非常に高いでしょう。

「虐待親」に見られる特徴とは

虐待親の特徴は、とにかく自分の気分で怒り狂うこと。いうのであれば「燃え上がった赤の炎」です。

「子どもがいうことを聞かなかった」「約束を破った」など理由はさまざまですが、虐待親は自分のストレスを、子どもに暴力を振るうことによって解消しているという共通点があげられます。

反対に、躾と称して多少の「お仕置き」をしている親は、燃え上がる赤い炎ではなく「静かなる青の炎」と言い換えることができるでしょう。

子どもの将来のために、親として今なにをすべきであるのかを冷静に考えることができているため、虐待親と違って大声で怒鳴ることは少ないはず。

冷静に叱っているから、多少のお仕置きをしたとしても身体中がアザだらけになるような状態にはなりません。

自分は「赤の炎」?それとも「青の炎」?

大人も人間です。家事や仕事でバタバタしている中、そこへ子育ても入ってくると、子どもの態度にイラっとなりついつい手をあげてしまいたくなるシーンもあるでしょう。

どんな親にも虐待をしてしまう可能性はあるので、今一度「自分はイライラして怒っているのか?」それとも「子どもの成長のためを思って厳しくしているのか?」を考える必要があります。

自分の力で生きていくことができる人間、善悪の区別がわかる人間を育てるためには、親が「どのように子どもを育てていくべきか」を学ぶ時間が絶対に必要だと感じています。

本当は親も苦しんでいる!

世間では、当たり前に「虐待する親が悪い!」と評価されがちですが、私は一概にそうはいいきれないと感じています。

親だって、できるなら我が子を奏でるように愛したい。優しい声で本を読み、1日を幸せな気持ちで終えたい。…本当は多くの親が、心の奥底ではこんな気持ちを持っているのではないでしょうか。

けれど、親自身も子どもの頃、なんらかの虐待を受けていたり、十分に愛されたりした体験がないことから「子どもへの愛情のかけ方がわからない」というケースもあるはずです。

今後世界的にも、児童への虐待防止活動や法律は、さらに厳しくなっていくことが予想されます。

「虐待している親が悪い」と一方的に理解してしまうのではなく、「親も苦しんでいるのだ」という多様性のある視点を持つことが、虐待親の減少につながると思えてなりません。

地域や保育・教育機関が密に連携し、親に「子どもの育て方」「叱り方」「褒め方」などの具体的な方法を教える場がもっと増えていけば、苦しむ親の逃げ場や居場所になるのではないでしょうか。

【参考】
「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)、平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数及び「通告受理後48時間以内の安全確認ルール」の実施状況の緊急点検の結果(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000190801_00001.html)」厚生労働省
 

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