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「おばさんの口出し」は若い子への嫉妬? 30歳になってわかった“お局キャラ”の幻想

LIMO / 2019年10月13日 21時10分

 「おばさんの口出し」は若い子への嫉妬? 30歳になってわかった“お局キャラ”の幻想

「おばさんの口出し」は若い子への嫉妬? 30歳になってわかった“お局キャラ”の幻想

「若いこと」が評価の一つになりがちな日本。特に女性においては、実年齢だろうと見た目年齢であろうと1歳でも若くあることは絶対的正義かのように言われ、男女問わず「女性は若ければ若いほどいい」と堂々と言う人もいます。また「女性に年齢を聞くのは失礼」というのも、女性をリスペクトしているように見えて、そもそも年齢に囚われている価値観が根底にあることがうかがえます。女性が何歳だろうと別にどうでもいいのであれば、年齢を聞くことに失礼もなにもないのですから。

そしてそういった女性と年齢にまつわる価値観の中では、年上の女性はとかく意地悪で口うるさいといった「お局」キャラに仕立てられ、「おばさんが若い女性に嫉妬している」という構図を作り出されることがしばしばあります。かねてからこの構図に疑問を持っていた筆者は、30歳を迎えるにあたって気付いたことがありました。

「自分のような失敗をしてほしくない」という思い

先日、TOKIOのリーダー城島茂さんが24歳年下の菊池梨沙さんとできちゃった結婚を発表しました。二人の年齢差や「一目ぼれをした」と城島さんが語った出会いの時期は菊池さんがまだ19~20歳だったことなどから、祝福と同じくらい批判の声が出ていることも事実です。

そんな批判に対し、「男が若い子を求めるのは当たり前」「おばさんがただ嫉妬しているだけ」という意見も少なくありません。しかし筆者は、この結婚を批判的に捉える女性たちの中には、自身の経験と重ねた人も多かったのでないかと感じました。それは、かつて大学に進学したり社会に出たりする20歳前後に、父親ほど年齢の離れた男性からアプローチされて嫌な思いをしたり傷ついたりした経験です。

筆者が大学生の時、バイト先で30代後半のアルバイト男性に何度も告白されて困っている同い年の女の子がいました。話の流れでその男性に好きなタイプを聞かれ、「年下より年上がいい」と返答したことから、執拗なアプローチが始まったそう。助けを求められて困った筆者は、40代前半のパート主婦の方に彼女と一緒に相談。

すると主婦の方がくれた助言は「あの子(男性)には私からも言っておくけど、あなたも少し言動を意識した方がいい。私も昔経験あるけど、気さくに話しかけられただけで『この子は自分のことが好き』と勘違いするおじさんは少なくないよ」というもの。筆者と同僚は「どうしてこっちに非があるかのような言い方をするの?」と少し戸惑ってしまいました。

結局その同僚は、職場の人間関係がうまくいかなくなって早々に退職。彼女にとって、アプローチしてくる男性と同様に、主婦の方の助言も鬱陶しく感じたのかもしれません。しかし、今考えると若い子に“女性としての生きやすさ”のようなものを教えてくれていたのだとわかります。それは経験則から、「同じような思いをしてほしくない」という親切心だったのでしょう。

自分の能力を評価されていると勘違いしていたあの頃

筆者は大学生の頃、女の子だけで演劇活動を行っていました。自分の関わる舞台やイベントには必ず来てくれる40代~50代のお客さんが数人いて、公演が終わると、脚本や演出などのいわゆる“中身”を褒めてくれることが多かったです。筆者は当時、年齢や性別に関係のない能力を褒められているのだと思っていました。

しかし、今になってわかります。あの方たちは、20歳前後の若い女の子がキャッキャと何かやっている光景を娯楽として消費していただけで、中身云々は関係ないし、対象が別に筆者でなくても良かったのだと。センスだとかカルチャーだとかの渦の中で踊っていただけで、客観的に見たら“地下アイドルを追いかけるファンのおじさん”と何も変わらない構図だったからです。

今、大学の後輩の中にも演劇や映画、音楽などを続けている女の子がいます。筆者はお節介だとはわかっていながら、先輩ズラをして「チヤホヤされて勘違いした時が怖いから気をつけてね」と言ってしまいます。

筆者は公演を観に来てくれていたお客さんの一人から、「同じ最寄り駅に引っ越したから今度飲みに行こう」と言われたことがありました。若い女の子の才能や知識を評価しているかのように近づいて、実は別の狙いがある場合が少なくないことを経験から知っているからです。

「おばさんが若い子に嫉妬している」は誰が作り出しているのか

よく、女性同士の対立やいざこざが起こると「女の敵は女」という表現が出てきます。しかし、筆者自身の経験上は「おばさんが若い子に嫉妬している」という構図は、男性との何かしらの関係性の中で生まれていることがほとんどのような気がしています。

そして30歳になって感じるのは、自身が20歳の女の子に抱くのは嫉妬という感情ではなく、ただただ心配な気持ちです。若い子たちが自分と同じような嫌な思いをしないで済むなら、何かしら助言してあげたいという老婆心。もちろん、嫌なことも勘違いしたこともあの時に経験したからこそ今の自分を作ってくれたのですが、振り返ると別に経験しなくても良かったことも少なくありません。

そう思うと、いま自分よりも年上の女性からもらう助言やアドバイスは、適当に聞き流すだけでなくしっかりと受け止めることも必要なのかもしれないと感じてしまいます。

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