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三つ子次男傷害致死、孤独で過酷「多胎児子育てのリアル」

LIMO / 2019年10月21日 19時15分

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三つ子次男傷害致死、孤独で過酷「多胎児子育てのリアル」

2018年に愛知県豊田市で起こった三つ子傷害致死事件。生後11カ月の次男を床に2回たたきつけて死なせたとして、母親が傷害致死罪に問われたものです。

一審の名古屋地裁岡崎支部が母親に懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡し、子育て経験者を中心に「情状酌量の余地がある」という声があがったのは記憶に新しいところです。そして先月、控訴審の判決が下りました。結果は、一審の判決を支持するというもの。

この控訴審の結果をきっかけに、多胎児育児の過酷な実情に再び注目が集まっています。

多胎児出産の現状は

厚生労働省が2019年にまとめた『多胎児支援のポイント(https://www.mhlw.go.jp/content/000509321.pdf)』によると、2017年の多胎児出産の年間件数は約9900件で、出産全体の約1%を占めています。妊婦100人に1人の割合で多胎児が産まれている状況です。

同資料によると、母親の年齢が上がるにつれて多胎児出産の割合が増える傾向がみられます。45歳以下では多胎児出産の割合は2%台ですが、45歳以上では5.95%と一気に上昇。排卵誘発剤や体外受精などの不妊治療に起因する双子以上の多胎児出産が増加していると考えられています。

多胎児出産では単胎児に比べて低出生体重児の割合が多く、妊娠期から母親に安静保持や管理入院が求められるのが一般的です。

多胎児を授かれば喜びも2倍、3倍になるかもしれません。しかし、多胎児家庭の経済的・精神的・肉体的負担は重くなりがちです。「多胎児の出産や子育てにはリスクが伴う」という認識を国民全体で共有していく必要があるでしょう。

多胎児の過酷な子育てのリアル

多胎児の子育ては想像以上に過酷です。

新生児の授乳は基本的に3時間ごと。ところが、多胎児の場合は、授乳がエンドレスに続くことになりかねません。また、子どもの夜泣きで睡眠が十分に取れないということも。母親は、出産で体力が落ちているにもかかわらず、自宅に戻った瞬間にそのような状態になるのです。当然、十分な静養もできません。

また乳児を何人も抱えての外出はあまりにも重労働。自然と外に出る機会が減り、孤立感を深めてしまう点も無視できません。サポートを受けたいと思っても、乳児を自宅に残しての事前手続きが必要になるケースも多く、それもままなりません。

ハイハイやつかまり立ちができるようになることによる事故のリスク、1歳前後には母親から受け継いだ免疫力が低下することによる感染症のリスクもあります。そしてイヤイヤ期になれば、家事や育児がスムーズに進まなくなるという現実。それが人数分のしかかってくるわけです。

多胎児の子育てに必要なのは訪問型支援

ワンオペ育児の経験がある人なら、一時保育やファミサポ、ベビーシッターなどの利用を検討したことがあるかもしれません。

一時保育とは待機児童など保育園に入れない子どもを認可保育園などで一時的に預かる仕組みです。一方のファミサポとは厚生労働省が運営する子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)のことで、サポートを必要とする人(利用会員)とサポートを提供したい人(協力会員)をマッチングする仕組みです。基本的には、子どもの預かりは協力会員の自宅で行われます。

ただ、多胎児の子育てでは外出そのものが難しいため、ベビーシッターや家事ヘルパーを自宅に呼ぶのが最も現実的な方法といえます。しかし、このようなサービスは高額になりがちで、気軽に継続利用しにくい点がネックといえるでしょう。無料か安価で利用できる訪問型支援の体制作りが急がれます。

まとめ~母親だけに子育てを押しつける価値観を見直そう~

多胎児を妊娠したことは比較的早期に判明するので、できるだけ早く自治体の支援や多胎児サークルとつながりましょう。

「多胎児育児経験者の話が聞きたい」という当事者のニーズは非常に高く、多胎児育児経験者が参加するプレパパママ勉強会を実施している自治体もあります。出産前から多胎児育児経験者の知り合いを作っておくと安心ですよね。

多胎児の預かり保育だけではなく、家事サービスや兄弟のケアサービス、外出サポートなどが利用できる自治体もあります。保健師に多胎児育児経験者が同行する訪問型支援についても検討が始まっています。

日本では少子化が大きな社会問題になっていますが、改善の糸口はつかめていません。現状を打破するためには、誰もが安心して子どもが産める環境を作ることが急務です。

行政による支援体制の充実は喫緊の課題ですが、私たちにもできることがあるのではないでしょうか。ひとりひとりが当事者意識を持って、母親だけに子育てを押しつけがちな風潮を見直していく必要があるでしょう。

【参考】
『多胎児支援のポイント』厚生労働省

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