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会社でも家庭でも板挾み! 昭和のサラリーマンを父親に持つアラフォー男性の苦悩

LIMO / 2019年10月30日 20時15分

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会社でも家庭でも板挾み! 昭和のサラリーマンを父親に持つアラフォー男性の苦悩

10月24日、母親(80)の遺体を自宅に放置したとして埼玉県川口市に住む無職の男性(52)が死体遺棄容疑で逮捕されました。この親子の年齢を聞いて、昨今社会問題となっている中高年の引きこもりと、親が経済や介護などさまざまな局面で困難な状況に陥る「8050問題」だと認識した人は多いことでしょう。

「8050問題」で取り沙汰される引きこもりについては、日々一生懸命働いている人たちからすると少し遠い世界の話のようにも聞こえます。一方で、実際に70代~80代の親を持つ40代~50代男性の中には、別のコンプレックスや問題を抱えているケースも。筆者の夫とその父親(義父)の例をご紹介します。

働いた分だけ稼げて家族を養い、家にいないことが当たり前だった義父

筆者の夫の父親(以下、義父)は75歳。区切ると「戦中生まれ世代(焼け跡世代とも)」に入りますが、ほぼ「団塊の世代」と同じ年代です。

義父は高校時代、成績優秀だったものの家庭が裕福ではなかったために大学進学を断念。当時も大卒の方が就職先に困らなかったものの、義父は高卒でもお給料を十分に貰えそうな就職先を調べ上げた上で、高度成長期当時に伸びに伸びていた重化学工業分野の会社に就職しました。

仕事人間だった義父は、結婚して夫を含めた2人の子どもが産まれてからもほとんど家に帰ることがなかったそうです。朝から晩まで働き詰めで、時には会社に寝泊まりをし、取引先ととにかく飲み会、休みの日でも出張やゴルフなどが当たり前で、夫も「大人になるまで親父が家にいた記憶が数えるほどしかない」とよく笑いながら振り返ります。専業主婦だった義母は、2人の子どものワンオペ育児とすべての家事を文句も言わずにこなしていたのだとか。

義父のサラリーマン時代の話を聞いていると、仕事がハードだったと言えども今の時代とはあまりにも違うことに驚かされます。年に4回のボーナス、年に2回あるという数万円の昇給…。バブル絶頂期には、家族4人でアメリカへ2週間の家族旅行へ出かけたと言い、航空券や宿泊費などトータルで100万円以上使ったそう。

そして、18歳から定年まで同じ会社で勤め上げた義父の退職金は、それはそれは相当な額だったようです。

義父にとって、家庭を顧みずに働くことは「男として」当たり前。そして、頑張って働いた分だけ給料が上がっていくことは「仕事をする上で」もちろん当たり前でした。そしてその当たり前を、自分の息子にも当てはめていました。

正反対の2つの常識で板挟みになるアラフォー男性

一方、筆者の夫は42歳。1971年から1974年までに生まれた世代である「団塊ジュニア」より数年後に生まれていますが、バブル崩壊後から2004年頃までに高校や大学を卒業した人たちを指す「就職氷河期世代」のど真ん中です。大卒でも2人に1人しか就職できないと言われた世代でしたが、夫は奇跡的に新卒で無事に就職。

そして現在に至るまで、いくつかの異なる職種を渡りながら数回の転職をし、それなりにスキルアップやキャリアアップをしてきました。中高と体育会系だったために昭和生まれ特有の“根性”がある方なので、会社の理不尽さや残業などにも屈せずに仕事をバリバリこなしてきたそう。幼少期から見てきた義父の残像も、夫の仕事観に大きく影響しているでしょう。

しかし今、夫にとっては義父のやってきた生き方が全く参考にならない局面を迎えています。管理職となった夫は、自分よりも年上の上司からは「会社へ忠誠心を」「プライベートよりも仕事が大事!」と言われ、自分よりも年下の部下からは「それ、ハラスメントです」「仕事より休みが大事です」と言われる。

さらに家に帰れば妻である筆者から求められるのは、「うちは共働きなのだから、あなたも家事育児を手伝ってよね?」という、自身の父親が全くやってこなかった“お手本のない”家庭への関り。関りどころか、筆者は時として自分と同等以上の家事育児を求めてしまうこともあります。

これまで親や社会から散々押し付けられて染み付いてきた「こうあるべき」という考え方や生き方とは、正反対の男性像や常識を突きつけられているのです。

かつて植え付けられた価値観が“呪い”のようにアラフォー男性を苦しめる

筆者がこんなにも夫に同情的になるのは、先日家事育児分担を巡って夫婦げんかをしたから。筆者が「もう少し家事育児を当事者意識でやってほしい。仕事だけしていればいいっていう感覚になってない?」と言うと、夫は怒るでもなく懇願するように静かにこう言いました。

「“男も家事育児できないといけない”ってわかってるけど、一番身近な父親がそうじゃなかったから難しい部分もあることを理解してほしい。少しずつかもしれないけど、頑張って変わるから」。

こう言われた時、夫の生まれ育った環境や時代を考えると、家のことを顧みなかった義父には「家族を養うため」という大義名分があったものの、今では呪いのように夫を苦しめる存在になってしまっているのだと筆者は悟りました。

義父はほとんど家にいることがなかったからか、義母とは違って今でも夫とは距離があるように筆者の目には映っています。あの時代のサラリーマンとしては当然のように毎日身を粉にして家庭を置いてきぼりにして働いた義父と、そんな義父の背中を見て育った夫。誰も悪くはないはずなのに、父子の距離感や筆者との夫婦関係においても微妙な不協和音を生じさせていることも事実。

時代に振り回され、時代の間に挟まれ、世代間ギャップの弊害をダイレクトに受け苦悩を感じている夫のようなアラフォー男性はとても多いように感じます。彼らが生まれ育った環境や彼らの父親の姿などを考察してみると、夫婦の家事育児分担だけでなく、中高年の引きこもりや昨今世間を震撼させる事件を起こす犯人の動機を紐解き、問題を解決するための何かしらのヒントにもなるのではないでしょうか。

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