”投資信託で損”は少なくない!? 老後のために失敗しないリスク分散とは
LIMO / 2019年11月7日 20時15分
”投資信託で損”は少なくない!? 老後のために失敗しないリスク分散とは
“老後資金2000万円問題”をきっかけに、「老後に向けて何かしなくては」と考え始めた人もいるのではないでしょうか。とはいえ、今の時代は銀行にお金を預けていても利息はほとんどつかないため、貯蓄を増やしたいなら資産運用を始めるのも1つの方法です。
ひとくちに資産運用といっても、株式や債券、国債や社債、FXや仮想通貨など、幅広い金融商品があります。その中で、投資の初心者向きと言われるのが投資信託です。「運用はプロにお任せ」「少額でできる分散投資」などのキャッチコピーを見聞きしたことがある人もいるかもしれませんね。
ところが、投資信託で失敗する人は決して少なくないのです。
投資信託で利益が出ている人の割合は?
金融庁は2017年に『顧客本位の業務運営に関する原則』を公表しました。これは、投資信託などのリスク商品の運用成績を「見える化」するための画期的な取り組みです。投資信託で大切な資金を失ってしまう人が少なくないことを問題視した金融庁は、利用者の立場に立った業務運営や、利用者にもわかりやすい情報の提供を金融事業者に求めています。
2018年には商品の比較が可能になる共通の指標(共通KPI)を定義しました。2019年からは本原則を採択して具体的な方針を策定・公表した金融事業者名を金融庁の公式サイトに掲載しています。
参考:「顧客本位の業務運営に関する情報(https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html)」(金融庁)
金融庁が2019年に実施した「販売会社における比較可能な共通KPIの傾向分析(https://www.fsa.go.jp/news/29/sonota/20170728/bunseki2.pdf)」によると、本原則を採択した金融事業者の顧客のうち、投資信託で運用損益率がマイナスになった人の割合(運用損益別顧客比率)は46%だったことが明らかになりました。
一方で、利益を出している人も5割程いるということになります。では、投資信託の勝ち組になるためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
投資信託で賢くリスク分散するには?
金融商品を複数「詰め合わせ」てリスク分散
そもそも、投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金を運用のプロが株式や債券などに投資・運用をする金融商品です。資金が少ない人でも手軽に「分散投資」が使えることが特徴といえるでしょう。
株式のように潤沢な資金がないと「分散投資」がしにくい金融商品も存在しますが、投資信託なら複数の金融商品を「詰め合わせた」形で入手することが可能です。
たとえば、国内株であれば、「ソニーの株」「トヨタ自動車の株」「アサヒグループホールディングスの株」「日本電信電話の株」を1つのパックにして詰め合わせるようなイメージです。もし、1つの銘柄が値下がりしても、他の銘柄で利益を出していれば損失をカバーできる可能性があるというわけです。
また、国内株を詰め合わせた「Aファンド」と、海外債券を詰め合わせた「Bファンド」の2つを保有するというように、複数の投資信託を組み合わせて保有することもリスクの低減には効果的です。
長期の積立投資でリスク分散
リスク分散には、積立投資を利用することも検討しましょう。積立投資は、毎月決まった日に決まった金額で自動的に金融商品を買いつけていく方法です。国が推奨するiDeCo(個人型確定拠出年金)も積立投資です。
投資信託の値段は「基準価額(きじゅんかがく)」と呼ばれ、1日に1回公表されます。基準価額は上がったり下がったりしますが、積み立てる金額自体は変わらないため、積立金で購入できる投資信託の口数は毎月変わってきます。
基準価額が下がった月は多くの口数が買える一方で、上がった月は買える口数が少なくなるのです。積立を長く続けるほど買付単価が平準化され、利益が出やすくなると考えられています。
コストカットや損切りも重要
投資信託は短期間で利益が出るタイプの投資ではありません。黒字化の波に乗るまで気長にコツコツと続けていくのがポイントです。ところが、プロに運用を任せる投資信託では、信託報酬というコストが必ず発生します。そのため、「長期間にわたってかかってくるコストをいかに抑えるか」という視点が非常に重要になってきます。
また、最初にがんばり過ぎると長続きしないので、無理のない範囲で長く続けることも意識しましょう。すぐに使う予定のないお金を運用するのが投資の基本です。生活費や大切な老後資金を投資に回して失敗すると、生活が立ち行かなくなる恐れも出てきます。
冒頭で見たように、投資信託は必ずしも成功するとは限りません。利益が出る気配がない場合は解約することも検討しましょう。「もう少し待てば上がるかもしれない」と迷っているうちに損失が膨らんでしまうケースも決して少なくありません。
いつ解約(損切り)するかを決めるのはプロにとっても簡単なことではなく、どのくらいの損失なら許容できるのかも人それぞれです。あらかじめ許容できる損失のラインを決めておき、そのラインに到達したら機械的に損切りするのも1つの方法かもしれません。
失敗の原因を洗い出して次につなげよう
運用をプロに任せられるのは投資信託の良いところですが、完全に任せきりにするのはリスキーです。自ら積極的に関わって、学んでいくことが失敗のリスクを下げることにつながります。仮に投資信託で失敗してしまったとしたら、失敗の原因をしっかり洗い出しましょう。それが、将来の資産形成のためのヒントになるはずです。
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