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40代の「ひきこもり」は就活時期に始まった?「生きづらい」社会…どう向き合う

LIMO / 2019年11月8日 19時15分

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40代の「ひきこもり」は就活時期に始まった?「生きづらい」社会…どう向き合う

年々右肩上がりで増え続ける、若年無職者やフリーター。中でも、自宅に引きこもって生活する「ひきこもり」は大きな問題となっています。2019年3月、内閣府の「生活状況に関する調査(https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/life/h30/pdf-index.html)」により40歳から64歳までのひきこもり推定人数が発表されました。

1. 趣味の用事のときだけ外出する人は推定24万8000人
2. 近所のコンビニなどに出かける人は推定27万4000人
3. 自室からは出るが家からは出ない人、自室からもほとんど出ない人の推計は9万1000人

この合計61万3000人という人数に、15歳から39歳のひきこもり推計値(2015年度調査)54万1000人を合わせると、全国に計100万人超ものひきこもり当事者がいることになります。日本の総人口 1億2614万人(2019年10月1日現在(概算値)※1)と比較すると少数派ではと感じるかもしれませんが、ひきこもりは長期化しやすく、解決の難しい問題をはらんでいるのです。貴重な労働力人口にも影響を与えます。

残念なことに、調査結果によればひきこもりを始めてから7年以上になるという人が約半数も。その間の生活は父母が支えている割合が34.1%というデータもあります。指摘されている「8050問題」も10年後には「9060問題」となり、若い人も必ず年を取ります。身内の収入や年金に頼る生活では、身内が離職した場合や病気や要介護状態・死亡したとき、生活が行き詰まる事は明らかです。ひきこもりの解決は家庭内の努力だけでは困難であり、社会全体が抱える問題として取り組むべき重要な課題となっています。

ひきこもりの「きっかけ」…人生の転機が大きな要因に

ひきこもりのきっかけは、疾患や障害が原因となるものや、「不登校(小学校・中学校・高校)」「職場の人間関係」「就職活動の不調」「受験の失敗」などの社会的構造が原因になるものなどさまざまです。中高年のひきこもり当事者の約分4の1を占めるのが、40~44歳の層であり、いわゆる「就職氷河期」世代です。大学卒業後も就職は非常に狭き門。就職・転職しても非正規雇用から抜け出せない多くの人が存在しています。

また、大人のひきこもりの23.4%が女性だということも判明しています。ひきこもりは一部の層のものではなく、想像よりも幅広い年代に根深く食い込んでいる問題だということが分かってきているのです。

重要な人生の転機「就職」「転職」の難しさ

「ひきこもりを抜け出すべき」「職を得れば自立もできるのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、就職・転職の失敗や労働環境の不良により悩みを抱え、ひきこもりにつながってきた人も多数います。長時間労働や低賃金など、明らかに問題のある職場を離れるには転職が良い方法でしょうが、転職ですべてが解決されるとは限りません。そして一度ひきこもりを経験していると現実的には新たに就職することは非常に難しいのです。

「なんで、この仕事を選んでしまったんだろう」
「こんな毎日が続くのかな…」
「前の会社の方がまだマシだった」

転職サイトには豊富な情報が掲載されていますが、求人内容を確認していても、実際に働いてから初めて気付くことも多いもの。新しい環境・業務という重圧、そして人間関係をゼロから始めるという負担も大きなものとなります。人間関係も仕事も円滑に進んでいくようになるまでに時間がかかります。就職・転職をすると基本的にすべてをゼロから積み上げていかなければいけません。努力しているうちに問題やトラブルを抱えてしまい、また「やり直し」を余儀なくされる可能性もあります。就職も転職も、働き続けている人には分からない「新入者」としての大きな壁が存在するのです。

ひきこもりの支援団体による新しいアプローチ

ひきこもりを自力で解決したい時に、厚生労働省が設置した相談窓口やハローワークによる就労支援、ひきこもりの社会復帰支援に特化した民間団体などのサポートなども存在します。しかし、これらの支援の多くは、ひきこもり当事者が来所する形式です。外出の難しい人、コミュニケーションに負担を感じる人にとってはハードルが高いため、新しいアプローチを展開する支援団体も登場しています。

公式サイト上にLINE(https://line.me/ja/)の友達追加用QRコードや支援登録の専用フォームを設置し、当事者とのやりとりをオンラインで完結させている支援団体などです。ひきこもりから一歩踏み出すには、小さなステップの積み重ねが重要なのだということが分かります。

人の弱みにつけ込んだ“ニセ支援団体”の存在

ただし、何らかの支援を受けたい本人・家族にとって、注意の必要なケースもあります。ニセの支援団体が入り込んでいることが報告されているのです。名称では判別しにくく、NPO法人化している団体もあります。家族からの依頼を受けて本人を外出させる支援方法も強引であることが多く、また、自立と称して狭い住居を与え、親から謝礼金を受け取る手段も出てきています。

悪質な場合、生活保護を申請させ、支給された保護費を巻き上げる例も確認されています。ひきこもり問題の解決は決して容易ではなく、悪質団体が謳っているような「絶対に解決する」「必ず自立させる」「早期に解決する」ことは簡単ではありません。その困難さを理解しながら家族や適切な支援団体との協力のもとで一歩ずつ進めていくことになります。

さいごに

自宅に引きこもる原因や事情は人それぞれ。働きたくても就職が難しい、働けない、外に出ることすらできない人達もいます。「甘え」という言葉だけでは決して表現できない原因が存在するのです。周囲の「理解」と「支援」の2つが、これからのひきこもり問題の解決に繋がる糸口になりそうです。

【参考】
「生活状況に関する調査(平成30年度)」内閣府
(※1)「人口推計(2019年5月確定値,2019年10月概算値)(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html)」総務省統計局
「ひきこもり対策推進事業(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)」厚生労働省

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