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巨額の借金がある日本の財政が破綻しない理由と回避策

LIMO / 2020年1月12日 20時20分

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巨額の借金がある日本の財政が破綻しない理由と回避策

日本の財政は巨額の借金を抱えているが、破綻することはない、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は説きます。

禁じ手ながら、破綻回避策は多い

日本の財政が絶対に破綻しないと考える理由としては、「最後は政府が日銀から札束を借りてきて国債をすべて償還してしまえば良いから」というものがあります。もっとも、これはハイパーインフレを招く可能性が高いため、禁じ手とされていますから、本稿でもこの選択肢は考えないことにしましょう。

次は、財産税です。家計金融資産は1800兆円あり、政府の借金は1100兆円しかありませんから、家計金融資産に61%の課税をすれば、政府の借金はすべて返済することができます。もっとも、これも暴動や革命が起きそうですし、政治家は金持ちが多いので、そんな法案は通らないでしょう。したがって、この選択肢も本稿では考えないことにしましょう。

それでも財政は破綻しないのだ、ということを以下で示して行きたいと思います。非常識に聞こえる部分もあろうかと思いますが、非常識でも正しいかもしれないわけですから、「どこが間違えているのだろう」と考えながら読んでいただきたいですね。

それで読者の頭の体操に役立てれば幸いですし、読者が「間違っている点が見つからなかったから、塚崎説を支持する」と言ってくれれば、さらに幸いです(笑)。

投資家が国債を買うから日本政府は破産しない

投資家には日本国債を買うインセンティブがあります。日本政府が破産するリスクよりも、日本国債を買わずに外貨を買ってドル安円高で損をするリスクの方が高いからです。

したがって、多くの投資家は日本国債を買うでしょう。そうなれば、日本政府は資金繰りが破綻することがありませんから、破産することもないでしょう。その点については、拙稿『「財政破綻が不安」と言いながら日本国債を買う人がいる。その理由とは?(https://limo.media/articles/-/14625)』をご参照いただければ幸いです。

10年経てば、増税が容易になる

消費増が増税されましたが、景気が心配だということで何度も延期された後の増税でしたし、実施される際にも周到な景気対策が採られました。「増税すると景気が悪化して失業が増えてしまうかも」という心配があるので、政府としてはなかなか増税に踏み切れないわけです。

しかし、少子高齢化による労働力不足が今後深刻化していけば、10年後には「景気が良い時は超労働力不足、景気が悪くても少しは労働力不足」という時代になるかもしれません。

そうなれば、「増税して景気が悪化して失業が増えたら困るから増税反対」という論者がいなくなります。政府としては「気楽に」増税できるようになるわけです。もしかすると頻繁に増税が行われ、財政赤字は急激に縮小していくかもしれませんね。

もっとも、筆者は消費増税には反対です。失業が出ないとはいえ、景気に与える影響が大きいですから。

では、家計金融資産に税率1%で61年間にわたって課税する、というのはどうでしょうか。上記のように一度に徴税すると問題でしょうが、これなら可能性がありそうですね。

もっとも筆者としては、生きている人に財産課税するよりは、相続税を大増税する方が、痛税感が薄くて済みますし、相続できる人とできない人の不公平が解消できるので、良いと思っています。これについては拙稿『消費税でなく相続税を増税すべき理由。”おひとりさま”の遺産には高率の課税を(https://limo.media/articles/-/13703)』をご参照いただければ幸いです。

今ひとつは、全く発想を変えて、固定資産税を増税することで東京一極集中を緩和して、過密過疎の問題を緩和すると共に災害対策にも役立てる、という選択肢ですね。これについては拙稿『消費税より固定資産税の増税を。東京一極集中緩和で災害対策にもなる(https://limo.media/articles/-/13812)』をご参照いただければ幸いです。

数千年経てば全ての問題が自然に解決する

それでも政府の借金が消えなかったとしたら、数千年待ちましょう。数千年後には、少子化で人口が減少し、日本人が最後の一人になります。その子は家計金融資産1800兆円を相続し、死んだ時にそれが国庫に入ります。何の問題もなく、全ての問題が解決するわけです。

もちろん、実際に最後の一人になるとは限りませんが、少なくとも理屈上はそれで全てが解決します。ということは、「日本政府の借金は巨額だから、いつか破産するに違いない」という主張は通らない、ということを意味しています。

つまり、「財政は破綻する」と主張する人が、「どういうことが起きたら財政が破綻するのか」を考えなければならない、ということです。

余談ですが、「財政赤字は後世に負担を残す世代間不公平だ」と言われます。狭い視野で見ればその通りですが、遺産を含めて考えれば、世代間不公平など存在しないのです。

存在するのは、遺産が相続できる子とできない子の「世代内不公平」だけです。だからこそ筆者は相続税の増税を主張しているわけですが。

国債が暴落しても、財政は破綻しない

国債が暴落する可能性はあります。投資家たちが「日本政府は破産するに違いない」と考えて、国債を投げ売りする場合です。そうなったら、日本政府が新たな国債を発行することができず、資金繰りが破綻してしまう、と心配する読者がいるかもしれません。

しかし、その心配は無用です。日本政府が暴落した国債を買い取って償却してしまえば良いのです。

買い取る資金は、外貨準備で持っているドルを売れば手に入ります。日本政府が破産すると皆が思う時には、ドルが値上がりしているでしょうから、ドルが高く売れるはずです。その辺りについては、拙稿『日本政府が破産する瞬間、大逆転が起きる(https://limo.media/articles/-/7994)』をご参照いただければ幸いです。

最後に一つだけ弁解です。「財政が絶対に破産しない」とは言えません。南海トラフ大地震と首都直下型地震が同時に起きたら、日本国が破産し、日本政府も破産するでしょう。本稿は、その場合を考慮していないので、あしからず。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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