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なぜ日本の女性は産後うつになってしまうのか…「自分さえ我慢すればうまく回る」の危うさ

LIMO / 2020年1月9日 10時15分

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なぜ日本の女性は産後うつになってしまうのか…「自分さえ我慢すればうまく回る」の危うさ

改正母子保健法が成立

産後の過酷な育児や孤独から産後うつが急増しています。そんな背景から2019年11月29日に「産後ケア事業」の実施を市町村の努力義務とし、心のケアや育児相談にきめ細かく取り組むなどとした改正母子保健法が参議院本会議で可決・成立しました。

今まで産後女性のケアにスポットは当てられていませんでしたが、産後のケアが拡充することにより、女性の精神的・肉体的な負担が減ることが期待できます。

想像以上に大変なワンオペ育児

2歳児と0歳児を持つ筆者は、平日はほぼワンオペ育児をしていますが、これは想像以上に大変でした。特に2人目が生まれてからは、赤ちゃんがえりやイヤイヤが激しい上の子と、いつ泣くか分からない赤ちゃんを2人連れての外出は非常に難しく、いつからか必要最低限の外出しかできなくなりました。

「上の子を外で遊ばせてあげなきゃ」と思いながら、「わがままが通らないことに癇癪を起こして周りの人に迷惑をかけたらどうしょう」と考え、ひきこもりがちに。自分も人と会わないのでどんどんふさぎこみ、気軽に友人などに相談もできない状況が続きました。

夫は比較的帰るのが早いのですが、子供たちは19時には寝るので逆算すると16時頃から夕食やお風呂の準備を始めて、夫が帰る前には寝かしてしまいます。

こうなると夫に平日育児に参加してもらうことは物理的に難しく、自分ですべてこなすしかない状態。夫は休日には家事も育児もかなり積極的にしてくれる方だと思いますが、平日のワンオペ育児だけでも疲労困憊です。

このようにワンオペ育児の大変さに疲弊している方も多いのではないでしょうか? また、育児・家事に加えて女性の社会進出が謳われて、女性に対する負荷が大きくなっていることも痛感しています。かといって、夫に早く帰って育児や家事を手伝ってもらうことは物理的に難しいのが現実です。

産後ケアの大切さを実感

このような状態に悩んでいる中、女性活躍のためのワーキングスペース「アッチコッカ(名古屋市千種区)にて行われた、一般社団法人 体力メンテナンス協会の野上聖子氏と、株式会社Social Attendのキャリアコンサルタントである片岡敦子氏によって企画された「産後のママの働き方座談会」に参加してきました。

この座談会では、「産後のカラダとココロを丁寧にメンテナンスする産後ケアプログラム」を行う野上氏が、産後ケア先進国・フランスへの視察でインタビューなどをして気付いた「なぜフランス女性が産後も生き生きしているのか」という理由を知ることができました。

フランスでは、産後10回程の骨盤底筋を鍛える 「ペリネケア」というものが社会保険でカバーされているそうです。「なぜペリネケアが産後うつに関係あるのか」と思うかもしれませんが、体型を戻すことで、女性としての自信を持ち続けることができ、母親ということに縛られず、自分を保つことができるといいます。

また、ベビーシッターを気軽に使う文化ということもあり、産後もベビーシッターをうまく使いながらこのようなリハビリを受けたり、仕事をしたり、夫婦でデートを楽しんでいる方が多いそうです。

日本はというと、母親のケアは産後1カ月の検診で終わり、産後ケアは実費にて行いますよね。筆者も上の子の時にアフタービクスや整体で骨盤矯正を行いましたが、月に2万円ほどの出費が半年ほど続きました。2人目を生んだ後は、お金の問題だけではなく子ども2人の預け先を考えるのも億劫で行かなくなってしまいました。

これは、日本では「子供が生まれたら母親は自分のことは後回し」という風潮が顕著に現れている例なのではないでしょうか。筆者もこの座談会に参加するまでは、「これから子どもにお金がかかるから、自分の体型は別に後回しでもいいし、子供を預けてまでしなくても…」と考えていました。

しかし、自分のことを後回しにするのはこれだけではなく、子どもが生まれてからは食べるものは子どもに取り分けられるものを選んだり、服は子どもに汚されても良いものを選んだり、母親になった瞬間からみんな自分のことを後回しにしていると思います。

加えて、女性も働くことが当たり前となり、ワンオペ育児に仕事まで加われば当然忙殺されますし、「なぜ我慢ばかりでこんなに大変な思いをしなければいけないのか」と気持ちが沈むのも無理はありません。

産後うつにならないための解決策

今回の座談会で一番感じたことですが、筆者も含め日本女性は根本的にあれもこれも自分でやらなきゃと溜め込みすぎな傾向にあり、それが産後うつに繋がるのではないでしょうか。産後うつにならないためには「理想の母親像を手放すこと」がまず一歩です。

完璧に母親業をこなさなくても、少しくらい手抜きをしても、命に関わることでなければ大丈夫というスタンスでいた方が気が楽になります。たとえば、料理をしたくない日はデリバリーでも良いし、洗濯物もきちんとたたまなくても良い、子どもがぐずれば少しくらいは放置しても良いのではないでしょうか。

また、家事や育児のアウトソーシングに抵抗がある人も多いかと思いますが、座談会ではアウトソーシングに頼る大切さも議論されました。

筆者自身、家事や育児をアウトソーシングすることに罪悪感を感じていると発言したところ、「母親にしかできない仕事はない。あるこれ抱えてイライラしているより、誰かに助けてもらって母親がご機嫌でいた方が家族もうまく回る。そこに罪悪感を持つ必要はない」と言ってもらい、気持ちが楽になりました。

今まで「自分さえ我慢すればうまく回る」と考えていましたが、イライラした状態で逆に家族に迷惑をかけていたかもしれません。これからは、まず自分がどうすれば笑顔で気持ち穏やかでいられるかということを考えていきたいと思いました。

おわりに

座談会に参加して、産後ケアなど自分のことにお金や時間をかけることや、家事や育児をアウトソーシングすることに対して罪悪感を抱く必要は一切ないということに気がつくことができました。「あれもこれもやらなきゃ!」と自分で決めつけるのではなく、頼れることはどんどん手放すことにより気持ちも楽になります。

家事代行やベビーシッターなどのサービスも増えているので「自分さえ我慢すれば」という考えは捨て去り、いかに母親が笑顔でいられるように考えを切り替えていきましょう。

ただし、このようなサービスを利用するにはお金がかかるもの。改正母子保健法の「産後ケア事業」により、精神的にも金銭的にも母親達の負担が一刻も早く減ることを願います。

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