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米国株の史上最高値はバブルなのか? バブルの4条件と注意すべき3つのリスク

LIMO / 2020年1月26日 20時15分

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米国株の史上最高値はバブルなのか? バブルの4条件と注意すべき3つのリスク

米国株が史上最高値を更新していることにつき、バブルとは言えないが下方リスクには要注意だ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。

米国株は史上最高値を更新

米国株が上昇を続けています。史上最高値を何度も更新していますが、これはバブルではないのでしょうか。

株価がバブル期の6割程度で推移している日本から見ると、米国株が高すぎるようにも感じられますが、米国経済は日本経済よりも成長率も高いですし、インフレ率も高いので、企業の利益の増加率も高く、したがって株価がある程度高いのは自然なことだと言えるでしょう。

株価が割高か否かを判断する際に最もよく使われるのがPER(株価収益率)ですが、これは若干割高に見えます。しかし、バブルと呼ぶほどの割高ではありませんし、GAFAと呼ばれるような成長力のある巨大企業のPERが高いことが影響している部分も大きいようなので、それほど気にする必要はないでしょう。

バブルらしくないバブルも存在するので要注意

バブルというと、チューリップの球根が現在の貨幣価値で数千万円で取引されていた、といった事例が思い当たります。「誰がみても高すぎるが、明日は今日より値上がりするだろうから、今日買って明日売ろう」という人の買いが値を釣り上げていくわけです。

しかし、最近ではそうしたバブルは珍しいと言えるでしょう。誰が見てもバブルだ、という場合には、政府や中央銀行がバブル潰しを行う場合が多いからです。

そこで、最近のバブルは「バブルか否かは、その時はわからない。潰れて初めてバブルだったとわかる」というものが多いのです。平成バブルの時も「日本経済は世界一だから地価や株価が高いのは当然だ」と考えた人々がバブルだと思わずに買っていた、というわけですね。

実際、日本経済を動かしていた人の中にも自宅を購入した人が大勢いました。バブルだと思っていたら、自宅は買わずにバブル崩壊を待つはずなので、彼等もバブルだと思っていなかったのでしょう。

そうだとすると、今の米国もバブルかもしれません。そうした場合に備えて筆者は、バブルか否かを見分ける4条件を自分なりに決めていますので、それに当てはまるか否かを考えてみましょう。4条件は以下の通りです。

1. バブルを疑う人がいて、それを否定する人が出てくる

平成バブルの時には「日本経済が米国に勝ったのだから、地価や株価が高いのは当然だ」と言われ、ITバブルの時には「ITは夢の技術だから株価が高いのは当然だ」と言われていました。「今回は、これまでとは事情が違うのだ」という人が増えてくると、バブルが疑われますね。

2. 資産価格が高騰しても金融が緩和されたままである

通常、バブル期は景気が良いので物価が上がり、金融が引き締められるため、バブルは押し潰されてそれほど拡大しないものです。しかし、何らかの事情で金融が緩和されたままだと、バブルが拡大する可能性が出てきます。平成バブルの時はプラザ合意による円高で物価が安定していましたし、ITバブルの時には「夢の技術」のおかげで物価が安定していたわけです。

3. 今まで興味を持っていなかった素人が大勢参入してくる

井戸端会議で隣の奥さんの話を聞いた読者の奥さんが、「株って簡単らしいわ。隣の奥さんでも儲けられたらしいから、私もやってみようかしら」と言い始めたら、ご主人は持っている株を全部売りましょう(笑)。

4. 海外と国内で温度差がある

バブルは、国内の参加者が陶酔している時に起こります。「日本経済は世界一だ」「ITは夢の技術だ」というわけですね。海外では醒めた眼でそれを眺めていることも多いようです。

ITバブルの時、米国出張から帰った人が次々とITを礼賛し始めたのを見て、筆者は「米国出張すると熱病に罹患するから行かない」と心に誓ったものです。罹患した上司からは「行ってITの素晴らしさを感じてこい」と言われましたが(笑)。

バブルではなくても暴落の可能性はあるので要注意

上記の4条件に照らすと、今の米国株はバブルではないようです。しかし、「バブルでないから暴落しない」ということは決してありません。筆者が気にしているのは、3つのリスクです。コロナウイルスの蔓延を加えれば、4つかも知れませんが。

(1)米中の覇権争いが急激に悪化すること。ケンカは何が起きるかわかりませんから、リスクシナリオとして頭の片隅に置いておきましょう。

(2)中国の過剰債務問題が急激に悪化すること。中国では債務不履行が増加している模様です。もともと過剰債務問題が深刻ですから、債務不履行が一気に広がると、中国発の世界不況という可能性も否定できません。リスクシナリオとして頭の片隅に置いておきましょう。

(3)米国で低格付けの債権が増加しているので要注意。米国も金融緩和で低格付けの債権が増加しているので、債務不履行の増加が信用収縮に結びつく可能性は皆無ではなさそうです。これもリスクシナリオとして頭の片隅に置いておきましょう。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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