妻の決断「凍結保存中の受精卵を手放そう」 その意外な理由
LIMO / 2020年2月17日 10時45分
妻の決断「凍結保存中の受精卵を手放そう」 その意外な理由
卵巣に疾患があり、もともと妊娠しにくい体の妻。結婚後すぐに、夫婦で不妊治療を開始し、5つの受精卵を確保することに成功。その後の子宮への移植で、無事2人の子どもを授かりました。凍結保存している受精卵はあと3つ…年齢を重ねないうちに3人目の子どもを作りたい。
そう思っていたにもかかわらず、妻は受精卵を手放すことを決めます。一体、なぜ?
妊娠しにくい体だとわかったのは高校時代
筆者の友人、加奈子(仮名)のエピソードを紹介します。
加奈子は現在37歳の専業主婦。2つ年上の夫と2人の子どもの4人家族です。第1子は結婚2年目に、第2子は結婚4年目に誕生しました。一見、順風満帆な夫婦生活を送っているように見えますが、そこには大変な苦労があったようです。
実は、妻の加奈子はもともと卵巣に疾患があり、妊娠しにくい体なのです。加奈子が自身の体の異変に気が付いたのは、高校生だったある日のこと。
何気ない会話の中で、友人のほとんどが初潮を迎えていることを知った加奈子は、母親に相談します。彼女の母親も加奈子の体のことがずっと気になっていたようで、すぐに産婦人科を受診。そこで卵巣に疾患があること、自然妊娠しにくい体であることを知らされました。
医師からは、「将来、結婚し、子どもを希望する際には、早めに専門の医療機関を受診した方がよい」と助言をもらったそうです。
子どもができにくい体であることを受け入れてくれた彼
加奈子も社会人になり、男性とのお付き合いを重ねる中で、何度か結婚を意識するタイミングもあったようです。しかし、いざ“子どもができにくい体であること”を伝えると自然と離れていったり、中には「結婚はできない」とハッキリ言う男性もいたり…。
その度に大きなショックを受けた加奈子ですが、ついに運命の男性とめぐり逢います。その男性と付き合って1年が経ったころ、加奈子は別れを覚悟で体のことを伝えました。すると、その男性は、
「心配しなくていいよ! もしよかったら、僕と結婚してください」
なんと、プロポーズで返してくれたのです! その時の感動は今でも鮮明に覚えていると加奈子は言います。おわかりの通り、その男性こそ、現在の加奈子の夫です。
体外受精で2人の子宝に恵まれる…ところが!
子どもを希望していた加奈子夫婦は、結婚後すぐに不妊治療を開始。そして、受精卵を5つ確保することができました。ちなみに、これらの受精卵は母親の体内に移植するタイミングが来るまで医療機関で凍結保存されます。
結果、体外受精を行ったことで、4年間で2人の子どもに恵まれたのです。しかも、男の子と女の子。理解ある夫と出会えたこと、結婚後すぐに治療を開始できたことが功を奏したのでしょう。待望の子どもの誕生に加奈子はもちろん、夫も大変喜んでいたそうです。
ところが、第2子が生まれてから夫の様子が少しずつ変わり始めました。子どもの誕生をあれほど喜んでいた夫が、子どもへの関心を失い、加奈子にもつらく当たるようになっていったのです。
子どもに対してジェラシーを燃やす夫
加奈子は、夫の態度が変化していることに気付いていたものの「2人の育児に精一杯で、夫のことまで構っていられない!」──そんな心境だったそうです。ところが、ある日…
「加奈子は、子どものことしか見ていない! 僕のことをないがしろにしている! もう加奈子と夫婦でいる自信がない…」
突然の夫からの告白に驚きと困惑を隠せない加奈子。夫がそこまで思い詰めていたことにも驚きましたが、夫の不愛想な態度の原因が、まさか子どもへのヤキモチだったなんて…。
その後も、事あるごとに不満をぶちまける夫。ついには「今の状況が続くようなら、“離婚”も本気で考えている」と言い出しました。そんな夫に対し、加奈子は徐々に愛情や信頼を失っていったそうです。
悩んだ末…凍結保存している受精卵を手放すことを決断
ちょうどそのころ、産婦人科から書類が届きました。保存している受精卵の凍結延長または破棄の手続きを行うための書類でした。加奈子が通っている産婦人科では、更新手続きが1年ごとに必要で、年間約2万円の費用がかかります。
これまでは、何の迷いもなく凍結延長の手続きを行い、更新料を支払ってきたそうです。ところが、今回はさまざまな思いが加奈子を悩ませました。
──正直、3人目の子どもは欲しい…でも、運よく男女の子どもに恵まれたのだからもう諦めてもよいのでは?
──3人目が生まれたら夫の態度はより悪くなるだろう…いや、3人目が生まれたら夫も変わってくれるかも!?
──保存している受精卵を破棄したら、もう一生、質のよい卵子は採れない…とはいえ、夫が今の状態では子どもは作れない。
──たった2万円…されど2万円…
「凍結延長」と書いて、二重線を引き訂正印を押す…「破棄」と書いて、訂正する。そんなことを繰り返しているうちに、書類は訂正だらけになってしまったそうです。
そして最終的に、大切な受精卵を自ら“破棄”することを選びました。
つらい決断になりましたが、加奈子は今、離婚という結果になった場合にも備え、長い専業主婦時代にピリオドを打ち、新しく仕事を始めたそうです。もしかすると、受精卵を破棄したからこそ、次のステップに進むことができたのかもしれませんね。
そして彼女は強く生きる
今回、友人の加奈子の許可を得て、エピソードをご紹介しました。もともと妊娠しにくい体の加奈子が子どもを持てた喜びは計り知れません。だからこそ、夫に頼ることなく、自分の力で子どもをしっかりと育てなければならない!という責任感があるのでしょう。
同じ女性として、大切な受精卵を破棄し、新しい一歩を踏み出した加奈子を心から応援しています。
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