過去に例を見ないマスク不足、政府の解消見通しに疑問。新型肺炎の感染拡大続く

LIMO / 2020年2月15日 8時15分

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過去に例を見ないマスク不足、政府の解消見通しに疑問。新型肺炎の感染拡大続く

COVID-19の感染拡大で深刻なマスク不足が発生

中国発の新型コロナウィルス感染症(以下、「COVID-19」)は、1月中旬頃から一気に世界へ拡大し始めました。この影響が多方面に及んでいるのはご承知の通りですが、日本国内で最も顕著な現象は、何と言ってもマスクの品不足でしょう。

現時点では、全国のドラッグストア(薬局)やコンビニでは在庫も含めてほぼ完売状態であり、入荷もほとんどない状況です。過去に例を見ない品不足事態であることは間違いありません。

なお、多くの店において、就寝時に着用する保湿タイプのマスクは在庫があるようですが、これは基本的には、外出時に着用するものではありません。仮に外で着用しても、衛生効果や防護効果は期待し難いのが実情です。

今回のマスク不足はいつ頃から本格化したのか?

ところで、今回の深刻なマスクの品不足は、いつごろ始まったのでしょうか?ここで、筆者の体験も踏まえてタイムテーブルを振り返ってみましょう。

まず、1月19日(日)から始まった週の初めには、まだ各店頭に十分なマスクがあったはずです。実際、筆者も1月20日(月)にはコンビニで2袋(1袋7枚入り)を普通に購入しました。私事で恐縮ですが、今思うと、特に理由はなかったのですが、この時に2袋購入したことが幸いしています。

ところが、翌週から中国の春節休暇を控え、中国人観光客の“先発隊”が続々と訪日し始めた1月22日(水)頃から、明らかに店頭での陳列が少なくなったと記憶しています。

そして、翌週の週末、つまり、1月31日(金)~2月1日(土)には既に全国的な品不足に陥ったと考えていいでしょう。この間、わずか1週間強でした。こんな短期間で日本国内のマスクが姿を消したというのは、まさに異常事態です。

中国人観光客による爆買いが品薄の原因なのか?

このように振り返ってみると、中国からの訪日観光客がマスクを“爆買い”したことが、品薄の最大要因と考えがちです。しかし、本当にそうでしょうか?

確かに、中国人による爆買いが最大要因の1つではあるでしょう。しかしながら、1月25日に発令された中国政府による団体ツアーの禁止命令により、中国からの観光客は昨年比で▲40~▲50万人もの減少が試算されており、一説では▲70万人以上の減少という見方もあります。

個人旅行等で来日した中国人が爆買いしたとしても、ここまで品薄になるものでしょうか?

花粉症シーズン開始に向けて高水準だったと思われるメーカー在庫

また、注目すべきは、マスク業者(主にメーカー)の在庫が高水準であったと推察されることです。

日本国内におけるマスクの最需要期は、花粉症が本格化する3月~4月です。実際には2月上旬からスギ花粉の飛来が始まることを勘案すれば、1月末に相応の在庫があったと考えるのが普通です。この在庫分を、大幅減少となった中国からの訪日観光客が全て買い漁ったというのは、現実的ではないでしょう。


いろいろな見方はあるでしょうが、理由として考えられることの一つに、日本人は一種のパニック状態に陥って買い溜めをする傾向が強いことが挙げられます。何らかの非常事態や異常事態が起きると、必要以上に買い占めることが過去に何度も起きました。

古くは1973年のオイルショック時におけるトイレットペーパー買い占め、直近では2011年の東日本大震災・福島原発事故の際のペットボトル飲料水の買い占めが該当します。ただ、後々振り返った際の結果論ではありますが、明らかに過度な買い溜めだったことが判明しています。

また、これら事例とは次元が異なりますが、人気食料品(スイーツなど)があっという間に店頭から姿を消すことも多く、これも必要以上に購入するのが原因と見られています。

ネットオークションの普及が異常な買い占めを後押し

また、今回のマスク品切れに際しては、直後からネットオークション等での高値出品が相次ぎました。その価格(即決価格など)は、まさしく“ボッタくり価格”であり、マスク需要急増を見込んだ転売以外の何物でもありません。

嗅覚が働いたのかどうか定かではありませんが、昔のオイルショック時にはなかったインターネットの普及で様々な情報を入手したことは容易に想像できます。ネットオークションでは現在でも法外な価格による販売が続いていますが、その内容を見る限り、外国人が手広く仕掛けているようには見えません。

2月16日の週からマスク不足が解消に向かうという政府の言及

さて、そんな折、2月12日の政府定例会見で菅官房長官が、早ければ来週(2月16日~の週、以下同)からマスク不足が解消される見通しに言及しました。会見によれば、1月28日に強い増産要請を行い、(メーカー各社が)24時間生産体制で1週間に1億枚の供給が可能になった模様です。

今回のマスク不足の要因の1つが、その多くを中国で生産していたため、中国の生産活動停止の直撃を受けたことでした。しかし、菅官房長官の発言によれば、日本国内における増産を急ピッチで推進してきたということになります。

“週に1億枚の増産”と簡単に言いますが、とてつもない量の生産です。メーカー各社の増産投資が多額に上っているのは想像に難くありません。

マスク不足への不安解消には時間がかかる?

経緯はともかく、マスク増産は明るいニュースです。しかし、これで深刻なマスク不足は解消されるでしょうか?

筆者は、完全な解消にはまだ相当な時間を要すると考えます。仮に、来週からマスクの供給量が増加しても、多くの消費者が買い貯めすると思われるからです。一度品不足で不安になった消費者の心理状態は急速には戻らないと考えるべきです。

たとえば、通常は一度に1~2袋購入する消費者が、その2~3倍購入、つまり、一度に5~6袋くらい購入する可能性があります。最初の数週間は、供給された1億枚はあっという間に店頭からなくなるかもしれません。

さらに、肝心のCOVID-19の感染拡大に歯止めがかかっていないことにも目を向ける必要があります。この原稿を書いている2月13日には、都内のタクシー運転手への感染も報告され、さらに、国内で初の死亡例も報告されるなど、感染は拡大する一方であるのが実情です。

もし、この先、子供への感染が報告される場合、大きなパニック状態に陥る懸念は拭えません。そして、もっと大きな買い占めが起きても不思議ではないのです。

国内のマスク不足はまだ続くと見たほうがよさそうです。

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