早期退職して「よかったこと」「後悔したこと」〜 4人のケース
LIMO / 2020年3月1日 10時0分
早期退職して「よかったこと」「後悔したこと」〜 4人のケース
このところ、早期退職者を募る大手企業のニュースをよく目にします。ネガティブなイメージを持たれがちな早期退職ですが、必ずしも悪いことばかりではなさそうです。今回は、早期退職した人やその家族に、早期退職してよかったこと、後悔したことを聞いてみました。
退職金をもらった後にやりがいのある仕事につけた
IT企業を52歳で早期退職した夫を持つAさん。最初は反対していたものの、夫の決意が固かったこともあり早期退職に至ったそうです。
「早期退職は会社都合なので退職金の条件が良くなると言われていたけれど、予想以上の額にびっくり。まだまだ働き盛りで経験もあるし、夫は今、知人が起業した会社で役員として働いている」と言います。
「前の会社は大企業だったので給与面はよかった。でも、本人は仕事にあまりやりがいを感じていなかったようで、今のほうがイキイキと働いている。もともとマネジメントよりプレーヤーとして働くほうが好きな人だったので、今の会社のようなベンチャーで、自分の裁量とスキルを活かして働けるほうが向いているのかもしれない」とAさん自身も笑顔で話してくれました。
副業としてやっていたことに専念できた
続いてもIT企業で働いていたBさん。Bさんは47歳で早期退職しました。Bさんの会社では副業OKだったそうで、Bさん自身も副業としてウェブコンサルティング業務を行ったり、株の運用をしたりしていたのだそうです。
「早期退職して、結果として副業が本業になったというイメージ。それまで会社で身に着けたスキルや知識、経験をもとに副業としてコンサルティング業務を行っていたけれど、早期退職後はそこにかけられる時間が増えたので相手にするクライアントも格段に増えた」のだそう。
「中小企業や地方の企業というのはウェブサイトの課題が山積みで、メンテナンスが行き届いていないけれど大きなコストをかけられないという会社が多い。そういうところを対象にコンサルティングを請け負うと、こちらにとっては十分は報酬だけれど先方にしてみたらコンサル会社に頼むよりも大幅に安く済む」といいます。
「株の運用も日中にできる。仕事をしていたら昼間は相場を見られないけれど、今は時間を自由に使えるしストレスもない。自分の裁量で決められる仕事で自分の持てる力をフル活用して働けるので、毎日楽しく生活している」と明るく話してくれました。
いい再就職先が見つからないことも
ある金融機関を早期退職したCさん。Cさん自身は無事再就職先を見つけ、筆者と同じ会社に入社してきましたが、Cさんのように就職先が見つかる人はそれほど多くないのだそうです。
「僕はツテでたまたまこの会社に入れたけど、そういう人は多くない。ツテがあるか本当に優秀な人じゃないと、50代になっての再就職はやっぱり難しい。早期退職前からちゃんと準備をしておくとか、ヘッドハンティングの話をもらったうえで早期退職するほうがいいんじゃないか」と言います。
Cさんは57歳ですが、英語も流暢で業務知識も豊富、彼のマネジメント経験が非常に重宝され、ある事業部の事業部長として入社してきました。
「早期退職した人が持っているスキルや経験を求めている会社とうまくマッチングできたらいいけれど、そうでなければ早期退職というとあまりイメージもよくないし、煙たがられることだってある。計画的に早期退職に向けて準備しないとうまくいかない。そういう人をたくさん見てきたからこそ、自分は恵まれているなと思う」と話してくれました。
暇を持て余して元気がなくなる人もいる
電機メーカーに勤める父親が早期退職したというDさん。56歳で退職した後は、『早めに老後を楽しむ』と意気込んでいたものの、最近元気がないのだと言います。
「父は1年過ぎたくらいから暇を持て余すようになり、次第に元気がなくなってしまった。やっぱり人間には仕事が必要なんだなと思った」と話します。これといった趣味がないお父さんを心配し、Dさんがキャンプやスポーツ観戦に連れ出したりしているようなのですが、いまいちハマらないのだといいます。
「ゴルフも仕事の仲間とよく行っていたから、またやればいいじゃないかとすすめても、『あれは気ごころ知れた人と一緒に行くからいいのであって、一人で打ちっぱなしに行っても仕方ない』と言う。それに『ゴルフに行こう』という話をする場もないし、連絡を取り合う仲間もいないようだ」と嘆きます。
一つの会社でずっと勤めてきたという場合、職場というコミュニティがなくなると世間とのつながりが薄れてしまうのかもしれません。
おわりに
早期退職するときにはCさんの言う通り、しっかりと事前準備をしておくことが大切です。何も考えずに退職金の条件だけ見て決めると後悔することになるかもしれません。早期退職して起業するにしろ、再就職するにしろ、計画的に事を進める必要があるでしょう。
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