日本人の英語力は後退…「今は、英語よりもプログラミング」は本当?
LIMO / 2020年3月3日 19時15分
日本人の英語力は後退…「今は、英語よりもプログラミング」は本当?
近年、プログラミング市場が活況です。フリーエンジニアの収入が高いというだけではなく、場所を選ばずにどこでも仕事ができる「働き方改革」「リモートワーク」といったキーワードとの親和性も高いことも、人気を博しています。
その一方、昔から日本人の人気のスキルといえば何といっても「英語」です。近年、登場したプログラミングの人気と英語熱、そのどちらに軍配が上がるのでしょうか?
スキルの良し悪しは一方向から測ることは出来ませんが、「英語」についていえばプログラミングが持っていない優れた側面があると筆者は考えています。
変化の激しいプログラミングの世界
プログラミングの世界は実に変化が早く、そして多様です。
Webページを制作するならHTMLやCSSの理解が必要ですが、これらを理解できてもスマートフォン(スマホ)アプリを作ることは出来ません。たとえば、iPhoneのアプリケーションを開発するにはこれらとは別の「Swift」という言語の取得が必要となります。
また、一度取得したプログラミングが一生使える保証はありませんので、新しいテクノロジーや言語の登場にキャッチアップする働き方が必要です。
筆者は昔、「これからの時代は、MS-DOSコマンドを覚えておいた方が良い」と人から言われたことがあります。「覚えておかないと将来困る」と脅され、取得を促されたことがありました。
しかし、結果的にその必要性が到来することはありませんでした。今の時代でも、MS-DOS プロンプトを覚えて損することはありません。しかし、だからといって取得して稼ぎに直結することもまたないのです。「プログラミングの取得」と一口にいっても、「時代のニーズ」に耳を傾け、変化の速い業界についていく必要があります。
プログラミングの大変な側面としては、次々と現れては消えていく、新たなテクノロジーの変化の波にうまく波乗りをし続ける「肉食的な生き方」が求められる点ではないでしょうか。
もちろん、プログラミングの「型」や思考を身につけることで、新しい言語への対応は容易になるかもしれません。しかし、先端の知識や技術は都度、身につけていく必要がどうしてもあるのです。
一生モノのスキルになる英語
その一方で「自然言語」である英語についていえば、ほとんど変化することはありません。もちろん、技術の進展によって仕事のやり方が変わってくることはあります。
例えば最近の翻訳事情についていえば、人間が白紙原稿からゼロベースで制作するのではなく、ポストエディットと呼ばれる翻訳が登場するようになりました。まずはAIがザッと翻訳にかけ、その後不自然な表現や間違った翻訳があれば、そこだけを人間が手直しをするというものです。つまり、直訳は機械の仕事になり、意訳と修正の部分にこそ、人間の仕事になったわけです。
とはいえ、英語という言語そのものの本質に変化が起こったわけではありません。私が学習した時に使っていたテキストは、今日2020年以降の時代においても問題なく通用します。
英単語、英熟語の意味が変わることはありませんし、英文法のルールもそのままです。つまり、一度取得してしまえば100年後も、200年後もそのまま使うことができるので、一度身につければ、その後の人生で一生涯かけてリターンを回収していくことになります。
技術を身に付けるコストまで勘案するなら、英語におけるトータルリターンの大きさは、プログラミングで得られる総和を上回っていると考えます。
英語の需要がなくなることはない
「今は英語が使える人が増えたので、今さら努力して身につける価値はない」という人がいます。しかし、そうした主張は私が子供の頃から同じ事を言う人がいました。実態はどうなのでしょうか?
スイスの教育機関の調査(※)によると、日本人の英語力は現段階においても惨憺たる結果で、非英語圏の100カ国および地域中、53位というものです。
つまり、オンライン英会話や格安語学留学が増えても、日本人の英語力は特別高まった傾向は見られません。これは日本人にとって英語の需要がなくなったことを示唆するのでしょうか?いえ、マクロの視点で俯瞰するなら、むしろこれまで以上に英語の需要が高まることが予想されます。
これからの日本は人口減少とグローバル化の波が控えています。日本語しか話せない日本人の数が減り続けていく中、少子高齢社会で国力を維持するには、労働生産性を高め、また諸外国とのビジネス取引の活発化は必須事項です。
もちろん、外国人が日本人との取引のために日本語を勉強するわけはありませんから、そうなると、英語の需要が高まることは確実です。
つまり、これまで以上に英語力が求められることは明らかです。スキルとしてのリターンが大きく、需要の高まりが予測されるならプログラミングも悪くないですが、むしろ英語力を本気で磨くときがきていると感じます。
結論的に「どちらのスキルが圧倒的に優れているか?」を論じるには、多面的な評価が必要となるので簡単なことではありません。また、仕事はコストパフォーマンスだけで語れるものではなく、その人の適正や、その分野に興味が持てるか?楽しいか?ということも大きな要素になります。
しかし、ことパフォーマンスについて言えば、変化を続けてついていかなければいけないプログラミングよりも、自然言語で100年後も変わることがない英語を学んだ方が取得の難易度も低く、獲得できるリターンの大きさもかなりのものと感じます。
【参考】
(※)「世界最大の英語能力指数ランキング(https://www.efjapan.co.jp/epi/)」イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン㈱
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