異例の状態で迎える卒園・入学シーズン。揺れ動く子どもの気持ちに寄り添うには?
LIMO / 2020年3月13日 10時45分
異例の状態で迎える卒園・入学シーズン。揺れ動く子どもの気持ちに寄り添うには?
毎日通った幼稚園・保育園を卒園し、小学生へと大きなステップアップを目前に控える我が子。うれしいけれど、親としては少し寂しい気持ちにもなりますよね。それは、子どもだって同じこと。卒園前には、ナイーブな心が不安定になる子も少なくありません。
今年はさらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で、感染防止のために休園する幼稚園・保育園も出ている状態(※2020年3月12日時点)。卒園式や小学校の入学式がどのような形になるのか(場合によっては行われないのか)も見通しが立たず、先輩ママの経験談に頼れない部分も多そうで、大人も落ち着かない気持ちで過ごしていることでしょう。
今回は卒園が近づくにつれて表れる、子どもの変化について考えていきたいと思います。不安にならないよう寄り添ってあげるには、どのような方法をとればいいのでしょうか。
園に通い続けたい! でも小学生にもなりたい!
「三寒四温」という言葉のとおり、寒い日と暖かい日が交互におとずれるようになると、春がもうすぐそこまで近づいてきているのを肌で感じることができます。幼稚園・保育園年長の子どもを持つママにとって、今が一番複雑な心境になる時期なのではありませんか?
小さかった我が子が、園で一番おにいさん・おねえさんの年長組になり、もうすぐ巣立とうとしている。小・中・高とこれからも入学&卒業は繰り返されていきますが、幼稚園・保育園から小学校に上がるときは、ひときわ胸にキュンとくるものがあるのではないかと思います。
右も左もイマイチわかっていなかった入園時にくらべ、体も心も大きく成長した子どもたち。卒園前には、子どもたちなりにいろいろと感じ取って、気持ちが不安定になる子も少なくないようです。
園のことが大好きな子どもにとっては、小学校へ上がるという喜ばしいライフイベントも、大きな葛藤に悩まされる原因となります。
「園のお友達と離れたくない。先生とも離れたくない。でも、小学校に通っているおにいさん、おねえさんのようにもなりたい」
不安と期待で胸がいっぱいになっている状態が、卒園を控えた子どもたちのリアルなのではないでしょうか。
子どもの不安な気持ちを認め、寄り添う姿勢で
楽しみ・寂しい・不安・期待…と、卒園を控えた子どもたちの感情は大忙し。ふとした瞬間に小学校への楽しみや期待が表れたかと思えば、とつぜん園を離れる寂しさや小学生になることへの不安に襲われたりと、常に心に大きな波が押し寄せています。
子どもによっては、夜寝る前に布団の中で泣き始めたり、チックのような症状が出たりするケースも。それくらい、子どもにとって卒園・入学は大きくて衝撃的な出来事なのです。
親も突然様子が変わってしまった我が子を目の前にして、戸惑うことが少なくありません。何と言葉をかけてあげればいいのか、どんなふうに接してあげればいいのか。小学校の生活に慣れれば落ち着いてくるだろうとわかってはいながらも、自分の感情を持て余して困っている我が子を見れば、何かしてあげたいと思うのも親心というもの。
実のところ、親だって期待と不安を抱えています。学校生活に必要なものを揃えたり名前つけをしたりと、入学までに済ませておかなければいけないことに追われながらも、「小学校にも楽しく通ってくれるだろうか」と心配が頭をよぎります。
親の気持ちにも波ができる。それでは子どもの気持ちが不安定になるのも、無理はないですね。とりあえず見た目だけでもいいので、大人はドーンと構えていましょう。
しかし、どれだけ「大丈夫だよ」と伝えても、当の子どもはいっこうに「わかった!」と理解して、元気を取り戻してくれる様子が見られない──。
何も効果が出ていないように見えるかもしれませんが、子どもにはちゃんと届いています。「ママが自分の気持ちを理解しようとしてくれた」「パパがたくさん話を聞いてくれた」という事実は、子どもの心を落ち着かせる材料となります。不安な気持ちを解消しようなんて、大きなことをやろうと頑張らなくても大丈夫です。
子どもの心からあふれ出てくる言葉や涙に、しっかり反応して“うん、うん”と話を聞いてあげることこそが、なによりの寄り添いだと思います。
こうした寄り添う姿勢は、新型コロナウイルスの感染対策で園の行事が中止になったり、休園で友達と会えずに子どもが気落ちしている時にも、ぜひ心がけたいもの。忙しさの中でもできる範囲で、子どもの思いに耳をかたむける時間をつくりたいですね。
他の子と比較せず我が子のペースを尊重する
きょうだいがいる子や、早く小学校に行きたくてしかたのない子など、同じ園の中にも卒園をものともしないタイプの子も、もちろんいます。一方、我が子は毎日シクシク泣いてばかり…そうなるとつい他の子と比較して「何とかしたい」と思うことでしょう。
しかし、それはその子なりのペース。早く卒園して小学生になりたい子もいれば、まだまだ園児のままでいたい子もいるのです。
「○○ちゃんは、あんなに小学校に行くの楽しみにしてるじゃない?」というのは、卒園を控えてナーバスになっている子に対して、できるだけ避けたい言葉。
我が子が泣いていても、グズグズ言い出しても、それを否定するようなことは、この時期は特に避けてあげるべきなのではないでしょうか。おそらく、大人から言われなくても、本人が「こんなこと言っていてもどうしようもない」ことを一番わかっているからです。
そこに追い打ちをかけるような言動を親がとってしまうと、敏感になっている心に大きなダメージを与えてしまうかもしれません。卒園前のこの時期は、「グズグズ言わない!」「泣かない!」と言いたくなるところを、グッと我慢する。親にとっても、試練のときかもしれませんね。
まとめ
卒園・入学が目前に迫っている今、もし我が子の気持ちが不安定になったとしても、それはごく自然なこと。「うちの子、繊細すぎるかも」と心配するのではなく、大きな一歩を踏み出すための勇気を振り絞ろうとしているんだと、前向きに捉えてあげたいものです。
今年は、かつてない大規模な感染症対策が行われている中で、卒園・入学シーズンを迎えることになってしまいました。お子さんとご家族のお気持ちは察するに余りあります。一日も早く事態が収束し、子どもたちがのびのびと遊んだり勉強したりできる日常が戻ってくることを切に願っています。
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