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コロナショックでもやっておくべき資産形成は「積立投資」。賢いファンド選択の方法は?

LIMO / 2020年3月28日 20時15分

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コロナショックでもやっておくべき資産形成は「積立投資」。賢いファンド選択の方法は?

4月3日は資産形成を考える日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による社会・経済への影響への懸念から生じたコロナショック。筆者は当初からかなり冷静に見ていました。コロナがきっかけになるかどうかは分かりませんでしたが、同時にいつ暴落が起きてもおかしくないとも思っていたからです。

過去の大暴落で株価はどうなった?

というのも、筆者の金融・資産運用業界での35年間にわたる経験の中で、次の3つの大暴落を経験しているからです。

(1)1987年10月:ブラックマンデー
(2)1990年1月:日本のバブル崩壊
(3)2008年9月:リーマン・ショック

(1)は、ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均株価(以下、ニューヨーク・ダウ)が1日で23%下落(奇跡的に日本株はほぼ無傷)。(2)は、日経平均株価が史上最高値を付けた後に約20年間で5分の1にまで落ちるきっかけ。(3)は、やはりニューヨーク・ダウが直前のピークから1年半かけて半値になる原因となりました。

こうした暴落は10年から15年に1回くらいは来ますので、具体的に「いつ」かは予想できませんが、いずれ来るものなのです。

今回の下げが過去3回の超弩級(どきゅう)クラスの暴落になるかどうか分かりませんが、本稿の執筆時点では、日米の株価はまだピークから3割少々しか下落していません。したがって、日本のバブル崩壊やリーマンショックと比べると、まだまだ大暴落とは言えないと思っています。

株価は人間の投資活動で形成されます。景気が底を売って回復から拡大局面になると、人間は昔の暴落のことを忘れてしまいます。加えて、時の流れの中で世代交代が常に行われますから、昔の暴落のことなんて気にしませんし、うまく伝承されないということもあります。

しかし、結局のところ経済を動かしているものは人間の欲です。欲が古来人間社会を発展させてきたのです。ところが、人間には欲が行き過ぎると自制を促すメカニズムも備わっているようで、必要な時にその自制スイッチが入り、欲が一時的にしぼみます。

いくら美味しいものを食べ続けても限界はありますし、仮に食べ続けられたとしても、いわゆる生活習慣病のリスクが高まり、最悪は死に至ることもあるでしょう。これと同じように、株価暴落は人間の金銭欲に対する自制を促すメカニズムではないかと筆者は考えています。

それでも資産形成は必要

では、こうしたメカニズムに恐れをなし、何もしなくても資産形成はできるのでしょうか。
 
筆者は資産形成においては、必ずしも株式や投資信託に投資しなくてもいいと思っています。預貯金でコツコツ残していくのも悪くありませんし、リスクは絶対取りたくないという方もいらっしゃいます。

余計なことは考えたくないという方もいらっしゃれば、稼ぐのは仕事で十分と思っている方もいらっしゃるでしょう。また、資産形成とか資産運用というと、怪しい投資話と十把一からげに考える方もいらっしゃいます(実際、金融詐欺が跋扈していますから要注意であることは事実です)。

ところが、住宅資金や教育資金、起業資金、老後資金等の必要性を考えていくと、やり方はどうあれ、ある程度の貯蓄を持つこと、すなわち資産形成を図って行かないと前向きな人生を送ることは難しいでしょう。

つみたて投資で着実な資産形成を

では、どうやって資産形成をしていけばいいのかでしょう。答えはシンプルです。つみたて投資を続けることです。これは筆者の仕事柄からくる我田引水でもなんでもありません。

話をシンプルにするために相続のことは脇に置いておくと、もともと大金を持って生まれてくる人はおらず、仕事をして初めてお金がもらえます。将来の生活設計のため、初めは少ない給料の中から、貯蓄する以外お金を貯める方法はありません。

貯蓄と言うと預貯金で増やすイメージですが、現在の低金利下ではお金は増えません。10年満期の日本国債の利回りでさえほぼゼロ%の時代です※(執筆時)。

※参考:日本国債・金利(Bloomberg)(https://www.bloomberg.co.jp/markets/rates-bonds/government-bonds/japan)

しかもタイミング的にはコロナショック。金利は下がっても上がる状況にはありません。一般の方が資産形成するにあたって預貯金や日本の国債では役不足なのです。

そうなると、どの運用対象でお金を増やすかということになりますが、流動性があって、長期運用が可能、しかも税制優遇があるもの(NISAやiDeCoなど)と条件を挙げれば、投資信託に行き着きます。加えて、ある程度のリスクを取らなければリターンは得られませんから、どうしても株式を投資対象とする投資信託となるのです。

もちろんやみくもに株式投資信託を勧めているわけではありません。読者の方はある一定期間コツコツ積み立てながら、その後資金を使われるものと想定しています。時間を味方にできるのですから、期待リターンがより大きい投資対象を選ぶほうが合理的ではないかという示唆であるとお考えください。

さて、足元ではコロナショックで株価が暴落しています。この状況下で、以下のようにつみたて投資のシミュレーションをしてみましょう。

毎月1万円をニューヨーク・ダウに投資するとします。直近の株価は次の通りです。

2020年1月31日:28,256ドル

2020年2月29日:25,409ドル 

2020年3月19日:20,087ドル

1月末から3月19日まで、なんと29%の暴落です。暴落は気にせずこのニューヨーク・ダウを毎月1万円ずつ買ったとして何株ずつ買えるでしょうか。小数点以下だとわかりにくいので、買えた株数を1万倍して計算します。1ドルは100円とし、10,000円は100ドルとなります。3か月間で3万円(300ドル)投資したことになります。

2020年1月31日:35株(100ドル÷28,256ドル✕10,000)

2020年2月29日:39株(100ドル÷25,409ドル✕10,000)

2020年3月19日:50株(100ドル÷20,087ドル✕10,000)

合計、124株買えました。今後ニューヨーク・ダウが暴落前に戻ったとすると、読者の資産は124株✕28,256ドル(÷10,000)となり、評価額は350ドルになります。投資額の合計300ドルに対し、この投資期間の運用リターンは16%になります。


このように、つみたて投資の利点は、投資対象資産の価格が下がると株数(持ち分)がより多く買えることにあり、同時にご自身で投資タイミングを選ぶ必要がないことです。

もちろん、株価が暴落後何年かけて元の水準に戻るかは分かりませんが、少なくとも米国の株価は過去の経済ショックを乗り越えて、継続的に上昇してきたことは過去の推移からも分かります(図表1ご参照)。

図表1:米S&P500指数の長期推移(1928年2月〜2020年3月)

(/mwimgs/9/6/-/img_967c34d7f03206915d90075f620825b3115924.jpg)

拡大する(/mwimgs/9/6/-/img_967c34d7f03206915d90075f620825b3115924.jpg)

出典:macrotrends.netより筆者作成。網掛けは米国不況期。

残念ながら、日経平均株価は1990年のバブル崩壊以降最高値を更新していないことはご留意いただきたいのですが、長期つみたて投資は毎月一定の金額をつみたてることで市場変動を平準化し、保有株数を増やして資産を成長させることなのです。

どんなスクリーニング方法でファンドを選ぶか

では、日本で約6000本ある投資信託の中から、どのファンドを選ぶかということですが、私なら次のスクリーニング方法で選択します。

1. 購入手数料がかからず、信託報酬が0.2%以下のもの

信託報酬も0%と言いたいですが、そうするとファンドや販売会社が限定されるので、そこまで無理は言いません。

2. インデックス・ファンド

インデックス・ファンドは、たとえば日経平均株価やニューヨーク・ダウといった株価全体の動きに連動するように運用される投資信託のことです。日経平均株価が1%上昇(下落)すると、その日経平均株価連動インデックス・ファンドの基準価額も1%上昇(下落)する投資信託とご理解ください。

したがって、個別株式がいくら上昇(下落)しようが、日経平均株価の変動率にしか追随することしかできません。その代わり、インデックス・ファンドは個別株式を選択をする必要がありません。機械的に日経平均株価の対象銘柄(225銘柄)に運用するだけですから、運用コストは0.数%とほとんどかかりません(これは投資対象が日経平均株価であろうと、ニューヨークダウであろうと同様です)。

一方、インデックス・ファンドとは逆の概念であるアクティブ・ファンドは、個別株式を選択することで、たとえば日経平均株価以上の運用成果を目指す投資信託です。平均以上の運用成果を目指すわけですから、銘柄選択により高い調査費用や人件費がかかるため、運用コストは年間1〜2%程度かかります。

インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドはどちらが良いかという議論はさておき、運用コストが低くわかりやすいという観点から、つみたて投資をするならインデックス・ファンドで十分だと筆者は考えています。

3. 投資対象インデックスが30年単位で長期的にプラス・リターンを計上してきたもの

たとえば、米国株のS&P500指数やニューヨーク・ダウなどです。一方、個別株式は別として、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など日本株全体に対しては懐疑的です。

なぜなら、日銀は2010年12月以来、日本株ETF(上場投信)を30兆円以上購入してきたにもかかわらず、結局コロナショックの株価下落を下支えできないことが明らかになったからです。長期つみたて投資は、過去の大きな経済ショックを乗り越えてもなお上昇する資産を投資対象とするべきだと思います。

4. NISAやiDeCo(個人確定拠出年金)で購入できるもの

つみたて投資では、非課税メリットを最大限に活かしましょう。前述の通り、有価証券投資の非課税枠にはNISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人確定拠出年金)とがあります。

NISAのなかでつみたて投資を行うのであれば「つみたてNISA」があります。これは年間40万円までの投資金額に対し運用収益が非課税ですが、時限制度であることには注意が必要です※。

※詳しくは金融庁のサイトで「つみたてNISA」のページ(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/index.html)をご参照ください。

一方、iDeCo(個人確定拠出年金)は、公的年金の補完制度としての位置付けとして厚生労働省が導入した制度です。公的年金の加入状況により条件が異なりますが、基本的に20歳以上の方はご自身で運用投資対象(投資信託または預金代替金融商品)を選び、それぞれの上限金額まで毎月掛け金を拠出(つみたて投資)することができます。

掛け金の拠出は60歳までで、確定拠出年金の引き出しは60歳以降となります。したがって、仮に20歳から加入すると、40年間積み立てられるわけですから、まさに時間を味方にすることができます。

おわりに

今ではモーニングスター社のように投資信託の検索エンジンを無料で提供してくれているサイトもあります。上記の条件を打ち込めば、読者の求める投資信託がすぐに検索できるでしょう。

さらに詳しくは筆者の著書『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4761274085/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=minamiyama04-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4761274085&linkId=6394ddb53831754fdeaa3a76142a17b0)』をご一読ください。つみたて投資がいかに効率的な資産形成方法かお分かりいただけると思います。

<<これまでの記事はこちらから(https://limo.media/search/author/%E5%A4%AA%E7%94%B0%20%E5%89%B5)>>

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