新型コロナ禍による中国への疑念。一帯一路など経済外交は今後どうなる?
LIMO / 2020年3月24日 20時20分
新型コロナ禍による中国への疑念。一帯一路など経済外交は今後どうなる?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の中心はアジアから欧米に移っている。そんな中、中国政府は国内では終息の方向にあるという見方を示している。
今後、世界各地で感染がひとまず落ち着いた際、どんな状況が予想されるだろうか。その1つに、世界各地で中国への疑念、非難、恐怖症などが改めて高まることがあるかもしれない。
国際的影響力維持に躍起の習政権
習近平政権もそれを予期しているのか、最近は新型コロナウイルスにさらされている国々に大規模な救援部隊を派遣するなどし、自らが感染源国であるということを払拭しようとしている。
特に、感染が深刻なイタリアに救援部隊が派遣されたことが大々的に報じられた。
去年、イタリアはG7で初めて一帯一路に参加することを表明したが、一帯一路には今回の新型コロナ問題によって、既に「中国パキスタン経済回廊」の事業などで大きな遅れが生じるなど影響が出ている。
そんな中、中国としては一帯一路参加国への救援を強化し、“責任国”ではなく“感謝国”という印象を広め、自らの影響力を確保したい狙いがあることは想像に難くない。
中国への非難を強めるトランプ大統領
だが、事が簡単に進むとは限らない。
トランプ米大統領は19日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中国の初動体制を強く非難し、ホワイトハウスでの声明文書の中で、「コロナウイルス」と書かれた箇所を「中国ウイルス」と自身で書き直していた。
米国でも感染者数が増え、経済の疲弊が懸念され、秋の米大統領選挙への影響が指摘され始めている。そうしたことを背景に、好調な経済を成果としてアピールしてきたトランプ大統領は、中国への非難を強めている。
WHOと中国の癒着という疑念
また、この2カ月間のWHO(世界保健機関)の対応には、世界から多くの不満、不信感も出ている。
WHOのテドロス事務局長は、1月に北京を訪問して習近平氏と会談し、北京とWHOの協力を強化することが発表されたが、パンデミックを宣言するタイミングなどを巡り、両者の癒着を指摘する声が各方面から聞こえた。
近年、テドロス氏の出身国エチオピアは、一帯一路の影響で中国から多額の援助を受けている。そしてテドロス氏は、2005年から2012年にかけて保健大臣を、その後2016年まで外務大臣を務めた大物政治家でもある。
中国国営の新華社通信は3月上旬、テドロス事務局長をはじめWHOは感染拡大の防止に重要な役割を果たしたとして、日本円にして21億円を中国政府が寄付すると発表している。
国際社会はどう出るのか
いずれにせよ、中国は自らに原因や責任があるという不信感を払拭するため、今後も”責任ある大国”を強くアピールしてくることだろう。
既に一帯一路の強い影響を受けている国々は、中国を大々的に非難することは難しいだろうが、米国や欧州各国をはじめとする国際社会では、感染源の究明を求める声が日に日に強くなるのではないか。
習近平政権は“感謝国”になることに躍起になるだろうが、それは決して簡単なことではない。
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