新型コロナに隠れたリスク:日本経済にどう影響? 米イラン対立のその後
LIMO / 2020年4月1日 20時0分
新型コロナに隠れたリスク:日本経済にどう影響? 米イラン対立のその後
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大は欧米で猛威を振るい、イタリアやフランス、スペインや米国では極めて深刻な事態となっている。そして、今まさに日本・東京もロックダウンの手前と言われ、これまでなく緊張が高まっている。
しかし、新型コロナウイルスがメディアで取り上げられる直前、世界では米イラン危機が大きな問題となっていた。あれから、この問題はどうなっているのか。ほとんどメディアで取り上げられなくなったことで、その動向は幸いにも落ち着いているのか。
現実はそうではない。今でも同じような衝突は続いているのだ。
米軍駐留基地へのロケット弾で死傷者
3月11日、イラク・バグダッド北郊にある米軍駐留基地にロケット弾15発以上が撃ち込まれ、米兵2人と英兵1人が死亡、少なくとも12人が負傷した。
犯行声明は出ておらず、米軍幹部は、現在のイスラム過激組織「イスラム国(IS)」にこれほどの攻撃をする能力はないとし、イラクを拠点とする親イランのシーア派武装勢力「カタイブ・ヒズボラ(KH)」による犯行を指摘した。
ちなみに11日は、1月初旬に殺害されたイラン革命防衛隊・ソレイマニ司令官の63歳の誕生日だった。
米軍の空爆後も続く攻撃
その翌日、米軍はイラク南部にあるKHの拠点5カ所に向けて空爆を実施した。米国防総省は、緊張をさらに高めない程度に「限定的な」報復を行ったと発表したが、秋の大統領選挙もあり、イランとのさらなる緊張悪化をできるだけ避けたいというトランプ政権の思惑が見て取れる。
しかし、事態はそれだけで終わらなかった。14日、バグダッド北方にある米軍など外国部隊が駐留する基地に再びロケット弾25発あまりが撃ち込まれ、兵士7人が負傷した。負傷した兵士の国籍などは明らかになっておらず、犯行声明も出ていない。
また、17日には、バグダッドの政府や各国大使館が集まる「グリーンゾーン」でに、少なくとも3発のロケット砲が着弾し、そのうち1発が米国大使館付近に着弾した。米国関係者に被害者は出ていなかった。
新たに台頭した親イラン武装勢力も
さらに、「Nujaba Movement」を名乗るシーア派武装勢力は16日に声明を出し、米軍がイラクから撤退しない限り、米軍が駐留する基地への攻撃を続けると警告した。
Nujaba Movementは新しく台頭した親イラン武装勢力とみられるが、構成人数やKHなど他の親イラン武装勢力との関係といった詳しいことは分かっていない。
以上のように、新型コロナウイルスの影響で報道されないが、現地では1月初旬と同じ情勢が続いている。イラクは依然として米イラン対立の最前線なのだ。現地のシーア派武装勢力は攻撃を続けると宣言しており、今後も駐留米軍への攻撃が続くことだろう。
今後の動向のカギは米大統領選
そして、今後の動向においては、秋の米大統領選の行方が1つのポイントになる。トランプ大統領が再選することになれば、現在のリスクがさらに4年間は続くことになる。
一方、民主党候補の本命となりつつあるバイデン氏が勝利することになれば、バイデン氏のイラン政策に左右されることになるが、現在のリスクからは変化が生じることになろう。
日本経済への影響だが、現地では双方の応酬が続いているものの、それが1月初旬のような危機にまで高まる可能性は低い。新型コロナの問題もあるが、トランプ大統領も秋までに緊張を高めることはできるだけ避けたいだろう。
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