緊急事態宣言はロックダウンではないが、ロックダウンはあらゆる危機で起こり得る
LIMO / 2020年4月7日 20時35分
緊急事態宣言はロックダウンではないが、ロックダウンはあらゆる危機で起こり得る
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るい、欧米を中心に各国でロックダウン(都市封鎖)が実施されている。
しかし、一部では警察と市民との間の暴力に発展し、死亡者も報告されている。また、外出していた市民が警察官に見つかって棒で容赦なく叩かれ、腹筋や腕立て伏せなどを強要される事態も発生するなど、各国ではロックダウンによる副作用が多く見られる。
日本では強制的外出禁止措置はできない
このようなロックダウンは日本では可能なのか? これについては、3月14日に成立した新型コロナウイルス特別措置法を見ればすぐ分かる。
まず、この法律にはロックダウンについて明記されておらず、強制的な外出禁止措置はできない。日本で可能なのはあくまでも要請にとどまる。
要は、結局は国民一人一人が行動を自粛するしかない。政府としても、緊急事態宣言を出し、国民に最大限の警告をすることで外出禁止を促進するという形しか取れないのだ。
各国で生じているような暴力や衝突は避けなければならないが、強制力がない措置でどれほど感染拡大を止められるか。これは極めて難しい問題といえる。
ロックダウン(都市封鎖)はテロや暴動でも生じる
しかし、ロックダウンは何も感染症だけによって生じる現象ではない。たとえば、戦争やテロ、暴動など政治的暴力によっても生じる。
1つの事例として、今月22日で1年を迎えるスリランカ同時多発テロがある。
このテロ事件は、スリランカ最大の都市コロンボにある高級ホテルなどで同時多発的な自爆テロがあり、250人以上が死亡、500人以上が負傷した。死亡者には、高級ホテルで朝食を摂っていた邦人1人も含まれる。
この事件後、外出禁止令が出され、国際空港や主要駅などを結ぶ公共交通機関が麻痺し、各学校などは閉鎖に追い込まれ、正にロックダウンの状態になった。
スリランカ同時多発テロではインターネットの遮断も
今回の感染症拡大によるロックダウンと大きく異なるのが、インターネットの一時的遮断だ。
各国で見られるロックダウンをみると、確かに通りに出る人々の数は大幅に減ったものの、サイバー空間は日常どおりで、むしろ在宅勤務が多くなったこともあり、インターネットへの人のアクセスは増加している。
しかし、スリランカ同時多発テロのように、大規模なテロだった場合、ロックダウンによる影響はサイバー空間にも及び、ネットへのアクセスが全面的に遮断される場合もある。
政府がインターネット遮断を強制するのは、テロリストがネットやSNSを使って連絡を取り合い、次なるテロ計画を進めたりするからだ。
近年のテロでは、テロ組織による過激思想の拡散と個人の自己過激化が大きな問題となっており、ネット空間をどう監視するか、取り締まるかが大きなカギとなっている。
おわりに
今は感染症が国難となり、いつそれによるロックダウンが起こるかに世論の注目が集まっているが、原発テロや弾道ミサイル、防災や地震などあらゆる危機から生じるロックダウンについて考えることが今後重要となる。
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