元銀行員が語る、投資初心者が銀行で「つみたてNISA」を始めるべきでない理由
LIMO / 2020年5月1日 18時45分

元銀行員が語る、投資初心者が銀行で「つみたてNISA」を始めるべきでない理由
投資初心者に人気がある「つみたてNISA」。
つみたてNISAを始めるためには金融機関でNISA口座を開設する必要がありますが、どこで口座を開設しようか悩んでしまいますよね。
筆者はもともと銀行員として働いていたのですが、投資初心者だからこそNISA口座を銀行で開設することはおすすめしません。
今回はなぜ銀行でNISA口座を開設すべきでないのか、その理由についてお伝えします。
そもそも「つみたてNISA」とは
つみたてNISAとは、2018年1月にスタートした積立投資専用のNISAのことを指します。
若い世代にも長期的な資産形成を行ってほしいという思いを込めて2014年から始まったNISA制度でしたが、いざ始まってみると「余裕資金がない」「始め方がわからない」といった声が多く、利用者の大半は中高年が占める結果となってしまいました。
そこで、もっと若年層でも始めやすい投資制度を作ろうと、長期にわたり分散、積立投資ができる制度「つみたてNISA」が誕生したのです。
つみたてNISAにおける一番の特徴は、投資によって得られた売却益や運用益が最長20年間は非課税となることでしょう。(NISAの投資上限額が年間120万円であるのに対し、つみたてNISAの年間投資上限額は40万円)
通常、投資を通して得た利益には20.315%の税金がかかることを考えると、非課税の恩恵を最長20年間も受けることができるのはとてもお得だといえますね。
また、つみたてNISAで扱っている投資信託は金融庁によって厳選されており、2020年4月現在で181本となっています。
金融庁の厳しい審査要件を通過した商品であることから、投資初心者でも比較的投資に失敗するリスクが低いといえるでしょう。
口座開設に銀行をおすすめしない理由
さて、とてもお得なNISA制度ですがNISA口座は1人につき1口座までしか開設できないため、どこの金融機関で開設しようか悩んでしまう方も多いはず。
とはいえ、冒頭でも述べたように投資初心者が銀行でNISA口座を開設することはおすすめしません。
その理由として、
● 取り扱っている投資信託の数が少ない
● 最低積立金額がネット証券に比べ割高である
● 他商品の勧誘にあう恐れがある
といったことが挙げられます。
詳しく見ていきましょう。
取り扱っている投資信託の数が少ない
2020年4月時点で、金融庁が厳選したつみたてNISAの対象商品は181本。
とはいえ、すべての対象商品が購入できるわけではなく、金融機関によって扱う商品が異なります。
そこで今回は、メガバンクのつみたてNISA取扱商品数について調べてみました。
拡大する(/mwimgs/b/4/-/img_b46817a9b051160f0aff2a832e5d15737369.png)
メガバンクのNISA取扱商品数(各行の資料を参考に筆者作成)
メガバンクに対し、楽天証券やSBI証券では150本以上の商品ラインアップがあり、その差は歴然です。
取り扱いが少なければ当然選択肢が狭くなりますので、あなたのニーズに合った積立投資が実現できない可能性が高まるといえるでしょう。
最低積立金額がネット証券に比べ割高である
つみたてNISAの年間投資上限額は40万円と定められていますが、最低積立金額は各金融機関によって異なります。
こちらも先ほどのメガバンクでまずは確認してみましょう。
拡大する(/mwimgs/6/e/-/img_6e6856b410049c38bd626722b91af1279694.png)
メガバンクの最低積立金額(各行の資料を参考に筆者作成)
最低積立金額についても、楽天証券やSBI証券を始めとしたネット証券であれば100円から始めることができます。
最低積立金額は投資信託1本に対してかかるため、もし最低額が1万円の場合には3本購入した時点で合計3万円となることから、つみたてNISAの毎月の投資上限額に達してしまうでしょう。
最低積立金額が低ければ低いほど、少しのお金でさまざまな金融商品へ分散投資をすることができるといったメリットがあります。
他商品の勧誘にあう恐れがある
投資初心者が銀行でNISA口座を開設すべきでない一番の理由として、他商品の勧誘に合う恐れがあることが挙げられます。
投資初心者であればあるほど、勧誘内容が自分のニーズに適しているかどうか判断することができず、気づいたら他の金融商品も契約していたなどというケースは決して珍しいことではありません。
つみたてNISAの口座開設で足を運んだはずなのに、結果として全然関係ない契約をしてしまったら後悔してもしきれないですよね。
その反面、ネット証券であれば対面でやりとりをすることなくネット上だけですべての手続きが完了することから、勧誘をされる恐れがありません。
よって、投資初心者は銀行よりもネット証券でNISA口座を開設したほうが勧誘にあうリスクが低いといえるでしょう。
まとめ
今回は、なぜ投資初心者が銀行でつみたてNISAを始めるべきではないのかについてお伝えしました。
日ごろ何かと利用する機会が多い銀行ですが、だからといってつみたてNISAもそこで始めてみようという考えは少々危険でしょう。
万が一金融機関選びに失敗してしまうと、翌年になるまでNISA口座の変更はできません。
そのため、開設前に複数の金融機関を比較検討したうえで、あなたのライフスタイルや投資プランにあったところで開設するようにしてくださいね。
【参考】
「つみたてNISAとは(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html)」金融庁
「つみたてNISA対象商品の内訳(4月1日時点)(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/28.pdf)」金融庁
「NISAで投資を始めよう(https://www.bk.mufg.jp/isa/index.html)」三菱UFJ銀行
「つみたてNISA(https://www.smbc.co.jp/kojin/special/tsumitate/product/nisa/)」三井住友フィナンシャルグループ
「つみたてNISAとは(https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/nisa/tsumitate/index.html)」みずほ銀行
「つみたてNISA(https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_nisa&cat1=nisa&cat2=tsumitate&dir=tsumitate&file=tsumitate_nisa_top.html)」SBI証券
「つみたてNISA(https://www.rakuten-sec.co.jp/nisa/tsumitate/)」楽天証券
「みんなにいいさ!NISAがいいさ‼(http://www.jsda.or.jp/nisa/)」日本証券業協会
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
2月13日は「NISAの日」NISAに関する調査結果と社内データを公表
PR TIMES / 2025年2月11日 11時40分
-
忙しいママにもできる新NISA・iDeCoの始め方【「無理なく貯まる!初めての投資」 第2回】
Woman.excite / 2025年2月1日 20時5分
-
【はじめての資産運用はPayPay証券】2024年12月末時点の開設口座数が130万口座を突破!
PR TIMES / 2025年1月30日 12時40分
-
NISAの生涯投資枠「1800万円」をフル活用!枠を最大限に生かす賢い活用術とは
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月29日 10時20分
-
【新NISA】年120万円の非課税枠をどう使う?…「月3万円をコツコツ」「ボーナスでがっつり」「最大限活用」パターンごとにFPがシミュレーション!
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月21日 14時15分
ランキング
-
1鉄鋼、アルミに25%関税=国内産業保護で―日本も対象、3月実施・トランプ米大統領
時事通信 / 2025年2月11日 17時46分
-
2若手と企業が考える「安定している」の意味は違う そもそも「今どきの若者はすぐ辞める」も間違い
東洋経済オンライン / 2025年2月11日 12時0分
-
3「タワマン大暴落」を待ち望む人が知らない"現実" 修繕積立金の高騰を心配している人もいるが…
東洋経済オンライン / 2025年2月11日 7時45分
-
4中国の鉄鋼株が下落、トランプ関税で輸出に不透明感
ロイター / 2025年2月11日 15時26分
-
5トランプ大統領は仮想通貨にとって天使か悪魔か 「トランプ関税」の余波で史上最大の売りを招く
東洋経済オンライン / 2025年2月11日 11時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする

記事ミッション中・・・
記事にリアクションする

エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
