10万円給付「世帯ではなく個人に」夫に不安を持つ家庭の声
LIMO / 2020年4月30日 20時15分

10万円給付「世帯ではなく個人に」夫に不安を持つ家庭の声
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により大きな打撃を受ける日本列島。経済活動が制限され生活に不安を抱く人たちのため、ついに「1人10万円」の給付(特別定額給付金)が決まり、各自治体が一斉に動き始めました。
安堵する声が聞こえる中その詳細が少しずつ明らかになると「世帯主への一括配布はしないで!」という声もあるようです。一体どういうことなのでしょうか。
「世帯主」である夫がお金を握る場合、妻の手に渡らない場合も
総務省の「特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関連)(https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html)」によると、今回の給付対象者は「その者の属する世帯の世帯主」となっています。スピード感が求められる今回、各個人に振り込むよりも手続きが簡素化されるためこれらは適切な処理という意見の一方、「口座を持っている人間が家族のために使用せず一人で使ってしまうことが不安」と答える人もいました。
家庭によっては普段からご主人が家計を預かりやりくりしているというパターンもあります。そういった場合、夫の年収や家の貯蓄額を知らないという妻も少なくありません。
・「結婚以来、夫の収入を教えてもらっていません。『俺が貯めてるから大丈夫だ』といい、私は食費や雑費をその都度もらう形式です。一応名前の通った会社に勤めているので、普通に貯金してくれているのであればこの先暮らせなくなることはないとは思うのですが、全体像が見えないのが不安ではあります。今回の給付金の話をすると『俺に任せておけば大丈夫』といつもの調子。夫のことは信じていますが、私や子供の10万円…。私だって自分で考えて地域に貢献したいという思いもあるのに」
・「我が家は共働きで、家のローンや自動車に関するお金は夫が支払い、食費や子供の習い事代は私が出す形をとっています。お互いのやりくりで余剰が出たときは自分の好きなように使えるのはいいところなのですが、児童手当などの振り込みがある月は気を付けないと夫が趣味に使ってしまうなんてこともあるので、今回のような大金の場合も目を光らせなければと警戒しています。夫に悪気がないのはわかっているのですが、自分の口座が潤うとそれに比例して出費がかさむタイプなので…」
・「お酒やジム、ゴルフなど普段から家族のことより自分のことにかけるお金が多い夫。『4人分で40万円か!』と言いながら、ネットサーフィンをしていました。『1人分は10万円だからね?』という私の声が聞こえているかどうか…。」
DVなどを受けている場合は
そんな「ちょっと困った夫」とは違い、離婚調停中やDV被害から避難している方々にとって、この「世帯主に一括」制は重くのしかかってきます。
夫の暴力などから逃げるため住民票を移していない場合、夫が「世帯主」になっているため、妻や子供の分も夫の手に渡ってしまうことになるのです。ただでさえ苦しめられている方々にとって、これは深刻な問題です。
こういった声を受け、総務省は令和2年4月22日に「配偶者からの暴力を理由とした避難事例における特別定額給付金関係事務処理について(https://www.soumu.go.jp/main_content/000684541.pdf)」を発表し、特別定額給付金は4月30日までに現在住んでいる市区町村に申請を出すことで、世帯主でなくても受け取りが可能になりました。子供が同伴している場合、その分も一緒に受け取ることができます。手続きを行った人の分は世帯主が申請しても支給されることはありません。「4月30日までに」となっていますが、それ以降も提出することができるので、なるべく迅速に手続きを行うことが必要です。
家族や地域が幸せになる使い方を
特別特定給付金の決定後、「俺の30万円」「私の10万円のはず」など、それぞれの思惑があふれる声が多く聞こえてきます。今回の給付はまだ銀行口座を持たないような赤ちゃんにまで支給されるものです。
お仕事に直接打撃を受けた人、人々を救うお仕事に従事し今なお疲弊している人。今は通常通り給与が出ているものの、休業の影響で今後会社がどうなるか不安を抱えている人など、みなさん事情は様々です。
「お金持ちは受け取るべきではない」といった意見もある一方、「各自が意識をもって受け取り、地域社会で経済を回すべきだ」という声もあります。権利を有する人が各々の考えを持ちながら、そのお金を適切に使うことが、今後の日本を明るくしてくれるのではないでしょうか。
まとめ
お金の問題は普段から夫婦間の喧嘩の原因になりがちです。今回のように、金額も大きく必要性に迫られている場合は普段以上に揉め事の原因となりやすいので、落ち着いた対応が必要となってくるのではないでしょうか。
「医療現場をはじめとして全国各地のあらゆる現場で取り組んでおられる方々への敬意と感謝の気持ちを持ち、人々が連帯して一致団結し、見えざる敵との闘いという国難を克服しなければならない」ことに対して給付されるお金だからこそ、仲良く心を一つにして消費していきたいものです。
家庭内で話し合いの余地がある場合はそんな会話を。分かり合えない相手であるのなら届くべき人に届く手続きを。活きたお金になるよう、動いてみてはいかがでしょうか。
【参考】
総務省「特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関連)(https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html)」「配偶者からの暴力を理由とした避難事例における特別定額給付金 関係事務処理について(https://www.soumu.go.jp/main_content/000684541.pdf)」
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