24時間「母親」「妻」でいられない。男女2人が打ち明けた「コロナ離婚危機」
LIMO / 2020年5月10日 20時45分
24時間「母親」「妻」でいられない。男女2人が打ち明けた「コロナ離婚危機」
近ごろはコロナをフロントに加えた「コロナストレス」「コロナ疲れ」というような言葉がメディアで取り上げられ、多くの人々が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってさまざまな影響を受けていることが報じられています。そんな中でも特に人々の関心を引き付けたのが、「コロナ離婚」というワード。今回は、男女2人の体験談からコロナ離婚を防ぐ方法を考えてみました。
24時間「母親」や「妻」でいられない
長崎県に住む足立美恵さん(仮名)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、現在テレワークを行っています。しかし、自粛中は24時間「母親」や「妻」でいなければならない重圧に苦しんでいるそう。
「子どもたちが家にいると必然的に母親としての仕事が出てくるし、夫もテレワークなので妻としての雑務ものしかかってきて辛いです。
普段、夫の隆さん(仮名)は頼めば家事を手伝ってくれていましたが、現在は慣れないテレワークにより、仕事のことで頭がいっぱい。育児や家事を頼むと「あとでやる」と言うものの、結局そのまま忘れてしまい、最終的には美恵さんが行っている状況。「不安な状況でいっぱいいっぱいなのは分かりますが、それは私も同じ。母親と妻、社会人という3つの顏をすべて維持し続けることが日に日に重荷になってきています。」
また、家で過ごす時間が長くなったことにより、時間の使い方をめぐるすれ違いも生まれているよう。今までは美恵さんが突然、残業になっても隆さんは比較的理解を示してくれていましたが、今は「家族みんなで食事を囲もう」という考えを押し付けられていると言います。
「こんな情勢だからこそ、家族の時間を大切にしようって。毎日7時には夕食をみんなで囲もうって言いだして…。その気持ちもわかりますが、私の仕事量は日によってばらつきがあり、難しいこともあります。夫は一切、料理を手伝わないですし。7時に食べられるように準備しないといけないのでキツイです。ごはんが用意されている状況で食卓につけばいいだけの夫に苛立ちます。」
美恵さんのように今、「母親」「妻」「社会人」という、自分に与えられすぎているたくさんの役割に苦しんでいる方は多いはず。同居している場合は「嫁」や「姑」といった役割も加わり、さらに多忙な状況に置かれてしまうこともあります。命の危機を身近に感じる今、家族の時間を大切にすることは決して悪いことはありませんが、それによって各々のライフスタイルに苦しみや不自由さが生じてしまうのならば、本末転倒。共に過ごす時間が長くなっているからこそ、お互いの仕事の状況を伝え合い、家事や子育てをどう分担するかを話し合う。それはコロナ離婚を防ぐだけでなく、夫婦の絆を深めるためにも大切なことだと言えます。
爆発されて初めて知った「妻の苦しみ」
「正直、コロナ離婚なんて自分たちには無縁だろうって思ってました。僕の中では、僕らは夫婦円満だって思ってた。」そう語る岡田晃さん(仮名)は妻・よし子さんの爆発を目の当たりにし、夫婦関係を見つめ直したと言います。
岡田さん夫婦は共にデザイン関係の仕事をしており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延しはじめた頃からテレワークをするようになりました。「妻は日頃から僕によくしてくれて。いつしか、それが僕の中で当たり前になっていたことに今回、初めて気づかされました。」
3年前に結婚して以来、晃さんはこれまで家庭のことや身の回りのことなどはすべてよし子さんに任せてきたそう。テレワーク中も、ごく自然に自分の願望をよし子さんに伝えていました。休憩したいからコーヒーを飲みたい。目が疲れたから目薬を持ってきてほしい。お腹がすいたからご飯にしよう。そんな要求を口にし続けた結果、よし子さんの堪忍袋の緒が切れたのです。
「ある日、いつものように『コーヒーお願いね』って頼んで仕事部屋へ行こうとしたら、これまで見たこともないような顔で『いい加減にして!前々から思ってたけど、私は家政婦じゃない。それに私にも仕事があるから、いちいち中断させられるとイライラする』と言われました。」
自粛前、2人が顔を合わせていたのは、会社から帰宅した後の数時間。その短い時間なら頑張れた家事や雑務が毎日・24時間いつでも発生するようになったことでよし子さんの心は限界を迎えてしまったのです。
「恥ずかしい話ですが、妻に言われるまで僕は全く与えていた負担に気づいていませんでした。よく考えれば、僕は目薬の置いてある場所すら知らない。知ろうともしませんでした。それは妻に頼めばいいやっていうだらしない考えがあったからです。そんな自分が情けなくなりました。」
よし子さんの心境を知った晃さんはその日以来、仕事が終わった後にお互いの仕事量やスケジュールを把握する時間を定期的に設け、ホワイトボードに日ごとの家事分担を記すようになったそう。「僕は妻の気持ちを察することができなかったので、言ってもらえてよかった。もし自粛がなかったら、この先も妻に負担を与え続けていたのかもしれないと思うと、本当に申し訳なくなります。」
おわりに
結婚歴が長くなるにつれ、「やってもらって当たり前」だと思うことは増えていくもの。しかし、一緒に長時間過ごさなければならなくなった今、私たちはそんな「当たり前」など存在しないことに気づかなければいけないのかもしれません。
相手の気持ちをおざなりにせず、自分の気持ちも共有する。パートナーと過ごす時間が長くなっている今、そんなコミュニケーション法を意識していけたら家族仲は少し変わってくるかもしれません。これを機に、大切な人の健康だけでなく、心も守れるような対策法を考えていけたらいいですね。
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