老後は年間いくらで暮らす前提にすればいいのか
LIMO / 2020年6月7日 10時0分
老後は年間いくらで暮らす前提にすればいいのか
退職目前50代の資産形成
理想と現実のギャップが見えてくる50代こそ退職後の必要額を再検討
世界の金融市場が波乱となっているなか、資産形成を始めたばかりの若年層よりもすでにある程度の資産が出来上がっている50代の方のほうが、その影響は大きく、苦悩を感じているのではないでしょうか。
しかも50代になると退職後の生活が近づくことから、より現実感をもった形で想像できるようになってきます。そのため、自身の資産形成の現状と退職後の生活の現実感のギャップに不安が募ってくるものです。
だからこそ、改めて50代にとっての資産形成の考え方を整理しておく必要があります。まずは「望ましい退職後の生活、またはその生活に必要な生活資金総額」をどう設定するかから振り返ってみます。
退職後の生活に必要な資金はどれくらい必要かを考えるには、何歳までの生活を想定するか、年間どれくらいの生活資金を想定するか、の2つの前提条件を押さえておくことが必要です。
何歳まで生きるかは誰にもわからないことですから、あまり楽観的に考えないで、準備としては保守的に設定することが大切です。一般には平均余命(2018年データ、60歳男性で83.8歳、同女性で89.0歳)を使った議論をすることが多いのですが、危険な方法でもあります。
平均余命とは大まかにいえばある年齢の人の亡くなるまでの年齢の平均ですから、これを前提に退職後生活資金を計算すると、それより長生きする多くの人が資金不足になる計画になってしまいます。これではとても安心できません。
そこで現在の60歳の人が20%の確率で生きている「20%生存確率」の年齢(女性96歳、男性91歳)を使って、夫婦で95歳をめどに計画を立てるように勧めています。
目標代替率を使った簡易法で目標額を確認
退職後の年間生活必要資金では、海外で一般的に使われている目標代替率を使ったアプローチを勧めています。
一般には、住宅のリフォーム費用、生活費、娯楽費など個別費用を積み上げていく方法が使われますが、なかなか現実感がありません。それよりも現役時代の生活の何割程度(これが目標代替率となる)で生活できるかを考えることがわかりやすいはずです。
人は一度作り上げた生活水準は退職したからと言って簡単には引き下げられないもので、現役時代の生活水準、特に最終年収が退職後の生活水準を規定すると想定する方法です。
ちなみに、米国では目標代替率として最も多く使われる水準は70-85%といわれています。日本ではフィデリティ退職・投資教育研究所で計算したところ、元のデータにも拠りますが68-72%という結果でした。ざっくり70%というのが日本の目標代替率といえそうです。
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