スナックのママと語り合える「オンラインスナック横丁」 子連れで新サービスを体験してみた
LIMO / 2020年5月31日 19時0分
スナックのママと語り合える「オンラインスナック横丁」 子連れで新サービスを体験してみた
緊急事態宣言が全国で解除され、営業を再開した飲食店が増えてきました。しかし、入店前の検温や消毒を実施したり席の間隔を空けたりと、コロナ前と全く同じスタイルで営業することは難しくなっています。
苦境に立たされている飲食店の中でも特に、密集や密接が起こりやすい小さな店舗は営業再開の判断が難しい状況でしょう。スナックやバーは人と人の出会いの場として機能してきた側面もあるため、密集や密接を避けることはお店の特性を失うことでもあります。
そんな中、コロナ禍によって休業を強いられ壊滅的な状態になっているスナックを救い、新たな出会いを創出しようとする試みが5月14日にスタートしました。それは「オンラインスナック横丁(https://snackyokocho.com/)」。スナックのママとオンライン飲みができるというこのオンラインスナック横丁を、実際に体験してみました。
子連れでオンラインスナックに参加してみた
オンラインスナック横丁は、スナックを経営するママやマスターと、スナックで飲みたい人を繋ぐプラットフォーム。スナック愛好家の五十嵐真由子さんが、これまで訪れた全国各地のスナックやスナック女子とのネットワークを活かして立ち上げました。
生粋のスナック愛好家はもちろん、スナック初心者やスナックに少しでも興味がある人たちに向け、オンライン上でスナック体験をする場を創出することを目的にしたそう。ちなみにPCだけでなく、スマホからでも利用可能。スマホでは専用アプリのダウンロードまたはサイトからのアクセス、どちらからでも使うことができます。
全国のさまざまなスナックから自分の好きなお店を選択し、入場券を購入することで自宅にいながら“スナックで飲む”体験ができます。提供メニューはお店によってさまざまで、ママとプライベート飲みができる「1対1」や他のお客さんと相席する「フリー」、さらにはグループで使える「貸切」など。チケット料金はスナックごとに異なりますが、平均2500円~3500円。
妊娠前はスナックで一人飲みするほどスナックが好きだったものの、今は2歳前の子どもがいてお酒の場にすらまったく行けない筆者。そこで今回は、ママや初めて会う他のお客さんとのコミュニケーションが楽しめる「相席」を体験しました。
子連れでスナックで飲めるハードルの低さ
選択したのは渋谷にある「スナック杉の子」で、薫子ママが接客してくれました。他にいたのは、小学生の子どもと一緒の女性と単独で参加した女性。
挨拶や自己紹介、参加者それぞれに話を振るのは薫子ママがリードしてくれます。筆者が「夫も在宅勤務になって、毎食のご飯の用意が大変で…」と話すと、「わかる~! 私、4回離婚してるけど、次に結婚するとしたら絶対に週末婚にしたいもん!」とサラっと結婚遍歴を語ってくれ、参加前の緊張がどんどん解けていきます。
スナック杉の子では普段から小さな子ども連れで飲みに来る常連さんも多く、薫子ママも子どもに対してウェルカム状態。筆者の子どもがうるさくしていても薫子ママは手を広げて「もう、こっちおいで~! 抱っこしてあげたい~」と盛り上げてくれる場面も。初めて会う他のお客さんの恋愛話も聞くことができ、友達同士のオンライン飲みでは体験できない新鮮さがありました。
オンライン上での会話は喋る人の声が同時に交錯したり音声の都合上聞き取りにくかったりする難点が少なからずありますが、実際の飲みの席でもそういったことは起こるのでそこまで気になりませんでした。
現在は6割がスナック初心者、4割が女性利用
オンラインスナック横丁の発起人でオーナーの五十嵐さんに、詳しいお話を伺いました。
――サービススタートから10日経過しましたが、利用者状況やママの反応について教えてください。
五十嵐: 5月14日に開店して以降、ご利用者、加盟希望スナックともに増加しています。ご利用者については、ここ4日間はほぼ満員御礼状態が続き、全体の約6割がスナック初心者、全体の約4割が女性利用(1人利用、グループ利用)といった内訳なので、私自身も大変驚いています。
ママからも「今まで出会うことのなかった女性客や地域外の人との出会いが嬉しい」という反応があります。また、今は経営の危機に瀕していますが、多くのお客様から「アフターコロナには、必ずママのお店に行きたい!」という言葉を頂けていることが今のコロナ禍を乗り切る励みとなっているようです。
――当初、オンラインスナック横丁をスタートするにあたって声をかけたスナックのママたちからはどのような反応がありましたか?
五十嵐:当初は批判的ではなくとも、なかなか参加できない大きな課題点としては、やはりリテラシーの問題がありました。高年齢のママは「やってみたいがWi-Fi環境がない」、「スマホもなくガラケーしかない」などの声がありました。こうしたママも気軽に参加できるよう解決策を模索していきたいと思っています。
――入場チケットについてママの取り分は?
五十嵐:参加している加盟スナックにおいて、加盟手数料などの初期費用はありません。売上の3割を運営手数料としており、残りは全てママの取り分となります。
オンライン飲み会の二次会利用や地域創生の役割も
――スナック初心者の場合、一人で参加することは難しくてもグループでの「貸切」は利用しやすいな、と思いました。
五十嵐:会社や仲間内で開催されるオンライン飲み会は、いつも同じメンバーになりがちだと思います。そのため、ネタが尽きてダラダラとやってしまう、打ち切るきっかけがない、同性同士だけの会話で話が盛り上がらないなどの課題を耳にしていました。
オンラインスナック横丁は、コミュニケーションの達人であるスナックのママが接客を繰り広げます。オンライン飲み会の二次会として時間を決めてスナックに移動すれば、ダラダラ飲みや打ち切るきっかけ作りにもなります。また、第三者であるママが入ることで、雰囲気や話題の盛り上がりにも良い変化が生まれてくると思います。
――仲間内でのオンライン飲みは、お店に行くより安く済むメリットがあります。五十嵐さんがオンラインスナックで感じている付加価値とは何でしょうか。
五十嵐:現在のご利用者の内訳を見ても、「今までスナックに行きたかったけど、あの扉を開く勇気がなかった」、「料金システムがよくわからず、スナックに入るのが怖かった」などのスナック初心者に、スナックの楽しみを提供できていることはとても大きな価値だと思います。
また、お子様連れのお母さんの参加も増えています。普段は子育てで外に出られない中、家にいながらスナックという非日常感を味わうことでストレス発散となっているようです。“お酒を飲む場”というスナックの形が、ママの接客力にフォーカスすることで新たなニーズが生まれていると感じています。
それに加えて、全国のスナックが参加しているため、遠くの土地のスナックでママの方言やその地域性などの話題から、旅したような感覚を味わうこともできます。オンラインでつながることで、アフターコロナに向けた架け橋ができるのも大きな価値となっていると考えています。
――今後、考えている展開や予定があったら教えてください。
五十嵐:アフターコロナの話になりますが、全国のスナックに加盟していただき「スナック飲み歩きデー」を作って、全国のスナックを行き来できるようなイベントをやりたいです。また、行政や地域と連携し、ある地域に特化した「地域デー」のような、地域創生や観光誘客に貢献できるイベントを開催していきたいとも考えています。
おわりに
一人でスナックの門を叩くのは勇気がいるものですが、オンラインスナックであればそのハードルがグッと下がります。また、行ったことのない県にあるスナックのママとも飲めるのはオンラインならではの醍醐味。さらに、オンライン上でママと顔見知りになれるので、コロナが終息した後に実際のお店に行くことや国内旅行への楽しみにもつながるサービスだと感じました。
皆さんもオンラインスナック横丁で気軽にスナック体験をしてみてはいかがでしょうか。オンラインだからこその面白さをきっと見つけられますよ。
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