“死後離婚”急増。10年で2倍の「姻族関係終了届」、「小姑にバレる?」「介護・相続は?」
LIMO / 2020年6月3日 19時15分
“死後離婚”急増。10年で2倍の「姻族関係終了届」、「小姑にバレる?」「介護・相続は?」
「夫に先立たれたら、同居する舅の介護はどうなるの?」「義母と同じ墓にだけは入りたくない」
夫(/妻)亡き後、その親族との関わりをどう続けていくか。これは生前の人間関係の良し悪しで大きく変わってくるでしょう。
みなさんは「姻族関係終了届」って知ってますか?
配偶者に先立たれたあと、相手の家族(姻族)との法的かかわりを解消する戸籍上の手続きです。ちょっとザワつく響きですが、「死後離婚」という呼ばれ方も。今回は、筆者の経験も織り交ぜつつ、「姻族関係終了届」についてのお話をしたいと思います。
「姻族関係終了届」って?
【姻族関係終了届】ひとことでいうと、「配偶者の死後に提出することで、姻族との関係を終了する手続き」です。
民法上では、3親等以内の姻族が「親族」とみなされます。そのため、状況によっては配偶者の死後に、その親族を扶養義務が発生する可能性があります。「義家族と折り合いが悪い」「経済面での援助や介護などから解放されたい」といった事情がある場合、その心情を表明する意味合いで、提出を考える人が増えているようです。
姻族関係終了届に提出期限はなく、届け出後も、亡くなった配偶者の相続人としての地位や、遺族年金の受給権も変わりません。届け出にあたり、姻族(配偶者の親やきょうだい)の同意も不要、姻族関係の終了が先方に通知されることもありません。
姑と一緒の墓なんて「死んでもゴメン」
筆者の父が亡くなったときのこと。納骨をすませ、祖父母の入る墓に父の骨壺がおさまったとき、「そうか、父は親元に帰っていくのか」と思えて安堵にも似た気持ちが湧いた記憶があります。しかし、“嫁“である母の反応は180度違いました。
「あの世に行ってまで同居は嫌。私がお墓に入るまでに、義父母さんの骨を他所にうつしておいて!」
“若い頃に味わった嫁イジメの記憶が蘇ってきた。未亡人になった今、もう夫側の親族とは一切関わりあいたくない”のだという。この話を聞いた住職は、「もう一つお墓をたてるしかないね」と苦笑しながら、「お母さんの気持ちが落ち着くのであれば、“死後離婚”って方法もアリかもね」と一言つぶやいたのでした。
「死後離婚」急増、10年で2倍に!
さて、住職がポツリと言った「死後離婚」つまり、姻族関係終了届。その届け出件数は、近年増加傾向にあります。法務省の「戸籍統計(http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_koseki.html)」から、その推移をみていきましょう。
「姻族関係終了」届け出件数の推移
1998年度…1629件
1999年度…1824件
2000年度…1797件
2001年度…1834件
2002年度…1769件
2003年度…1799件
2004年度…1793件
2005年度…1772件
2006年度…1854件
2007年度…1832件
2008年度…1830件
2009年度…1823件
2010年度…1911件
2011年度…1975件
2012年度…2213件
2013年度…2167件
2014年度…2202件
2015年度…2783件
2016年度…4032件
2017年度…4895件
2018年度…4124件
(参考:「種類別 届出事件数」戸籍統計 法務省)
1998年以降、緩やかな増加傾向が続き、2000件前後で落ち着いていましたが、2016年に4032件まで急増。2008年~2018年の10年間だけで、約2.3倍に増えています。
まとめにかえて
日本人の平均寿命は、男性81.25歳・女性87.32歳、平均寿命の男女差は約6歳(2018年※)。夫婦同年代、もしくは妻の方が年下の場合は夫が先に亡くなるカップルが多くなるでしょう。姻族関係終了届についての男女比データは公表されていませんが、女性からの届け出が圧倒的多数であると考えられます。
女性の社会進出や核家族化が進むなか、結婚のかたちや夫婦のあり方も多様化しています。「死後離婚」の件数が、今後どのように推移していくかが気になります。
【参考】
「姻族(https://kotobank.jp/word/%E5%A7%BB%E6%97%8F%E9%96%A2%E4%BF%82%E7%B5%82%E4%BA%86%E5%B1%8A-1272036)」 世界大百科事典 コトバンク
「死後離婚(https://kotobank.jp/word/%E6%AD%BB%E5%BE%8C%E9%9B%A2%E5%A9%9A-1749258)」知恵蔵mini コトバンク
「戸籍統計 統計表(http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_koseki.html)」法務省
(※)日本人の平均寿命「平成 30 年簡易生命表の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-15.pdf)」厚生労働省
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