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私的年金「個人型確定拠出年金・iDeCo」の拡充、ここに注意!

LIMO / 2020年6月13日 20時0分

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私的年金「個人型確定拠出年金・iDeCo」の拡充、ここに注意!

iDeCo(個人確定拠出年金)拡充は大歓迎

既に報道されているように、iDeCo(個人確定拠出年金。以下、iDeCo)制度が拡充されることになりました。5月末に改正年金法が可決され、その中でiDeCo加入対象者が拡大する等の変更がなされています。詳細は厚生労働省のホームページを見ていただきたいのですが、大きな拡充点は次の2つです。

拡充点(1):企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCoとの併用が可能に
拡充点(2):拠出年齢が「60歳まで」から「65歳まで」に長期化

(1)勤務先が企業型DCに入っている場合、その企業は毎月5万5000円まで拠出することができます。“できます”というのは、あくまで会社の任意ですから、1万円しか出さないと言われれば、社員はそれ以上の拠出金を出してもらうことはできません。

これが、2022年10月からiDeCoで2万円を上限として社員が個人的に拠出できるようになります。今までも会社の年金規約を変更すれば加入できたのですが、これからは規約とは関係なく、個人で拠出できるようになります。

もっとも、社員の立場からみれば、会社が上限の5万5000円を全額払ってくれる方が望ましいのですが。

(2)20代からiDeCo(個人確定拠出年金)で積み立てできれば40年くらいは運用できるわけです。平均毎月2万円ずつ運用できたとすれば、65歳時に元本だけで960万円が残せますし、仮に平均3%で運用できれば1857万円になります。

これで老後資金2000万円不足問題もほぼ解決です。ただし、年平均3%以上のリターンで運用できる投資信託に、“初めから”運用して、40年間継続する必要があります。ここが難しいところでもあります。

図表1:iDeCo(個人確定拠出年金)加入者数と登録事業者数の推移

(/mwimgs/e/b/-/img_eba04306a67b7829bceaa2617012084d101472.jpg)

拡大する(/mwimgs/e/b/-/img_eba04306a67b7829bceaa2617012084d101472.jpg)

出所:企業年金連合会のホームページから抜粋

iDeCoユーザーとしてはここが不満

筆者はかつて投信会社で商品企画や営業をしていた経験も長いですが、同時に自分の資産形成のために確定拠出年金(DC)に加入してもう14年になります。最初は、企業型DCでスタートし、その後、企業年金制度がない会社に転職してからはiDeCo(個人確定拠出年金)で積み立て投資を行っています。

その経験から、企業型DCとiDeCoの改善点を指摘したいと思います。これからiDeCoに加入しようと考えられている方は、ぜひ参考にしてください。

改善すべき点 その1:低コストの投資信託に切り替える

企業型DCの商品ラインナップを全面的に見直すべきです。2001年からスタートした制度であるため、いまだに当時設定さていた信託報酬率が年間1.5%程度かかるバカ高いアクティブ投信がラインナップの中心です。これを低コスト(信託報酬率0.1%程度まで)のインデックスファンドに変えるか、付加すべきと考えます。

改善すべき点 その2:加入事務手続きの迅速化

企業型DCにせよiDeCoにせよ、加入申し込みから口座開設、掛け金支払いと買い付け開始までに3カ月程度の時間がかかります。このオンライン時代にこのスピード感はあり得ないでしょう。

これは運営管理機関(金融機関)を変更するときや、同じ運営管理機関のなかでiDeCoのコースを変更する際も同じです。投資信託のラインナップが新旧コースで異なることが多いのですが、変更したくても書類を取り寄せ、記入捺印し返送し…ということをやっているとすぐに1カ月位経ってしまいます。なんとかならないものでしょうか。

筆者も生保系からオンライン証券系の運営管理機関に変更手続きをしているのですが、正直もう面倒くさいので変更しなくてもいいかな、と思っています。

改善すべき点 その3:企業型DCの拡大

企業型DCの規約数は6435件(2020年3月末)ですが、日本の企業数は約360万社(2016年)になります。DCを提供している企業数の割合はわずか0.18%でしかありません。

一方、DC加入者数は720万人程度。日本の全従業員数の約4679万人(2016年)に対し15%程度が加入していることになります。つまり、加入者のほとんどは大企業かそれに準ずる社員を多数雇用している企業に属しているということです。

なぜ企業型DCが広まらないのかには、コストの問題があります。以前、某金融機関のDC拡販担当者に聞いたところでは、企業型DC導入のブレークイーブン社員数は約100人。それ以下だと運営管理機関のコスト割れになるとのことです。要するに、分厚い手数料を取れないDCは大企業としかやれない、というのが本音です。

言い換えると、企業型DCであれ企業年金であれ、私的年金を提供している企業はほとんどないということです。

おわりに

最後に、DCでもiDeCoでも確定拠出年金に加入して、掛け金で積み立てていく際の注意点です。

    制度の内容、運営管理機関の商品ラインアップとサービス内容は、自分でしっかり勉強しましょう。会社は教えてくれません。

    DC/iDeCoの中で預貯金に運用してはいけません。手数料分マイナスリターンになります(拠出金としての節税効果は除く)。

    積み立て投資はなるべく若い頃から始めてください。資産形成には時間が必要です

【参考資料】
「2019年版 中小企業白書(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf)」(中小企業庁 編)
「確定拠出年金の統計(https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/nenkin/suii/suii03.html)」(企業年金連合会)

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