今年、阪神タイガース問題で株主総会は荒れない? 阪急阪神HDエンタテイメント部門の苦戦
LIMO / 2020年6月16日 19時0分
今年、阪神タイガース問題で株主総会は荒れない? 阪急阪神HDエンタテイメント部門の苦戦
例年、阪神タイガースの成績ネタで盛り上がるのが阪急阪神ホールディングス(9042)の株主総会です。ただし今年(2020年)は昨シーズンの成績がまずまずだったことに加え、新型コロナの影響でペナントレース開幕前という特殊事情もあり、株主総会が阪神タイガース関連の質問で荒れるということはないかもしれません。
しかし、今年は別の意味で”阪神タイガース問題”が深刻とも言えます。阪神タイガースと宝塚歌劇団という二大コンテンツを持つ阪急阪神ホールディングスのエンタテイメント部門は、外出自粛や「三密」回避などによる大打撃で2021年3月期の業績に暗雲が漂っているからです。
阪神タイガース関連質問で盛り上がる株主総会に今年は異変?
プロ野球球団を所有する上場会社はソフトバンクG、楽天、DeNA、ヤクルトなど少なくありません。しかし所有する球団の成績が株主総会で毎年話題となる企業は、阪神タイガースを傘下に持つ阪急阪神ホールディングス(以下、阪急阪神HD)くらいでしょう。
しかし、今年は新型コロナの影響でプロ野球の公式戦は6月19日にスタートします。例年は株主総会前の阪神タイガースの成績にも一喜一憂せざるを得ない阪急阪神HD経営陣ですが、今年の株主総会は6月17日と、プロ野球開幕前に株主総会が開催されるという異例のスケジュールになりました。
そのため、今年の阪急阪神HDの株主総会は、阪神タイガースの成績という心配の種が一つない状態で行われます。しかも、昨年の阪神タイガースの成績は矢野監督体制1年目でセリーグ第3位であり、比較的突っ込みどころが少ない状態です。
シーズンオフに藤浪晋太郎選手の新型コロナウイルス感染問題はあったものの、球団関連の質問が例年より減るであろうという点では、今年の阪急阪神HDの株主総会は静かに進むかもしれません。
収益の柱であるエンタテイメント部門が苦戦必至
プロ野球公式戦の開幕が株主総会後になるというラッキーな(?)面はあるものの、一方で新型コロナ問題は阪急阪神HDの経営に暗い影を落としています。それは、阪神タイガースの属するエンタテイメント部門の収益問題です。
阪急阪神HDの事業は都市交通(鉄道中心)・不動産(ビル・マンション等)・エンタテイメント(阪神タイガース及び宝塚歌劇団中心)が3本柱です。
2020年3月期の部門別営業利益は、都市交通401億円、不動産415億円、エンタテイメント117億円ですが、新型コロナの影響が既に都市交通事業で▲47億円、エンタテイメント事業で▲30億円生じています。
特にエンタテイメント部門は、2020年3月期の段階で既に対前年度比約2〜3割の減益を余儀なくされています。そのため、緊急事態宣言が出された4月、5月を含む2021年3月期は、さらなる減益となる懸念が大きいでしょう(2021年3月期の予想決算は非開示)。
阪神タイガース・甲子園球場も宝塚歌劇団も厳しい
阪神タイガースのホームである甲子園球場は阪急阪神HD子会社の阪神電鉄が所有しており、球場関連の収益の大半を取り込むことができます。しかし、例年より約2か月半遅れての開幕となり、さらに当面は無観客試合で開催されるため、しばらくはチケット収入やグッズ販売、飲食からの収入がほぼ得られなくなります。
また春の選抜高校野球に続き、夏の全国高等学校野球選手権大会も中止となりました(選抜出場予定校による交流戦を開催、ただし関係者のみの入場予定)。阪急阪神HDの収益には欠かすことができない、阪神タイガースと甲子園球場からの収益が今期は当面見込めない状態です(注:高校野球の球場使用料はなし)。
また、エンタテイメント部門は「阪神タイガース・甲子園球場」と「宝塚歌劇団」を中心に構成されていますが、宝塚歌劇団も2月末から公演がストップしており非常に厳しい状態にあります。
こうした状況を受け、今年の株主総会ではエンタテイメント部門に投資家の厳しい目が向けられるのではないでしょうか。
注目される今期のエンタテイメント部門の収益状況
新型コロナウイルス問題を受けて、エンタメ業界全体が苦境に陥っています。エンタメ業界の上場会社はそれほど多くない中で、阪神タイガース及び宝塚歌劇団という二大優良コンテンツを持ち、エンタテイメント部門で年間100億円以上の営業利益を上げる阪急阪神HDは非常にユニークな存在です。
エンタメ業界の今後を占う上でも、阪急阪神HDの2021年3月期のエンタテイメント事業がどのような業績になるのか、今後の推移が注目されます。
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