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ひきこもりなど、長期間無職の人の年金ってどうなるの?

LIMO / 2020年6月28日 18時45分

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ひきこもりなど、長期間無職の人の年金ってどうなるの?

何らかの事情で自立できない50代の子の生活を、80代の親が支えていることをさす「8050問題」。さらに高齢化が進めば「6090問題」にも発展するのでは、との懸念の声も聞かれます。

このように長期間無職の人たちの年金は、どうなっているのでしょうか?厚生労働省の資料より少し考えてみましょう。

無職の人も年金に加入している

まず簡単に、日本の年金制度をおさらいしておきましょう。日本の公的年金は2階建て構造です。日本に住む20歳以上60歳未満の人は全員が1階部分にあたる国民年金に加入しています。会社員や公務員はさらに2階部分にあたる厚生年金にも加入することとなっています。

「国民年金の加入者のうち、民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者」は、国民年金の『第2号被保険者』となります。そして、「国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)」は、国民年金の『第3号被保険者』」となります。それ以外の人が、国民年金のみに加入する『第1号被保険者』(※1)となります。

ひきこもりなどの長期間無職状態にある人は、この『第1号被保険者』に分類されます。

(※1)年金機構による定義

日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人等、第2号被保険者、第3号被保険者でない者。

(また、(1)日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の厚生年金、共済年金などの老齢年金を受けられる人、(2)20歳以上65歳未満で海外に住んでいる日本人 、(3)日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人(4)65歳以上70歳未満の方(ただし、昭和40(1965)年4月1日以前生まれで、老齢基礎年金を受けるための受給資格期間を満たせない人限定)が、希望して国民年金に任意加入する場合も「第1号被保険者」と同様の取扱いとなる)

国民年金の加入者「無職」の割合はどのぐらい?

まず、厚生労働省の『平成29年国民年金被保険者実態調査』(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/140-15a-h29.pdf)(2017年)より、国民年金第1号被保険者の保険料納付状況を確認してみましょう。

なお、これは、2017年3月末現在における国民年金第1号被保険者1575万4,000人のうち、任意加入被保険者、外国人、法定免除者、および転出による住所不明者を除く第1号被保険者およびその属する世帯1367万1,000人について集計した結果となります。

第1号被保険者の構成を就業状態別に見た結果は、以下の通りです。

第1号被保険者の就業状態

・自営業主:16.5%
・家族従業員:7.2%
・常用雇用:8.9%
・パート・アルバイト・臨時:31.4%
・無職:34.2%
・不詳:1.9%

これを納付状況別に、どの就業状態の人がいるかをグラフにしたものが以下になります。

(/mwimgs/5/f/-/img_5f2ec8e4e4f0560dc9ddf8c55bf00ad831102.png)

拡大する(/mwimgs/5/f/-/img_5f2ec8e4e4f0560dc9ddf8c55bf00ad831102.png)

厚生労働省『平成29年国民年金被保険者実態調査』をもとに編集部作成

「学生納付特例者」については、無職とはいっても学生ですので、こちらは除外して考えるとしても、支払うべき保険料を一部またはすべて納付している人の中にも、無職の人が存在していることがわかります。また、「申請全額免除者」については、保険料を支払った人よりは金額は落ちる(※2)(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html)ものの、将来的に年金は支給されることになります。

この「無職」の中の、どれぐらいの人がひきこもりに該当するのかは、こちらのデータから読み解くことはできません。しかし現状ひきこもりという状態であっても、全員が全員、「将来は無年金」という状態にはならないといえるでしょう。

(※2)『国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度』日本年金機構(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html)

「無職」の人の保険料を負担しているのは誰?

ところで、気になるのは、「無職」の人が、一体どのように保険料を支払っているかという点ではないでしょうか。実は同じ資料の中に、保険料の負担者についての調査結果も公表されています。

保険料の負担者(全年代の合計)

・自分の収入で支払い:27.3%
・父母が負担:10.5%
・配偶者が負担:7.5%
・それ以外の者が負担:0.4%
・この2年間保険料を納めたことがない、または全額免除あるいは猶予:35.3%
・不詳:19.0%

こちらは、就業状況別ではなく、年齢別に集計が行われているため、この中のどのぐらいの人が「無職」であるかは把握できませんが、自分で保険料を捻出することができず、親やパートナーに支払ってもらっている人が一定数いるということは確かなようです。

まとめ

長期間無職の人であっても、一定期間保険料を支払っていれば、将来的に年金は支給されます。ただ、これが「8050問題」に見るような、年金暮らしの高齢の親に初老のひきこもりの子、という家庭で、親が保険料を負担しているといったような場合、この保険料の負担は親にとっては少々重いのかもしれません。

参考

『平成29年国民年金被保険者実態調査』(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/140-15a-h29.pdf)厚生労働省
「厚生年金や国民年金をみんな、いくらもらっているのか」(https://limo.media/articles/-/15223)LIMO
「国民年金の第1号被保険者の「職業」、もっとも多いのは?」(https://limo.media/articles/-/16892)LIMO

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