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年収1000万円VS年収500万円「高収入貧乏世帯」が陥る負のスパイラル

LIMO / 2020年6月28日 20時15分

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年収1000万円VS年収500万円「高収入貧乏世帯」が陥る負のスパイラル

猛威を振るった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、世界中の経済に影響が出ています。2008年9月におきたリーマンショックよりも被害が大きいのではないかともいわれ、総務省が2020年5月29日に発表した「労働力調査 (基本集計) 2020年(令和2年)4月分(http://https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf)」によると、完全失業率は2.6%と先月よりも0.1ポイント上昇していることがわかりました。

コロナ禍によってうまれたコロナ恐慌ですが、かわらずに高額収入を維持している人もいるようです。今回は、年収1,000万円の家庭と年収500万円の家庭双方に、家庭内の経済状況を伺いました。高収入なのにもかかわらず、家計が苦しいという『高年収貧乏世帯』の実態に迫ります。

年収から生まれるヒエラルキー 

他人と比べるのに、比較しやすい対象が「学歴」や「収入」ではないでしょうか。高学歴は高収入になりやすい傾向があります。高収入といわれる「医者」や「弁護士」など、いわゆる士業と呼ばれる業種はイメージも良く、一目置かれる存在です。この流れからわかるように、高年収である人は「憧れ」の対象になるようです。

そこで、今回は夫が年収1,000万円稼ぐ専業主婦のFさんと、夫婦で合計年収500万円を稼ぐパート主婦のMさんに話を伺いました。収入だけで判断すれば、年収1,000万円のFさんの方が裕福な暮らしをしていると想像できますが、意外とそういうわけでもなさそうです。高収入によって生まれる問題点が浮き彫りになりました。

1,000万円主婦と500万円主婦 

年収1,000万円のFさんによると、「みなさんが思っているような、華やかな暮らしはしていない」といいます。「子どもにはお金をかけています。塾や習い事、私立の学校と、家計のほとんどは子どもに消えていきますね。あとは家のローンでしょうか…。ここまでは必要経費だと、夫とも話しています。

その点、私はお金がかかりません。洋服や靴など、ブランド品は持っていませんし、エステにも行きません。外食はお金がかかるので、なかなか行くこともないですよ。近所のスーパーで買い物をする、普通の生活をおくっていると思います。」子どもへの出費以外は、普通だというFさん。かたや年収500万円のMさんの生活はどうなのでしょうか。

「子どもは公立の学校で、塾通いはしています。わが家も塾代と住宅ローンが目立つ出費ですが、外食は定期的に行っています。パート勤務で疲れているときは、お惣菜に頼ることもありますよ。パートの収入で、コツコツ貯蓄もしています。」2人の大きな差は、子どもの通う学校が私立か公立かということでしょう。中学校3年間の学費だけでも、これだけの差があるようです。

・私立 約420万円
・公立 約150万円

この積み重ねが、高収入貧乏につながるのかもしれません。

高収入なのに貯金ゼロ… 

ちなみに、国税庁が2019年9月に発表した「平成30年分 民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/001.pdf)」によると年収1,000万円以上を稼ぐ世帯は、全体の5%といわれています。割合でみれば、年収1,000万円以上の世帯が少ないことがわかります。憧れを抱いてしまうのも仕方ないことでしょう。

では、次に貯蓄に関する調査結果をご紹介します。金融広報中央委員会が調査した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/19bunruif001.html)」によれば1,000万円以上の高収入世帯で16%、1,200万円以上の世帯でも11.6%の人が「貯蓄をしなかった」と回答していました。

高収入であるがうえに「また稼げばいい」という思いから貯蓄をしない人もいるようですが、年収1,000万円のFさんは違うといいます。

「貯金はしたいです。やっぱり貯金ゼロは怖いですからね。でも子どもの学費がかかるので、現状、貯蓄はむずかしいです。学費以外にも、寄附金や雑費もバカにならないんですよ。それでも、子どもには行きたい学校に行かせてあげたいので、がんばるしかありません。」貯金ゼロの「高年収貧乏世帯」になっても、教育にかけるお金を減らしたくないのだそうです。

幸せは自分のものさしで

また、2020年1月より年収850万円超の世帯は、給与所得控除が引き下げられることによって、支払う税金が増えるこになります。23歳以下の子育て世帯は適用外ですが、今後控除が受けられなくなるのは痛手でしょう。ほかにも、所得制限によって児童手当が減額されるなど、高収入によって生まれる弊害があるようです。

年収1,000万円と聞くとうらやましく感じてしまいますが、苦労もあることがわかりました。年収1,000万円で貯蓄ができないのか、年収500万円でコツコツ貯蓄をしていくのか、どちらが幸せか考えてしまいますね。


【参照】
総務省「労働力調査 (基本集計) 2020年(令和2年)4月分(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf)」
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について(https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf)」
国税庁「平成30年分 民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/001.pdf)」「各種控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正(令和2年分以降)(https://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/henkou.htm)」
内閣府「児童手当制度のご案内(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)」

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