また値上げ!? 火災保険の値上げ実施前にチェックしたい3つの自衛ポイント
LIMO / 2020年7月23日 10時0分
また値上げ!? 火災保険の値上げ実施前にチェックしたい3つの自衛ポイント
大手の損害保険会社が7月8日、2021年1月から全国平均で6~8%火災保険料を値上げすることを発表しました。保険金の支払いが増加していることを受けての措置ですが、昨年10月にも値上げをしているので、わずか1年足らずで、再度の値上げということになります。
火災保険は火災だけでなく、多くの場合、落雷や風水害などの自然災害による被害も補償される保険で、近年のゲリラ豪雨や台風の甚大な被害を考えると、火災保険は必要性が高いものだといえます。火災保険料がこれからどうなっていくのか、また、値上げ前にチェックしておくべき3つのポイントを紹介します。
保険料は上昇が続く可能性も
保険料は、保険金の支払いに使われる「純保険料」と、保険会社の必要経費や利益になる「付加保険料」の2つから成ります。このうち、純保険料が火災などが発生した場合に契約者に支払われる保険金の原資になります。
純保険料は、損害保険料率算出機構が発表する「参考純率」を参考に、各損害保険会社によって決定されます。同機構は、各保険会社の契約や支払いに関するデータを分析、さらに自然災害による被害額をシミュレーションによって予測することで、参考純率を算出します。
火災や自然災害が発生すると被害を受けた契約者に保険金が支払われますが、自然災害が頻繁に発生したり、被害が大きくなったりすると、支払保険金の総額が増えることになります。支払保険金に見合うだけの保険料がないと、安定的に保険金を支払うことが難しくなるため、損害保険会社は保険料を値上げすることによってバランスを取っています。
日本損害保険協会が発行するファクトブック2019によると、過去の主な風水害等による保険金の支払い上位10件の中に、「平成30年台風21号」、「平成30年台風24号」、「平成30年7月豪雨」という2018年に発生した3つの災害が入っています。
そして、その保険金の合計支払額は1兆5,695億円と、東日本大震災の保険金支払額1兆2,833億円を上回る金額になっています(火災保険のほか海上・自動車保険を含む合計)。
保険金の支払いは、災害の発生回数や規模に応じて年度ごとに変動がありますが、2011年度以降は台風や豪雪などにより、保険金の支払いが高額になる傾向が続いています。
保険料の決定にはタイムラグがある
損害保険料率算出機構は2018年5月、2016年度までのデータを基に平均5.5%の参考純率の引き上げを発表。それを受けて、同年10月1日から大手の損害保険会社が値上げをしました。ところが、その夏に甚大な被害を出した自然災害が3件も発生したため、同機構は2019年10月に再度平均4.9%の引き上げを発表するという事態に陥りました。
2021年1月からの大手損保の火災保険料の値上げは、2018年に発生した自然災害の保険金支払いの実績を含めたもので、2019年以降に発生した自然災害のデータは、まだ火災保険料に反映されていません。なお、損害保険料率算出機構のデータによると、2019年度の房総半島台風(台風15号)と東日本台風(台風19号)による保険金の支払い累計額は8,582億円です(2020年3月9日時点)。
保険料の値上げ前にチェックするポイント
ポイント1. 短期契約か長期契約か?
火災保険の保険期間は、1年から最長10年までの契約ができます。通常、長期契約には割引があり、短期契約よりも保険料は割安になります。火災保険を1年などの短期で契約している場合は、長期契約に切り替えることを検討してもよいでしょう。
ポイント2. 支払い方法は?
保険料の支払い方法には、月払いや年払い、一括払いがあります。まとまった資金が必要にはなりますが、保険料を一括で支払うことによって、長期契約でもさらに保険料負担が軽減される可能性が高くなります。
ポイント3. 水害に対応しているか?
水害の被害に遭った場合に保険金が支払われる契約になっているかどうかを、しっかり確認しておきましょう。火災保険に加入していたとしても、契約している保険に水害の保障がなければ保険金は支払われません。
また、水害というと河川の氾濫のイメージが強いですが、「内水氾濫」のケースも想定しておかなければなりません。内水氾濫とは、下水道や排水路が大量の水をさばききれずに、雨水が道路などに溢れ出すことをいいます。
近年、局地的に大雨が降るゲリラ豪雨が頻発していることによって、内水氾濫による浸水被害が多発しています。内水氾濫の場合は自宅が河川から離れていても発生するため、油断は禁物です。
おわりに
「100年に一度」といわれる災害が毎年のように起こり、過去に自然災害がなかった地域でさえ、将来も安全かどうかはわからない時代になりました。
全国各地で発生する自然災害の被害額は年々増加しており、火災保険の重要性は、ますます高まってきているといえるでしょう。こうした背景を踏まえて、今後の火災保険料の値上げにも、しっかり備えておきましょう。
なお、実際の火災保険料は、保険会社や都道府県、建物の構造、築年数によって異なりますので、詳しい内容については各損害保険会社のウェブサイト等でご確認ください。
【参考資料】
「ファクトブック2019(https://www.sonpo.or.jp/report/publish/gyokai/0003.html)」(日本損害保険協会)
「火災保険・地震保険の概況 2018年度(https://www.giroj.or.jp/publication/outline_k/k_2018.pdf)」(損害保険料率算出機構)
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