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「大企業でも3割超」新卒者たちが会社をサクッと辞めてしまう理由とは?

LIMO / 2020年7月21日 19時15分

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「大企業でも3割超」新卒者たちが会社をサクッと辞めてしまう理由とは?

新卒で就職した若者たちのおよそ3割が「入社後3年以内に離職している」という統計が出ています。若手社員たちをいかに会社に定着させるかは、多くの企業で課題となっていることでしょう。

今回は厚生労働省の統計結果をもとに、「新規学卒者の就職後3年以内の離職状況」についてみていきます。彼らがなぜ短期間で離職を決断してしまうのか、そんな理由についても考えてみましょう。

採用・人事担当者はもちろんのこと、各職場で人材育成に携わるみなさんが若手社員定着を促進するうえでのヒントになればと思います。

新卒者の離職状況

厚生労働省は、新規学卒就職者の離職状況に関するデータをまとめています。それによると、2016年3月に卒業した新規学卒就職者たちの「就職後3年以内離職率」は以下のとおりです(※(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00002.html))。

大学…32.0%

高校…39.2%

さらに、これを事業所規模別にみると、以下のようになります。

1000人以上…大学25.0%、高校26.0%

500~999人…大学29.6%、高校33.1%

100~499人…大学32.2%、高校37.6%

30~99人…大学39.3%、高校46.0%

5~29人…大学49.7%、高校55.4%

5人未満…大学57.7%、高校64.9%

(※)「新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)を公表します(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00002.html)」厚生労働省

次に「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況(https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000556486.pdf)」を参考に、大学新卒者の、就職後3年以内の離職状況についてみていきます。

就職後3年間の離職状況(大学新卒者)

2018年3月卒

大卒就職者数461,041人
1年目までに離職…53,326人(離職率11.6%)

2017年3月卒

大卒就職者数…458,500人
2年目までに離職…104,844人(離職率22.9%)

2016年3月卒

大卒就職者数…448,309人
3年目までに離職…143,360人(離職率32.0%)

新卒就職後3年以内までに離職している人の割合は3割を超えていることがわかります。この数値は例外というわけではなく、例年ほぼ横ばいで推移しています。

「新卒者の早期離職の確率はかなり高い」と考えてよいでしょう。では、若者はなぜ、せっかく入った会社を辞めてしまう傾向にあるのでしょうか。

「3年以内に辞める新卒たち」の本音に迫る

企業規模や学歴を問わず、新卒者の離職率は高い傾向にあります。主な離職理由として以下のようなものがあります。

入社前のイメージと違っていた

上下関係や年功序列が厳しい

毎日同じメンバー、同じ行動・ルーチンに辟易

結果を出しても給与に反映されない

安定した経済基盤、充実した福利厚生や教育制度など、大企業で働くメリットは大きいといわれてきました。しかし、企業を取り巻くビジネス環境は急速に変化しています。そんななかで、

同期や同業者との競争が激しい

市場が広く展開拠点が多いため、転勤がある

人事の顔色を伺いながら働くためストレスが多い

大企業でも終身雇用は保証されない

役割が細分化されていて自分の仕事が限定的

といった「大企業で働くからこそ生じるデメリット」にも気付いていくのです。

高い倍率を潜り抜けて勝ち取って入社した大企業でのキャリアを、若者たちはサクッと手放していきます。上述のマイナスポイントを回避できる転職先を求めてのことだろうと推測されます。

離職した若者たちのその後…

さて、離職・転職後の若者たちのその後は、悲喜こもごものようです。若者たちの心境をのぞいてみましょう。

満足している人

若くても成果に応じた評価やポジションを与えられ、モチベーションが上がったいう声は多く聞かれます。人事評価制度そのものを見直す企業が増えており、若くして転職した場合でも、前職より収入が上がる、というケースも。

また、責任や裁量度の高い仕事を任され、プレッシャーやストレスが増すと同時に、やりがいが大きくなったという人もいます。

後悔している人

一方、離職したものの、次の仕事探しに苦労する人も少なくありません。転職活動が思うように進まない時期や、転職先とのミスマッチが判明したとき、社会経験の少ない若者が感じる焦りや後悔の念は大きいものになるでしょう。

何気ない話や、切磋琢磨できる同期の存在がないことが残念だ、という声もよく聞きます。悩みの解決やストレス解消などが難しくなり、心理的な仕事の負荷も上がるかもしれません。

中途入社の場合は、新卒のときのように研修に時間をかけてもらえるとは限りません。そのため、入社後まもなく社会人としての即戦力を期待されてしまうことに困惑する、という声も…。

まとめ

厳しい就職活動を勝ち抜いて就職した先が、学生時代に描いていた理想とかけ離れていた…。そんな事情が、若者の離職を後押ししていると思われます。企業側に求められているのは、若者たちが感じる「ギャップ」を早期に把握し、離職防止へ対応する工夫かもしれません。

年功序列・終身雇用制度が崩れつつある今、ひと昔前のように「一つの会社に定年まで勤め続けること」を美徳とする考え方は、もはや過去のものになりつつあります。

とはいえ、社会人としての経験がまだ浅い時期に、「現状に不満がある」というだけの理由でやみくもに離職することは、必ずしも成功につながるとは限りません。自分自身が納得できる次の仕事が見つかるかどうか、保証はまったくないのです。

その後の転職先に満足できる人・できない人の違いは、「離職の理由が明確かどうか」「離職後のプランが立っているかどうか」、といった点が分かれ目になってくるのではないかと筆者は感じています。

【参考】
(※)「新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)を公表します(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00002.html)」
「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況(https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000556486.pdf)」
いずれも厚生労働省

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