40代のロスジェネ世代、「老後」はどうなる?老後資金作り2つのポイント
LIMO / 2020年8月18日 18時45分
40代のロスジェネ世代、「老後」はどうなる?老後資金作り2つのポイント
そろそろ老後資金の準備?
40代というと、子どもが大きくなり、教育費がかかり始める年齢になっているという人も多いでしょう。また、国土交通省が2020年3月に公表した「令和元年度住宅動向調査(平成30年度分)」(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001348001.pdf)(2018年)によると、住宅を購入時の世帯主の年齢は、注文住宅、注文住宅(新築)、分譲戸建住宅、分譲マンション、中古戸建住宅において、 30 歳代が最も多いという結果が出ています。住宅ローンの返済がまだまだ残っている人も多い年代ともいえるでしょう。
「まだまだこれから」という感じもしますが、60代まで20年を切っていることを考えると、老後を見据えた資産形成も始めておきたいころでもあります。今回は、そんな40代での老後資金づくりについて、少し考えていきます。
40代の貯蓄と負債はどれくらい?
まず、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」(https://www.stat.go.jp/data/sav/1.html)について、「世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高,負債保有世帯の割合」を見てみましょう(表参照)。
40代までは負債の割合が高く、特に40~49歳までの層に、負債保有世帯がたくさんいることがわかります。また、20代後半~30代にかけて子どもをもうけていた場合、一番教育費がかかる時期が40代でやってくることになります。負債も多いが、支出も多い年代といえるでしょう。
50代になってからでは遅い⁉「老後」見据えた貯蓄計画を
2019年に話題になった「老後2000万円問題」。まずは、こちらをおさらいしてみましょう。金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)の試算によると、高齢二人(無職)世帯の生活費は
実収入20万9,198円
実支出26万3,718円
と推計され、この場合、毎月の赤字額は5万4,520円となります。約5万5,000円と仮定して老後の不足額を計算すると
20年間:5万5,000円×20年=1,320万円
30年間:5万5,000円×30年=1,980万円
この数字をもとに、リタイヤ後に向けての自助努力が推奨された、というものです。
前述の表に話を戻すと、50代で負債よりも貯蓄の割合が多くなります。これは、住宅ローン残高の多くを返済しており、子育てが一段落した人が多くなるためでしょう。ここでやっと「老後」に備えての準備ができると考える人も多いかもしれませんね。しかし、50代になってからの資産運用を考えてみると意外に制限が多いことに気がつきます。
例えば、保険での資産運用を考えた場合、年代的に保険に入ることそのものが難しくなります。入ることができても、月々の保険料は高くなります。
また「自分で作る年金」iDeCoについては、月々一定額を積み立て、そのお金を自分が指定した方法で運用し、原則として60歳を超えたら、運用益を含めた金額を年金の形式で受け取ることができます。しかし60歳から老齢給付金を受け取るには、「通算加入者等期間」(※)(https://www.ideco-koushiki.jp/yougo/index.html#archive_entry__000515)が10年間必要です。50歳を超えてから始めると、使いたいときに使えないということも起こりえます。
「老後」を意識した資産運用は、早いに越したことはないでしょう。
40代の老後資金作りは、「負債を減らす」と「貯蓄を増やす」
では40代のうちから、老後資金作りに着手していくにはどのようにしたらよいのでしょうか?
貯蓄より負債が多いということを考えると、まずは「負債を減らす」に思考が働くと思いますが、住宅ローンなどの返済にお金を回しすぎてしまうと、手元にお金がなくなり、生活が苦しくなってしまう、子どもの教育資金が捻出できない、といったことが起こってきます。
「少しでも余裕資金ができると、住宅ローンの返済に回す」人もいるかと思いますが、住宅ローンのちょこちょことした繰上返済は、さほど利息分をカットする効果はないと言われています。繰上返済を検討しているときは、まずはシミュレーションを行って、どのぐらいの利息カット効果があるかを確認してみましょう。さほど効果がないと判断したら、いったん貯蓄に回し、教育資金などの大きな支出に備えたほうが賢明かもしれません。
とはいえ、最近は驚くほどの低金利。お金を銀行に預けているだけでは、ほとんど利子がつかず、箪笥の代わりに銀行口座にお金を置いているだけに近い状態になっていることがほとんど。元本割れのリスクはありますが、投資を視野に入れて考えてみるのもよいでしょう。
つみたてNISAやiDecoなど、長期投資による資産形成は、老後までまだまだ時間がある、30代、40代といった年代が始め時ともいわれています。長く投資を続けることで、今回のコロナ禍による株価の急落や、それ以外の失敗といったことがあっても、リカバリーがしやすくなるからです。一気に増やすことを考えるのではなく、長い時間をかけて、少しずつお金を育てる、というところがポイントといえそうです。
まとめ
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(https://www.jili.or.jp/press/2019/nwl4.html)(2019年度)によると、夫婦2人の老後生活に必要だと考えられている最低日常生活費の平均は、夫婦2人で月額22.1万円となっています。加えて、ゆとりのある老後生活を送りたいと考えるなら月額36.1万円。
一方、厚生労働省の「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html)の「2019(令和元)年財政検証関連資料」によれば、現在40代の人がもらえるであろう年金額(夫婦2人分)は、20万円台と試算されています。「生きてくだけで精一杯」の状態にならないためにも、若いうちから、しっかりと準備をしておきたいものです。
参考
「令和元年度住宅動向調査(平成30年度分)」国土交通省住宅局(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001348001.pdf)
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」総務省統計局(https://www.stat.go.jp/data/sav/1.html)
「高齢社会における資産形成・管理」金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)
(※)「通算加入者等期間」(https://www.ideco-koushiki.jp/yougo/index.html#archive_entry__000515)
「iDeCo(イデコ)の受け取り(給付)について」イオン銀行(https://www.aeonbank.co.jp/ideco/payment/)
「生活保障に関する調査」(2019年度)生命保険文化センター(https://www.jili.or.jp/press/2019/nwl4.html)
「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html)
【貯蓄とは】
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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