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猛暑、豪雨、強大台風…激甚災害続きの近年。気候変動・地球温暖化は止められないのか?

LIMO / 2020年8月30日 10時0分

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猛暑、豪雨、強大台風…激甚災害続きの近年。気候変動・地球温暖化は止められないのか?

今年も大きな水害が起こりました。「数十年に一度の大雨特別警報」が毎年のように発令されています。そして梅雨が明けたと思えば、今度は猛暑で高温注意情報や熱中症警戒アラートが連日のように発表される。さらに、これからは強力な台風が襲ってくる季節…。

どうしてこのような事態になってしまったのか。大きな問題であることを承知しながらも、我々は半ば諦め気味に、地球温暖化・気象変動が原因と、他人事のように簡単に片づけてしまっています。

そこで、本稿では地球温暖化の理由を少し科学(化学)的に捉えて、地球規模の気象変動について考えたいと思います。

自然の摂理:水、酸素、二酸化炭素の循環

水の循環

地球上の水は、増えもせず減りもせず基本的に循環しています。地球上の水の97%は海水、残りが陸上にある淡水です。人間が利用できる水は降水(雨)で、その84%は海水から蒸発した水蒸気。水蒸気は、やがて雲となり雨となって、地表に降り注ぎ、バランスよく循環しています。

このバランスが地球温暖化で崩れています。海水の温度が上昇し、水蒸気の量が多くなることで降雨量が増え、それがゲリラ豪雨や大水害につながっているとされます。

二酸化炭素と酸素の循環

人類が石油や石炭の化石燃料を使う前、地球上においては、二酸化炭素は基本的に水や酸素と同様に、増えもせず減りもせずうまく循環していました。それが地球化学的規模の循環と生物学的規模の循環です。

(1)地球化学的循環

これは、数百万年単位の変動を指しています。二酸化炭素は気体なので大気中に存在しますが、それ以外にも炭酸カルシウム(CaCO3、カルシウム塩)、つまり石灰石となって存在しています。また、貝殻、サンゴなども炭酸カルシウムからできています。

二酸化炭素は、水に溶けると炭酸(炭酸清涼飲料水のもと)になり、やがて炭酸塩となって固体になります。火山の爆発により、二酸化炭素が大気中に排出され、また水に吸収される。このようなサイクルは地球化学的規模の循環です。鍾乳洞や鍾乳石がどうしてできるのか、そのメカニズムはこの地球化学的炭素循環と密接に関係しています。

(2)生物学的循環

植物は大気中の二酸化炭素を吸収し、水と太陽光を駆使して澱粉などのバイオマスを作っています。その際に、酸素が生成します。動物はその酸素を吸って、二酸化炭素を吐いています。植物と動物間では、二酸化炭素と酸素はバランスよく循環しています。

植物や動物の残存物は分解し、この時にも二酸化炭素は発生します。この生物学的循環は数万年単位の変動です。植物や動物の残存物が長い年月(数億年)をかけて石炭や石油になっていることはよく知られています。

問題は人為的、非循環的な二酸化炭素の発生

人類はエネルギー獲得のため、石炭や石油を使ってきました。その石炭や石油は有機化合物からできているため、これを燃焼させれば当然ながら二酸化炭素と水が発生します。

人類は、地球化学的や生物学的二酸化炭素循環に比べれば微々たる短期間、過去約200年の間に、一方的に二酸化炭素を排出してきました。その排出された二酸化炭素をリサイクルする術(人工光合成など、研究は行われています)が不幸にも未だ確立されていないので、二酸化炭素は大気中に溜まるだけです。

この人為的かつ非循環的な二酸化炭素の発生が自然の摂理に反していることは言うまでもありません。これをどう防ぐかが大きな問題です。

二酸化炭素削減に向けて

温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析によれば、二酸化炭素の濃度は毎年増え続け、2018年の世界の平均二酸化炭素濃度は、前年と比べて2.3ppm増えて407.8ppm(注1)となっています。工業化(1750年)以前の平均的な値は278ppmとされているので、47%増加したことになります。

注1:ppmは100万分率のことで、大気中の分子100万個中にある対象物質、この場合には二酸化炭素分子の個数を表す単位です。

温室効果ガス削減のための国際会議・気候変動枠組条約締約国会議(COP)は1995年から毎年開催されており(2020年のCOP26グラスゴー会議は2021年に延期)、COP3・京都会議の京都議定書、そしてCOP21・パリ会議のパリ協定は有名です。

パリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃より充分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求すること、そのために今世紀後半に世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロ(注2)にすること、つまり「脱炭素化」を目指しています。さらに、そのために必要な技術・資金などの支援を謳っています。

注2:実質的にゼロとは、人工的に排出する二酸化炭素の量と植物が吸収する二酸化炭素の量が等しいと言う意味です。

このように包括的な国際協定となっていますが、米国がパリ協定から離脱するなど国家間の思惑がうごめいているのは極めて残念です。

地球温暖化のメカニズム

地球温暖化の原因は、諸説あるにせよ、有力な説はよく知られている大気中の二酸化炭素の増加です。二酸化炭素以外にも原因物質は存在しますが、これらの物質についてはここでは割愛します。

では、なぜ二酸化炭素が増加すると地球温暖化になるのか。よく言われるのは温室効果ですが、ただ単に屋根ができるからという具合に簡単には説明できません。これを理解するには、赤外線について知る必要があります。

われわれは、いわゆる電磁波に囲まれて生活していますが、電磁波は波長の長い方からラジオ波、マイクロ波(電子レンジの波長)、赤外線、可視光線(色の波長)、紫外線、X線と波長が短くなります。人間の身体と同じで、地球表面は熱源があるので暖かく、そこから赤外線が出ています。

赤外線は、分子が長さを変えたり角度を変えたりする分子運動に関係する波長です。二酸化炭素(CO2)は直線分子(O=C=O)で、地球表面からの赤外線を吸収し、180度の角度を変えたり(変角振動)、長くなったり短くなったり(伸縮振動)、そして赤外線を吐き出す分子運動をしています。

すなわち、二酸化炭素は赤外線で呼吸をしていることになります。吐き出された赤外線は、また地球表面に戻り、その繰り返しで逃げ場がなくなります。大気中の二酸化炭素の濃度が高まれば高まる程、赤外線が地表に戻ってしまうので、地球は暖まる一方になる、これが地球温暖化のメカニズムです。

レジ袋有料化をきっかけに、できるところから省エネ対策の実行を

7月からレジ袋有料化が実施されました。有料化されたからといってレジ袋が削減され、環境問題が解決するわけではありません。有料化をきっかけに考えるべきなのは、私たち一人ひとりの意識改革、ライフスタイルの転換なのでしょう。なお、レジ袋有料化についての問題は以下の記事をご参照ください。

『レジ袋有料化施策に意味はある? プラごみ削減と環境意識の向上につながるのか(https://limo.media/articles/-/18371)』

地球温暖化は、私たちが大量のエネルギーを使用することによって引き起こされています。地球温暖化を防ぐためには、私たち一人ひとりが省エネのためにできることを意識することが大切です。そのいくつかを掲げて本稿を終わりたいと思います。

①ヒートアイランド現象を緩和するためには、緑を増やすことが有効。学校や家の庭で植物を育て、地域の緑を増やしましょう。植物は二酸化炭素を吸収してくれます。

②通勤や買い物の際には可能な限りバスや鉄道などの公共交通機関や自転車を利用。自家用車を使うときはアイドリングストップなどのエコドライブを実践しましょう。エコバッグを活用すればなお良いですね。

③カーテンによる太陽光の調節やクールビズ・ウォームビズで冷暖房機を効率的に使いましょう。燃料や電力の消費を抑えることができます。

④使っていない部屋の電気を切る、ながら視聴を避けるなどして日常の節電を心がけましょう。家族が同じ部屋で団らんすると、照明などによるエネルギー消費を減らす効果もあります。

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