再配達不要の「置き配」、通販・宅配会社のサービスや専用ボックスとは?

LIMO / 2020年8月31日 19時0分

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再配達不要の「置き配」、通販・宅配会社のサービスや専用ボックスとは?

楽天やアマゾン、大手配送会社などが次々に導入している宅配便の「置き配サービス」が、急速に拡大しています。

もともとは不在による再配達の解消を目指すための施策でしたが、新型コロナウィルスの影響で“非対面”を求める消費者が増えたことが追い風となりました。各社の手法や置き配で生まれた新サービス、盗難防止対応など今後の課題を解説します。

宅配便の再配達防止策としてスタート

「置き配サービス」はネット通販の拡大で宅配便個数が急増し再配達も増えたため、その防止策として始まりました。再配達が増加するとCO2排出量が増え、ドライバーの人手不足も深刻さが増すことから、社会問題となっていたのです。そこで国土交通省や経済産業省、大手配送会社、大手ネットモールなどが2018年に「置き配検討会」を立ち上げ、対応策を練ってきました。

非効率な再配達を減らすためにさまざまな施策が打ち出され、駅構内のロッカーやコンビニを通じた商品受け取りなどが実施されました。それら施策の1つとして、届け先宅の指定場所に荷物を置くサービスについても、各社が開発を進めてきたのです。

今春から各社が置き配を本格化したところ、予想以上に消費者から注目され、利用者数も伸びていきました。新型コロナウイルスの影響で“非接触”を希望する人が増えことが、背景にあるといえるでしょう。

大手のネットモールや配送会社が積極的に導入

置き配は受領サインが不要で、玄関やガスメーターボックス、自転車のかご、車庫などを事前指定できます。各社とも指定場所はほぼ同じで、建物内の受付や管理人に預ける対応も行っています。

楽天は2018年6月から置き配に着手し、自社配送の「楽天エクスプレス」を使う「楽天ブックス」や「爽快ドラッグ」などに導入しました。置き場所は注文時にサイトで選んだり、配送前メールから指定できたりします。3月以降はコロナの影響により、平常時に比べて利用が1.5倍程度まで増えたそうです。

アマゾンはこれまで一部地域で実験的に導入してきましたが、今年3月からは都内全区などで本格着手しました。直接委託の配送業者や、自社が手がける物流代行サービスを利用した荷物が対象となります。置き配の対象エリアでは置き配を“標準配送”に設定した思い切った手法で、玄関を初期設定とし、他の場所や対面への変更も可能です。届いた後は写真付きの配達完了メールが送られてきます。

配送会社も置き配に力を入れていて、ヤマト運輸は今年6月から「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の出店ストア向けに、置き配「EAZY」の提供を開始しました。置き場所と配送時間を指定でき、配送直前まで受取場所の変更が可能で、配達完了メールのURLから荷物の写真を確認できます。着手は秋からの予定でしたが、コロナの影響により置き配の要望が増えたため前倒ししたそうです。

日本郵便は2019年3月から、ネット注文後の出荷メールなどを通じ専用サイトで指定場所を選べる「e受け取りアシスト」を展開中です。さらに今年4月にはコロナの感染拡大を受け、対面配送だった「ゆうパック」や書留郵便物を玄関前などに置く取り組みにも着手。もともとは郵便局への依頼書提出が必要なサービスですが、専用バッグとプラカードを置けば置き配も可能になりました。

盗難防止などに向け周辺サービスの需要が拡大

置き配を強化する各社や利用者が最も懸念しているのが、紛失や盗難への対応です。取り出しに暗証番号が必要な宅配ボックスとは違い、玄関先や車庫などでは不安がぬぐえません。そこで需要が高まっているのが、盗難防止策を施した置き配の収納容器やアプリ、盗難補償保険といった周辺サービスです。

荷物を収容するボックスやバッグはさまざまな種類が発売されていて、中には13センチ四方に畳めて玄関のノブにかけておけるものも。撥水加工が施され、置き場所に固定できる仕組みで、ハサミなどでは切断困難な素材の専用ロック錠や南京錠などが付いています。

たとえば楽天やアマゾン、日本郵便、ヤマト運輸などが提携するYper社の折りたたみ式専用バッグ「OKIPPA」(税込3,980円)は、無料専用アプリと連動し配送が完了するとアプリに通知が届きます。再配達依頼もアプリで完結し、配送会社ごとにアプリを使い分ける必要はありません。

Yper社は東京海上日動と連携し、100円で30日間・上限3万円まで商品の盗難を補償する保険を提供しています。さらに今年7月には、配達完了時から一定時間を対象に盗難保険が付く無料サポートを導入しました。上限は3,000円と低めなものの、OKIPPAのバッグとアプリを使っていれば誰にでも適用されます。

またホームセキュリティのALSOKも、IoT機器などを応用した置き配サポートを検討しており、こういった周辺サービスは今後活況化していく可能性があります。

再配達率の削減効果は見られるが今後の課題も

国土交通省は2017年から毎年4月と10月に「宅配便再配達実態調査」を実施していますが、今年4月の再配達率は前年同月比7.5ポイント減の約 8.5%と、調査開始以来最も低くなりました。コロナの影響で在宅時間が増えたことに加え、置き配サービスが貢献していると考えられます。

ただ、さらに置き配を拡大させていくためには、いくつか重要な課題もあります。生鮮食品や医薬品、高額商品などにはまだ制限があり、たとえばアマゾンでは生鮮は対象外で、楽天は医薬品や税込1万円以上の商品には対応していません。これらをクリアしていくためには、いっそう知恵を絞る必要がありそうです。

またオートロック付きマンションでは、各戸の指定場所まで届けることはなかなか困難といえます。現在、エントランス解錠システムが開発され実証実験も始まっていますが、技術的にはクリアできても居住者への説明会やマンション管理組合の総会での決議が不可欠となるでしょう。

まとめ

各社で手法が異なると利用者も混乱するため、盗難対応や解錠システムなどのルールは今後業界で一本化する必要があるかもしれません。楽天や日本郵便は「OKIPPA」をモニターに無料配布しましたが、置き配へのハードルを下げるこういった施策も積極的に進めてほしいと思います。

一方で消費者も、直接受け取った方がよい商品と置き配で構わない商品の境界線を自ら引くことにより、便利で安全に利用できるのではないでしょうか。

【参考資料】
「置き配の現状と実施に向けたポイント(https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331004/20200330004-1.pdf#search='%E7%BD%AE%E3%81%8D%E9%85%8D%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A')」(経済産業省・国土交通省)
「宅配便の再配達率は8.5%と大幅に低下(https://www.mlit.go.jp/common/001349377.pdf)」(国土交通省)

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