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「うちは貧乏だから」が口癖の家庭。でも実は年収1000万円!その理由とは

LIMO / 2020年9月4日 20時15分

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「うちは貧乏だから」が口癖の家庭。でも実は年収1000万円!その理由とは

社会のムードが大きく変化した2020年。我々の所得に関わる税制改正があったことはご存知でしょうか。ただし、今年の1月1日から実施された「税制改正等(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2018/pdf/01.pdf)」の内容は、国民全員に影響があるというわけではなく、主に年収850万円超の会社員と自営業・フリーランスの方々に関わってくる内容になっています。

「我が家はそんなに高収入じゃないから関係ないわ。」と思われる方もいるかもしれませんが、税制改正により手取り収入が減ってしまう事態は、給与所得者にとって非常に大きな問題であり、決して他人事ではありません。傍から見たらリッチに見える高年収世帯でも、本人からするとお金持ちという実感がなく、むしろ毎日カツカツなケースもあり、その背景には見過ごせない理由があるのです。

今回は、年収1,000万円世帯に注目し、高収入でありながら「うちは貧乏」とこぼす3つの理由について、考えていきます。

年収1,000万円のリアルとは

ところで、実際に年収1,000万円以上の人はどのくらいいるのでしょうか。国税庁より2019年9月に発表された「平成30年分民間給与実態統計調査結果報告(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の構成比(男女計)において、年収1,000万円超えの割合は全体の5%。この数字だけ見るとごく一握りという印象ですが、東京都などは共働き率の高さから、世帯年収が1,000万円を超える家庭は実はそれほどめずらしくありません。金額だけ見れば余裕があるように見えますが、当事者に家計について話を聞くと実態はそうでもないようです。

「共働きで子ども2人の我が家。23区内の駅近マンションを購入し、住宅ローンや私立中学の学費を払いながら、児童手当なしで子育てしています。年収1,000万円といっても、税金で持ってかれてしまうので、手元にそんなに残りませんよ。子どもには『ウチは貧乏だからね。』と釘をさしています。」(40代・女性)

年収1,000万円なのに「うちは貧乏」な3つの理由

年収1,000万円で貧乏という発言には驚いてしまいますが、そのボヤキも頷ける3つの理由に迫りたいと思います。

1. 所得税で損

前述の2020年1月から実施の所得税にまつわる税制改正を例にすると、フリーランスや自営業者も含め全ての人に適用される基礎控除額が、10万円引き上げられ最高48万円になりました。

控除額が増える=減税になるので、これはうれしいニュースですね。ただ一方で、年収1,000万円の人の場合、2019年までは上限220万円だった給与所得控除が、2020年には上限195万円に引き下げられました。下げられた控除額は25万円。トータルで差し引き15万円の控除が減ったことになるため、結果的に増税ということになります。

給与収入が850万円以下の場合、課税所得金額はプラスマイナスゼロで改正後も税負担は変わらないことを考えると、もともと累進課税制により高い所得税を払っているうえに、今回の税制改正においても増税となり、年収1,000万円の人は損をしているように思えてしまいますね。

2. 児童手当の所得制限

中学校卒業までの児童を養育している家庭に、国から支給される児童手当。支給額は下記のとおりです。内閣府「児童手当制度のご案内(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/pdf/leaf_teate.pdf)」

児童1人あたり月額
・3歳未満:一律15,000円     
・3歳以上小学校修了前:10,000円(第3子以降は15,000円)
・中学生:一律10,000円

ただし、支給にあたっては所得制限があり、例えば専業主婦と児童2人がいる世帯主の年収が1,000万円の場合はこれにひっかかってしまうので、月額一律5,000円に減額されてしまいます。子どもの誕生から中学校卒業までの約15年間と支給期間が長いうえ、何かと費用がかかる子育て時期に、この減額は家計への影響大ですね。

3. 高校無償化対象外

2020年4月から「私立高校授業料の実質無料化(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20200715-mxt_kouhou02_1.pdf)」がスタートしましたが、この制度を利用するにも所得制限があります。例えば母親が専業主婦で、父親の年収が1,000万円以上という家庭では、私立高校授業料どころか、公立高校に通う場合の支給額118,800円(年額)すら対象外になってしまいます。子どもが高校生になると、部活動や塾など学費以外にかかる費用も増えてくるので、無償化の恩恵を受けられないのは厳しいといわざるを得ません。

実際、得する年収って存在するの?

 ここまで年収1,000万円だと、損することばかりのような気がしてしまいますが、忘れてはいけないのが、どんなに税金が高かろうと、年収1,000万円の手取りがそれ以下の年収の人の手取りより安くなるといった逆転現象は基本的に起きない、ということです。

ただし、収支に関連する各種制度の内容を事前に把握し、なるべく損をしない年収を目指すという方策はあります。たとえば、累進課税制度に基づき国税庁が「所得税の税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)」を提示している通り、所得額が上がるにつれて税率も高くなっていきます。

そこで課税される所得金額を税率が上がる7段階の区分のラインのギリギリ手前に抑えることができれば、手取りの割合が増える可能性が出てきます。また、子育て費用の給付金に関しても、所得制限をよくチェックして例えば児童手当であれば、960万円未満(専業主婦と児童2人の場合)におさまるよう調整を試みて、減額されないよう対策をとることもできます。

我が家はどうなるの?税制改正は要チェック!

会社員の場合、給与から税金が天引きされるケースが多いので、税制改正のニュースに無頓着な方も多いと思います。しかし、制度改正はもとより、結婚して共働きになったり、子どもが増えたりして自身の世帯構成が変化することで、今までは関係がなかった制度や制限の対象になることがあります。

今回は一例として年収1,000万円のケースを取り上げましたが、生きていくうえで税負担や、国や地方自治体の給付はすべての人に関係してくる問題です。特に税の計算は、色々な控除や要件などを勘案しなければならず、仕組みを理解するのが難しいイメージがありますが、たとえわずかな負担増でも積み重ねれば馬鹿にできない金額になります。

そこで、日頃からお金に関わる制度改正に対するアンテナを張っておき、家庭内であらかじめ税額や給付金の試算を行うことで、いざというときに焦らずに済むよう事前の準備をお勧めします。

【参照】
国税庁「税制改正等の内容(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2018/pdf/01.pdf)」
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果報告(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2018/pdf/01.pdf)」
内閣府「児童手当制度のご案内(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/pdf/leaf_teate.pdf)」
文部科学省「私立高校授業料実質無償化(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20200715-mxt_kouhou02_1.pdf)」
国税庁「所得税の税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)」

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