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ウィズコロナ時代の終活事情、「予期せぬ死」に備えておきたいこと。

LIMO / 2020年10月1日 0時25分

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ウィズコロナ時代の終活事情、「予期せぬ死」に備えておきたいこと。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、これまでよりも「死」を意識する機会が増えた人もいるのではないでしょうか。高齢者や持病がある人が感染すると、家族と面会することすらできないまま永遠の別れを迎えてしまう可能性もあります。

こんな時期だからこそ、終活や遺言について改めて考えてみませんか。

遺言や相続関係の信託業務が増加

一般社団法人信託協会が2020年7月に公表した「信託の受託概況(信託の機能別分類に基づく計数)」によると、遺言や相続関連の信託業務の件数は近年増加傾向にあります(※1)。信託業務とは、信託銀行や信託会社などの信託事業者が個人や法人とのあいだに信託を設定して財産を預かり、管理・運用することです(※2)。

(※1)「信託業務とは?(https://www.shintaku-kyokai.or.jp/trust/how/)」 一般社団法人信託協会
(※2)「信託財産総額は史上最高額の1,263.1兆円に(https://www.shintaku-kyokai.or.jp/archives/038/202007/20200721-2.pdf)」一般社団法人信託協会

遺言信託

「遺言信託」は、遺言書の作成サポートや保管、執行などを信託するものです。前掲の資料をみると、2020年度3月末の「遺言書の保管・執行業務」の件数は14万9,406件。6万8,911件だった2010年度末と比べると、10年間で2倍以上に増えていることがわかります。

遺言代用信託

「遺言代用信託」とは、「自分の生存中は自分を受益者とし、死亡後は自分の子や配偶者などを受益者とするスタイルの信託」です。「遺言信託」は遺言書そのものを信託するサービスですが、「遺言代用信託」は遺言の代わりに使える信託サービスです。

亡くなった人の銀行口座は相続が完了するまで凍結されるため、葬儀代や当面の生活費が引き出せなくて困るといった事態になりかねません。遺言代用信託を利用して信託事業者に一定のお金を預けておけば、自分の死後は自分が指定した受益者にそのお金をスムーズに渡せます。

遺言代用信託の件数は2009 年度末ではわずか13件でしたが、2019年度末には18万711件にまで増えています。自分亡き後に備える「終活」に取り組む人が増えたこともその背景にあるでしょう。

次では、遺産相続や遺言について知っておきたいポイントを紹介します。

遺産相続の基本をおさらい

亡くなった人が残した財産は、遺言書がない場合は基本的に法定相続人に受け継がれます。配偶者は常に相続人に含まれますが、ほかの法定相続人には優先順位があります。

第1順位:被相続人の子ども、または孫(直系卑属)

第2順位:被相続人の父母、または祖父母(直系尊属)

第3順位:被相続人の兄弟姉妹、または甥姪

遺言書は相続財産の承継方法に自分の意思を反映させるための書類です。正式な遺言書があれば法定相続よりも優先されます。ただし、法定相続人には「遺留分(いりゅうぶん)」という最低限度の相続分が認められているため、遺言書に不服があれば遺留分侵害額請求ができます。

負の遺産

遺産相続では、現金や預金、住宅、土地の権利といったプラスの資産だけでなく、借金や税金の滞納といったマイナスの資産も引き継がれます。不動産がすべてプラスの資産だとは限らないことにも注意が必要です。自宅があるのに親の中古マンションを相続して、売却できないまま毎月発生する管理費や固定資産税の支払いに苦しんでいる人もいます。

遺産相続の際に相続放棄や限定承認の手続きをすれば、基本的に負の遺産を引き継ぐことはありません。ただし、手続きができるのは、被相続人が亡くなって相続が開始されたことを知った日から3カ月以内です。葬儀や各種手続きに追われたり悲しみに沈んだりしているうちに手続きの期間を過ぎてしまうことは珍しくありません。

負の遺産がある人は、必ず家族に伝えておきましょう。直接言いにくい場合は、エンディングノートやメモなどに残しておくだけでも役立ちます。

相続預金の払い戻し制度

2019年7月から、遺産分割前でも当座の生活費や葬儀代などが必要になった場合は、相続人が凍結された口座から払い戻しできるようになりました。ただし、条件によっては制度の対象にならない場合もあります。引き出したお金は後日の遺産分割で払い戻しを受けた相続人の取得分として調整されます。相続を単純承認したとみなされて相続放棄ができなくなるおそれもあるため、十分注意しましょう。(※3)

(※3)「ご存じですか?遺産分割前の相続預金の払戻し制度(https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/article/F/7705_heritage_leaf.pdf)」一般社団法人全国銀行協会

デジタル遺産

遺産のなかでも、デジタル遺産はやっかいです。そもそも、その存在を遺族が知らないケースも多く、定期購入サービスや月額課金サービスなどを利用している場合は、本人の死後も支払いが継続的に発生するおそれがあります。

ネット口座や課金サービスを利用している人は、サービス名やID、パスワードなどを家族にもわかるようにしておきましょう。ただし、情報が第三者に知られないようにしっかり管理することも大切です。

遺言書の作成

相続に自分の意思を反映させたい場合は遺言書を作成しましょう。とくに、何らかの事情により法定相続人以外の人に財産を渡したい場合は必須です。

遺言書は規定の様式通りに書く必要があり、不備があると無効になります。録音テープや動画はすべて無効ですし、原則的にメールも無効です。

代表的な遺言書にはと「遺言公正証書」と「自筆証書遺言」があります。(※4)
(※4)「遺言は、どのような手続きでするのですか?(http://www.koshonin.gr.jp/business/b01)」 日本公証人連合会

「遺言公正証書」

公証役場に作成を依頼します。手数料はかかりますが、形式面での不備が少ないため、遺言としての信頼性は高いものとなります。公証役場で原本が保管されるため紛失の恐れもなく、最も確実です。

「自筆証書遺言」

自筆で作成するため、手数料はかかりません。他人に内容を知られる必要がない点がメリットです。2019年1月からは一部パソコン使用が可能となり、作成のハードルが少し下がりました。さらに、2020年7月10日からは、法務局で保管が可能になったため、紛失や死後発見されないなどの心配がなくなりました。

先に述べた遺言公正証書と異なるのは、死後発見された遺言書は家庭裁判所で「検認(遺言書を確認・調査する手続き)」を受ける必要がある点です。また、「作成日の記載漏れ」「自筆すべき箇所をパソコンで作成した」など、様式面での条件を満たしていなかったときは、遺言としては失効となります。

「遺言公正証書」「自筆証書遺言」ともに、認知症を発症するなど、判断能力が低下した状態で書かれた遺言書は、のちのちトラブルの原因になりやすいです。ぜひ、元気なうちに用意しておくことをおすすめします。

家族のための終活

エンディングノートや遺言書で自分の意思を残すという行為は、自分のためだけでなく残される家族のためにも大切です。

家族に日頃の感謝の気持ちを伝えたいと思っている人は、先送りせずに実行しましょう。いつ訪れるかわからない自らの最期に備えて「しておくべくこと」、「できること」を考えていきたいものです

【参考】
(※1)「信託業務とは?(https://www.shintaku-kyokai.or.jp/trust/how/)」 一般社団法人信託協会
(※2)「信託財産総額は史上最高額の1,263.1兆円に(https://www.shintaku-kyokai.or.jp/archives/038/202007/20200721-2.pdf)」一般社団法人信託協会
(※3)「ご存じですか?遺産分割前の相続預金の払戻し制度(https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/article/F/7705_heritage_leaf.pdf)」一般社団法人全国銀行協会
(※4)「遺言は、どのような手続きでするのですか?(http://www.koshonin.gr.jp/business/b01)」日本公証人連合会

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