定年まで正社員で働き続けたら2億円⁈女性が稼げる生涯年収はどれくらい?
LIMO / 2020年10月14日 19時15分
定年まで正社員で働き続けたら2億円⁈女性が稼げる生涯年収はどれくらい?
日本の女性は男性に比べ、結婚や出産を機にさまざまな選択をする人が今もなお多いのではないでしょうか。
女性の社会進出が増え、男女平等に仕事をするようになったといわれる現代ですが、キャリアを途中で中断したり、新たな道を模索することが多い女性たち。
「もしあのまま仕事を続けていたら自分はどれくらい稼げていたんだろう」なんて考えることはないでしょうか。
もし60歳まで続けて働いていたら
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)の「ユースフル労働統計(2019)の調査(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_21_p314-358.pdf)」によると、「学校を卒業してただちに就職し、60歳で退職するまでフルタイム の正社員を続ける場合(同一企業継続就業とは限らない)」男性は中学卒で2億円、高校卒 で2億1000万円、高専・短大卒で2億2000万円、大学・大学院卒で2億7000万円の生涯賃金を得るそうです。つづいて女性は中学卒で1億4000万円、高校卒で1億5000万円、高専・短大卒で1億8000万円、大学・大学院卒で2億2000万円になるという調査結果が発表されています。
男性に比べてしまうとまだまだその数字は対等ではないものの、最近は4年制大学を卒業する女性も増えたことから大学卒の女性は「みんなこんなに生涯稼いでるの⁈」とびっくりするのではないでしょうか。ただ、こちらの調査の条件である「学校を卒業してただちに就職し、60歳で退職するまでフルタイムの正社員を続ける」という条件。今の日本社会で実際にどれだけの女性がこの条件を満たすことができるのだろうか?というため息が聞こえてきそうです。
育児や家庭生活をメインにシフトチェンジする人の多さ
国税庁が2019年9月に公表した「民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)」によりますと、1年を通して勤務した給与所得者のうち女性だけの給与所得者を比較してみたところ、働く女性のうち59.8%が300万円以下の給与所得者ということがわかりました。
その中で、いわゆる「夫の扶養範囲内」といわれる目安の100万円以下の女性は15.0%。女性はサポート的な仕事が多いため男性に比べ賃金が低いことも考えられますが、男性の300万円以下の給与所得者が20.9%という結果と比べると、女性は結婚や出産を機にキャリアを形成することよりも家庭生活をメインにすることを選択する人が多いと考えられるのではないでしょうか。
続けていくことは狭き門?
それでは「ずっと働き続けること」について女性はどのように考えているのでしょうか。
・「地方から東京に出てきて就職、そのまま結婚しました。子供が生まれて『これは親が近くにいないととても無理だ』と思いました。最初の会社にずっといて働き続けていたらそれなりのキャリアは積めたと思いますが、今のように家のことはできなかったと思います。子供を育てながら新卒の時のようにずっと働き続けることって、会社や夫、実家のサポートなどがすべて整わないと無理なのではないでしょうか」
・「公務員の友人が子育てしながらフルタイムで働いているのを見ると本当に偉いなと思います。産休や育休、あらゆる制度を駆使しながら家庭生活と仕事を両立しているのをみると『彼女は大学生の段階でここまでシミュレーションして人生設計を立てていたのだろうか』と思ってしまうほど。自分は彼女のように将来設計をしてこなかったので、転職して収入が減ったり、育児のみの時期があったりしました。『継続して稼ぐ』ことのできる女性はかなり意思の強い人だと思います」
両立を選択している人も増えてはいるようですが、やはりネックとなっていることのひとつに「サポート体制が整わないこと」もあげられるようです。
2億円稼ぐだけの環境が整う未来を
誰だってお金は稼がないより稼げたほうがいいものですよね。とはいえ現状は「お金のために大切なものを犠牲にしたくない」「稼ぐためにはそれなりに環境を整えなければいけない」といった意見もある様子。
こんな数字を出すと「うちの妻が2億円稼いでくれたらな」なんて思う男性もでてきそうですが、奥様がそれだけ稼ぐためには、周囲のサポートや環境づくりは必須になってくるのではないでしょうか。お子さんの教育の問題や料理や掃除の問題。家族の健康管理やご近所や親戚づきあいなど、もしかしたら今奥様はそれらを足し合わせると2億円以上のお仕事をしてくれている可能性だってあります。
他国に比べ、まだまだ女性が仕事を続ける環境設備が整わない日本。この先働くことを望む女性がその希望をすんなり叶えられる社会がやってくることは、多くの女性の願いかもしれません。
【参照】
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)「ユースフル労働統計(2019)の調査(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_21_p314-358.pdf)」
国税庁「民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)」
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